ヘルスケア
2015/10/28

【更年期の漢方】 めまい、睡眠障害、強い冷え、 疲労感には当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

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Photo / Takayuki Abe Styling / Makiko Suzuishi

更年期の不調の治療法のひとつ、漢方治療。それは西洋医学の治療アプローチとどのように違うのでしょうか?
更年期障害の治療に処方されることが多い当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)を例に、漢方治療の考え方を教えていただきました。

不調を感じるなら、原因を探すのが漢方の考え方

更年期の時期に起こる不調は、それが更年期のせいなのか? それとも違う病気なのか分からず不安な症状も多い。とくに「めまい」や「冷え」「疲労感」のように、どの診療科に行って良いのかも分からず、辛い症状を抱えたまま過ごす人も。「全身を診る漢方医学」では、こういった症状も改善することができると「芝大門いまづクリニック」の今津嘉宏先生は教えてくれました。

「西洋医学では、症状を聞き、検査をして異常がなければ治療ができません。めまいなどは典型で、耳鼻咽喉科で異常がなければ内科にまわされたり、内科で問題なければ、心療内科にまわされたり。場合によっては、自律神経失調症という病名を渡されたりする方もいらっしゃいます」

さまざまな診療科を紹介されて、どこでも異常はないという話は良く耳にします。そういった場合、漢方医学では治療が可能なのでしょうか?

「漢方医学では「冷え」でも「疲労感」でも、本人が症状を感じている場合は、治療するんですね。問診して生活習慣を一緒に見直す、食事を見直す、必要であれば、漢方薬を使って治療します」

「めまいも同じです。レントゲンやエコーには映らなくても、症状があるなら、改善することが必要です。困っている人を助けるために漢方医学があるんです」

当帰芍薬散は複数の薬効を持っている。

「漢方薬は、西洋薬と違って、複数の効果効能を持っています。たとえば精神安定剤という西洋薬はセロトニンという脳内神経伝達物質の感受性を良くしますが、それ以外の効能はありません。だけれど、漢方薬には脳にも、神経にも、筋肉にも、また免疫にも作用する薬というのが存在するんです」

更年期障害といえば、女性ホルモン療法といった一択しかないのが西洋薬ですね。たとえば、複数の薬効がある漢方薬はどんなものがありますか?

「更年期の女性に処方することが多いのが、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)です。これは簡単にいうと、脳の神経系に作用して記憶学習障害の改善にもいい、睡眠障害にもいい。さらに、卵巣機能不全の改善もあるし、免疫系にも働きかけます。頭も良くなり、睡眠の質もあがるし、膠原病や関節リウマチのような自己免疫疾患の改善にも使われる薬なんですが、更年期の症状にも効果がある」

記憶力や睡眠、免疫に良いと聞くと症状が無くても飲みたい漢方薬と思うのですが、更年期障害のどんな症状に効果があるのでしょうか?

「東洋医学では「気=エネルギー」「血=血液循環」「水=水分代謝」のいずれかが乱れると、体調が悪くなると考えます。当帰芍薬散が効果を発揮するのは、とくに「血」と「水」の2つに乱れがある人です。更年期に入っている段階で、「血」は乱れていますね。さらに、むくみがあったり、冷えが酷かったり、身体が重い人。また「めまい」も水毒の症状のひとつで、排出できない水があり、頭のほうに溜まることで「めまい」や「耳鳴り」をおこすと考えられています。なので、当帰芍薬散は、更年期障害なのかどうか分からない、病気なのかどうか分からない症状も改善することが出来るんです」

めまいの症状が2週間で改善

「ひとつ症例を出してみると、下記の35歳女性は更年期よりちょっと前の年齢ですが、月経痛があるなど、月経トラブルもあり、めまいと冷えが主な症状だったのですが、当帰芍薬散を処方したところ、2週間でめまいは改善しました」

35歳 女性
症状:めまい、冷え
   めまいは耳鼻咽喉科で投薬を受けるが、改善しない。
所見:やせている、色白、月経痛あり、シモヤケが小さい頃はよくあり

「2週間後の再診時には、「身体が軽くなり、体調が良い」「尿の量が増えた」とあります。「水=水分代謝」の乱れが改善することで、複数の不調が一気に改善した例ですね」

どの診療科に行けば良い? 迷ったときは漢方医へ相談

「冷え」は血液の巡りが悪いことが原因、「疲労感」は肉体的精神的な負荷が原因と思いがちですが、「水=水分代謝」とも関係するのでしょうか?

「冷えは排出すべき水が滞っていても、身体が冷えますね。血液循環と水分代謝のどちらが落ちても「冷え」を感じます。とにく貧血傾向の女性は「血」と「水」の両方が乱れがちです。また、「疲労感」も水が滞ることで、ダルさや重さに繋がります。余計に溜め込んでいることは、身体にとって負担なんです」

どこの診療科に行けば良いかも分からない場合、サプリメントや健康食品に頼りがちです。漢方を手軽に取り入れることはできますか?

「当帰芍薬散などはドラッグストアでも購入できる場合もありますが、まずは漢方医がいる病院へ行くことが先決です。めまいの症状の場合は耳鼻咽喉科で漢方が処方できる先生でも良いでしょう。冷えや疲労感であれば、内科で漢方医がいる病院でも良いです」

漢方が処方できる病院の選び方で注意したほうが良い点はありますか?

「医師として漢方薬を処方できることと、医師として漢方医学の視点で診たてが出来ることでは違いがあります。西洋医であり、漢方医学の診たてができ、西洋薬も漢方薬も処方できる医師を見つけると良いですね。今、30代以下の医師は、全員が漢方医学も学んでいます。実は若い医師のほうが多面的に診察して、処方できる可能性がありますので、自分が頼れる主治医を見つけておくと良いと思います」

芝大門 いまづクリニック
今津 嘉宏先生

西洋医学と漢方医学、栄養療法を組み合わせ「頭のてっぺんから足の先まで」を合い言葉に診療を続ける。外傷治療にはじまり、食道癌の内視鏡治療や手術、抗がん剤治療、放射線治療など様々な癌治療に携わる。また、生活習慣病の診療、女性の漢方外来なども行い、多面的な診察、治療が行える希有な医師。近著には「115歳が見えてくる、ちょい足し健康法」(ワニブックスPLUS新書)がある。

取材・文 坂本真理

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