ヘルスケア
2015/12/12

更年期相談室⑮ 乳房にはどんな病気があるの?

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Photo / Takayuki Abe Styling / Makiko Suzuishi

女性医療の視点で、医療ジャーナリストで乳癌サバイバーの増田美加がお届けする「更年期相談室」VOL.15は、更年期世代に増えている「乳癌」の話題の3回目。

今回は、「もし乳房にしこりや張りがあったら…」「乳癌? それともほかの病気もあるの?」という疑問に、乳癌画像診断の専門家で、日本を代表する乳腺の放射線科医師である戸崎光宏先生にお話を伺いました。

日本女性の乳癌は罹患率、死亡率共に増えています

 ご存知の通り、日本女性の乳癌は、死亡率も、またかかる人の数(罹患率)も年々増えています。
 アメリカやイギリスは、マンモグラフィ検診を、国を挙げて実施した2000年ころから死亡率は年々減り始めています。

 でも日本は、乳癌検診受診率が欧米の70~80%にくらべて、30~40%程度。まだまだ検診受診率が低いことが、乳がんで亡くなる人を減らすことができない理由と考えられています。

乳癌は罹患者数でトップです

下記にあるように、女性のかかる癌の中で、乳癌は罹患率がトップ。死亡率でも5位にあがっています。

●罹患数が多い癌は…

1位 2位 3位 4位 5位
男性 胃 前立腺 肺 大腸 肝臓
(大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸4位、直腸6位)

女性 乳房 大腸 胃 肺 子宮
(大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸3位、直腸8位)

男女計 胃 大腸 肺 前立腺 乳房
(大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸3位、直腸8位)

データ:2011年 地域がん登録全国推計によるがん罹患データ「がん情報サービス 最新がん統計 http://ganjoho.jp/」より

●死亡数が多いがんは…

1位 2位 3位 4位 5位
男性 肺 胃 大腸 肝臓 膵臓
(大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸4位、直腸8位)

女性 大腸 肺 胃 膵臓 乳房
(大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸3位、直腸9位)

男女計 肺 胃 大腸 膵臓 肝臓
(大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸3位、直腸7位)

データ:2013年 人口動態統計によるがん死亡データ「がん情報サービス 最新がん統計 http://ganjoho.jp/ 」より

乳房にはどんな病気があるの?

 乳房にしこりや張りを感じてドキッとしたことはありませんか? 乳房の病気は、乳癌だけではありません。戸崎先生、乳房の病気を教えてください。

「はい、乳房には悪性の癌以外に、良性の病気や症状があります。もちろん、しこりや張りを感じて自己判断で、良性の病気と安心するのは危険です。しこり、張り、痛み、乳頭からの分泌物などを感じたら、乳腺科を受診してください。以下に、どんな乳腺の病気があるか、おもなものをお話しします」(戸崎先生)

・乳房全体に張り、硬さや痛みがある、その張りは生理が始まると治まる。
 ↓
「乳腺症」 乳腺の不調で最も多い良性の症状。女性ホルモンの影響で起こる正常な乳腺の変化なので心配は不要です。閉経すると症状がなくなります。

・生理前に痛みやしこり、張りがある、生理が始まると小さくなる。
 ↓
「乳腺のう胞」 乳腺の中に液体の溜まった袋ができます。しこりを感じますが、基本的には良性の変化で乳腺症の一種。閉経すると消えることが多いです。

・乳首から分泌物が出る、しこりを感じることもある。

「乳(にゅう)管内乳頭腫(かんないにゅうとうしゅ)」 乳管にできる良性の腫瘍です。しかし、血性の分泌物が出る場合は、原因の約20%が乳癌です。乳首をつまむと出血する人、ブラジャーなどの下着に分泌物の汚れを見つけたら、すぐに検査をしましょう。

・しこりがあって触ると硬くてクリクリ動く

「乳腺線維腺腫(にゅうせんせんいせんしゅ)」 乳腺にできる良性腫瘍。生理周期で小さくなることはありませんが、閉経し年齢を重ねるに従って小さくわかりにくくなります。押すと痛いこともあります。

・しこりが急に大きくなった

「葉状(ようじょう)腫瘍(しゅよう)」 乳腺線維腺種と似た良性の腫瘍です。しこりが大きくなって痛みや乳房のひきつれが生じることもあります。良性でも切除します。まれに悪性のものも。

乳房の張りや痛みの原因は女性ホルモン?

生理がある年代で、乳房の張りや痛み、しこりなどの症状が出る原因の多くは、女性ホルモンの変動です。
生理がある年代では、女性ホルモンのバランスが乱れたときや生理前に乳腺の症状が出やすく、生理が終わると症状が消失することが少なくありません。
しかしながら、閉経後は、女性ホルモンの変動がなくなるため、今までにない乳房の症状を感じた場合は、注意が必要です。

「乳腺症をはじめとする良性の乳房の症状は、多くの場合、治療の必要がありません。たとえば、乳房の良性の症状で最も多い乳腺症が、乳癌に移行することはありません。しかしながら、乳腺症やその他の良性の症状がある人は、マンモグラフィでは乳癌を発見しにくいことがありますので、検診では超音波検査を併せて行うことも検討してください」と戸崎先生。

「乳癌は痛くない」は誤解です

「乳房に症状を感じたときに一番心配なのは、乳癌だと思います。乳癌の症状は、一般的に石ころのように硬く動かないしこりがある、ひきつれがあると言われています。
しかしながら、乳癌も自覚症状は上記の良性の病気とほとんど変わりません。痛みがある場合も、ない場合もあります。40歳以降はマンモや超音波などの画像を使った定期的な検診が重要です」と戸崎先生。

“乳癌は痛くない”と言われていた時代がありましたが、今は乳癌でも、痛い場合も痛くない場合もあることがわかっています。

 乳癌の自覚症状は、良性のものとほとんど変わらないため、症状だけで判断することは困難です。
特に40代以降は、乳癌適齢期ともいえる年代です!
症状があれば、すぐに乳腺科を受診し、検査することが重要。もちろん、自覚症状がなくても、乳癌検診を定期的に受けてください。

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戸﨑 光宏先生

放射線科医。東京慈恵会医科大学卒業。東京慈恵会医科大学放射線科、亀田京橋クリニック画像センター長ほかを経て現職。日本乳癌学会診療ガイドライン作成委員。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク(BCIN)理事長。乳腺画像診断の世界的権威。

女性医療ジャーナリスト
増田 美加さん
女性の健康情報&患者視点に立った医療情報について執筆、講演を行う。女性誌やWEBでヘルスケアやアンチエイジングの連載を行うほか、テレビ、ラジオにも出演。乳がんサバイバーでもあり、がんの啓発活動を行う。NPO…

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