Chapter.3 0.1ミクロンの超微粒子カプセル。8年越しの願いがかなった奇跡の1滴[@cosme NIPPON PROJECT]

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「リポソームの生みの親」として美容業界の中で知らない人はいないといわれる、コーセー常務取締役の内藤昇さん。リポソームを化粧品に応用する研究は8年に及んだといいます。「極小かつ、繊細な多重層リポソームを化粧品に使うのは容易なことではありませんでした。気がつけば8年という歳月を費やしていたわけですが、今振り返ると、ラッキーの連続でした」と内藤さん。

多重層リポソームは、肌の組織成分のひとつであるリン脂質でできています。油にも水にもなじむリン脂質を採用した玉ねぎ状の構造は、外側から1枚1枚はがれていくため、美容成分をカプセルに内包すれば肌の奥深くにまで美容成分を届けることができるスグレモノである。「このリン脂質の構造を制することができれば、商品化も夢じゃない」と、素材選びと処方に取り掛かりました。

採用したのは“天然”のリン脂質。「玉ねぎ型のカプセルのサイズも大事でした。大きすぎると肌の奥へ浸透していかないため、繊細なカプセルをどこまで小さくすることができるか、の戦いでしたね。さらに、リン脂質は酸化しやすい成分なので、安定性という面でも配慮しなければなりませんでした」(内藤さん)。次々に立ちはだかる高い壁、そんな中で、内藤さんの“ラッキー”がこの壁を突破することに!

「リポソームを極小サイズにするために、化粧品業界では初となる高圧乳化機械を導入したり、脂質の純度を上げてカプセルの強化をしたり、リポソームの酸化を防ぐためにコレステロールを配合させたり…世の中の素材や技術の進歩に合わせて研究ができたことはラッキーでした」(内藤さん)。

試行錯誤して完成したリポソームの直径は、何と約0.1ミクロン。1ミリの1/10,000という極小サイズをかなえたというから驚き!モイスチュア リポソームの浸透力の高さはこのような研究が実を結んでいるのですね。

「美容液の基礎となる基剤の処方は3年ほどで完成したのですが、いざ商品化するとなると新たな壁があらわれて…その繰り返しが一番しんどかったですね」と内藤さん。なぜなら、その当時、リポソームとうたった類似商品が市場に出回り、当時の厚生省から安全性や安定性の懸念を問われ、リポソーム化粧品に対し、ガイドラインが制定されたということがあったからだ。「ゴールが見えていたのですが、またもや商品化へのハードルが上がってしまった感じでしたね(笑)。ですが、ここで諦めてしまっては、今までの努力が無駄になる。安全性・安定性を裏付けるデータを取るための研究の日々が続きました」(内藤さん)。

実証データを取るのは手間も時間もかかるうえ、そう簡単なことではなかったはず。ですが、またしても内藤さんのラッキーが! 何と、正真正銘のリポソームだと決定づける証拠を手に入れることに成功したのです。

「多重層リポソームを電子顕微鏡で撮れたときはうれしかったですね。奇跡の1枚ともいわれており、この電子顕微鏡の写真はリポソームを購入したときの能書にも記されているんですよ」(内藤さん)。

その他の規制をクリアするための課題も揃え、コーセーは晴れて「リポソーム」と名乗ることができるようになった。「リポソームと出合ってから8年。ようやく化粧品のスタートラインに立てたわけです」(内藤さん)

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