ヘルスケア
2016/03/28

【更年期の漢方】 イライラ、抑うつ感には 加味逍遥散を処方

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Photo / Takayuki Abe Styling / Makiko Suzuishi

「現代女性は、更年期の時期に精神的なストレスを抱える人が多いんです」とは、婦人科で漢方外来の診療をしてきた経験も持つ、「いまづクリニック」の今津嘉宏先生。ストレス過多の女性に起こりやすい更年期の症状や漢方薬の処方について聞いてみました。

ストレスと更年期症状の関係は?

「現代を生きる45〜55歳の女性は家庭でも職場でも重要なポジションにいるんですね。家庭なら子どもの受験だったり、両親の介護を抱えていたり。仕事場では管理職について責任を感じていたり。自分の身体が変わる時期であり、身体自体もストレスを感じているのですが、それに加えて抱えているストレスがとても多いんです」

更年期はストレスを受けやすい状態に

ストレスを抱えていると、更年期障害も重くなるのでしょうか?

「本来であれば、ゆるやかな下降曲線を描いて着陸したい。更年期を緩やかに終らせたいわけです。だけれど、着陸しようとしている不安定なときに、雨や風が吹き荒れれば、機体は大きく揺れ、酷い場合は急下降してしまうんですね。ストレスという変わりやすい天気は、更年期の女性にとっては非常に大きな負荷になっています」

更年期前後であれば、耐えられるストレスにも対応しきれないのでしょうか?

「そうですね。以前であれば感じなかった身体の不調、精神的な不調が現れる人が多いです。なので、そのストレスを軽減できるのであれば、意識的にストレスがかかることを避けることも必要です」

でも、ストレスは、原因が分かっていても、本人にはどうすることも出来ないことや、本人も気がついていないことも多いと思います。そういった場合の治療はどのようにするのでしょうか?

「まず、ストレスの原因を問診しながら探っていきます。だいたい、皆さん、自覚できるストレスがあるものです。この年代の女性は、とにかく抱え込んでいるものが多いので、普段は我慢している人でも、診察の場では素直に吐き出してくれるんですね」

「次にストレスを軽減する方法も一緒に探してみます。まずは薬よりも環境を変えていくことが大切ですから」

漢方薬で精神的症状も軽くなる!

では、薬での治療はその後になるのでしょうか?

「逆に最初に薬の力を借りて、身体のほうの立て直しをしながら、根本原因のストレスフルな環境を見直してもらうんです。体調が整うと、少しのストレスでは揺れなくなる人もいらっしゃいます」

漢方薬では、どんな処方をされるのでしょうか?

「イライラや抑うつ感、無気力といった精神症状が強い場合は、加味逍遥散(かみしょうようさん)を処方します。これは東洋医学でいう「気(エネルギー)」「血(血液循環)」「水(水分代謝)」のうち、「気」と「血」の2つが乱れている場合に処方します。抗不安作用があったりと、更年期障害以外の症状でも使う薬です」

「気」と「血」ということは、ホットフラッシュの症状がある人にも使われるのでしょうか?

「ホットフラッシュもあって、イライラや抑うつ感がある人が多いですね。症例をあげてみましょう」

45歳 女性
症状:イライラ、ホットフラッシュ
   仕事のストレスからイライラがあり、急に顔がのぼせて汗が吹き出る
所見:中肉中背、管理職
メモ:神経質

「神経質で生真面目な方は、更年期の時期に様々な不調を連れてきやすいんですね。この方は便秘もありました。でも、加味逍遥散を飲み始めて2週間でイライラの回数が減り、便秘が改善したんです」

イライラしたり、怒りっぽくなることも改善するのですね……。

「漢方医学では、身体の症状と精神的な症状を一緒にとらえます。なので、更年期時期の精神的な症状は、漢方薬で治まることが多いんです。もし、加味逍遥散だけで改善しない場合は抑肝散という漢方を足していきます。もちろん、症状が同じでも、生活習慣や体質によって処方が変わる場合もあるのですが、加味逍遥散と抑肝散の組み合わせで改善する方が多いのです」

漢方薬も薬です! 自己判断で服用せずに、薬剤師へ相談をしましょう。

最近では、病院に行かなくても漢方薬が購入できるドラッグストアや漢方薬局もありますが、自分で購入するのは危険なのでしょうか?

「漢方薬も薬です。副作用もあるので、飲む場合はきちんと問診や検査が必要な場合もあります。体質によっては合わないこともあるし、何か疾患を持っている場合は、知らずに悪化させてしまうこともあるんです。なので、自己判断で薬を飲むのは危険と思ってください。ドラックストアや薬局で漢方薬を相談する場合は、必ず薬剤師へ相談されることをオススメします。最近では、薬剤師の中でも、漢方薬のことを特別に勉強した漢方薬・生薬認定薬剤師がいますので、うまく活用されると良いでしょう」

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芝大門 いまづクリニック
今津 嘉宏先生

西洋医学と漢方医学、栄養療法を組み合わせ「頭のてっぺんから足の先まで」を合い言葉に診療を続ける。外傷治療にはじまり、食道癌の内視鏡治療や手術、抗がん剤治療、放射線治療など様々な癌治療に携わる。また、生活習慣病の診療、女性の漢方外来なども行い、多面的な診察、治療が行える希有な医師。近著には「115歳が見えてくる、ちょい足し健康法」(ワニブックスPLUS新書)がある。

取材・文 坂本真理

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