更年期障害
2017/03/29

【更年期のホットフラッシュ】ひどい症状の対処法は?

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Illustratioin / MASAMI

のぼせ、ほてり、多汗といったホットフラッシュは、更年期障害の代表的な症状。サプリメントや市販薬で改善できるの? いちばん効果的な治療は? 漢方薬は効くの? 自分でできる対策はあるの? 更年期障害に詳しい医療ジャーナリストが、つらい症状の対処法をご紹介します。

ホットフラッシュの代表的な症状はのぼせ・ほてり・発汗

 更年期障害の真っ只中にある医療ジャーナリストの増田美加が、更年期障害の中でも悩みが多い症状、ホットフラッシュの効果的な対処法についてお伝えします。

「ホットフラッシュ」という、のぼせ、ほてり、発汗は、更年期障害の代表的な症状のひとつです。
急に顔が熱くなったり、汗が止まらなくなったりします。原因は、自律神経の調節がうまくいかない状態で、血管の収縮と拡張のコントロールができなくなるためです。

「上半身だけ、暑くて、暑くて食事もできません。冬でも突然、頭と顔に大汗をかくので恥ずかしくて人前に出られません…」という更年期世代の女性からのお悩みは、私のもとにもよく寄せられます。

ホットフラッシュの対処法、ファーストチョイスの治療法は?

更年期世代のホットフラッシュの治療法のファーストチョイスとしては、「ホルモン補充療法(HRT)」です。

HRTは、閉経前の更年期世代から始められる治療法で、ホットフラッシュの症状を軽減する効果があります。
更年期世代を過ぎて、60代、70代になっても、HRTは骨粗鬆症の対策をかねて、ホルモン量をさらに減らして使用していくことも可能です。

HRTは、ホットフラッシュの症状だけでなく、女性ホルモンが低下することで起こるさまざまな更年期症状を改善する治療法として行われています。

HRTは体内の女性ホルモン量を持ち上げる治療です

HRTは、閉経前後に女性ホルモンの分泌量が一気に減少することで起こる、さまざまな不調対策のために行う治療です。
微量の女性ホルモン剤(おもにエストロゲン剤)を補充することで、体内の女性ホルモン量を持ち上げ、不調を解消するという方法です。

ほてり、のぼせ、発汗、多汗のほか、動悸、イライラ、不眠、頭痛、肌や粘膜の乾燥など、更年期症状全般に効果があります。
また、コレステロール値を下げたり、骨粗鬆症、肝機能障害、心筋梗塞、脳卒中、アルツハイマーなどの予防効果もあります。

「ホルモン剤は怖い…」という人もいますが、HRTにはしっかりとしたガイドラインもできていますので、ガイドラインに沿って使えば、メリットは大きく、デメリットの少ない治療法です。

HRTではこんな効果が期待できます!

 日本産科婦人科学会・日本女性医学学会が編集、監修している「ホルモン補充療法ガイドライン」に沿って、HRTの効果をまとめました。

•ホットフラッシュ(のぼせ、ほてり、多汗)、寝汗、睡眠障害、関節痛などをやわらげる。
•抑うつ的な気分、または、抑うつ的な症状を改善する。
•骨を破壊する細胞の生成を抑えて、骨密度を増加させる(骨粗しょう症を予防するだけでなく、すでに骨量が減少した女性に対して、高い骨折予防の効果を持つ)。
•皮膚のコラーゲンやエラスチンを増やし、肌の張りや潤い、柔軟性を保つ。
•腟粘膜の乾燥を防ぎ、性交痛を改善する。
•抗酸化作用がある。
•血管壁を柔軟にして、心臓血管系疾患のリスクを下げる。
•糖・脂質代謝によい影響を与える。
•過活動膀胱の症状をやわらげる。
•認知症リスクを抑える可能性がある。
•あごの骨の骨密度を増加させる。
•ひざ、ひじ、指の関節などの軟骨の代謝によい影響を与える。
•大腸がんのリスクを下げる。

HRTはエストロゲンと黄体ホルモンを使います

HRTは、更年期障害という病名がつけば、いずれも健康保険が使えます。ぜひ、婦人科で相談してみてください。

基本的には、「エストロゲン」と「黄体ホルモン」という2種類の女性ホルモン剤を使用します。
このうち黄体ホルモンは、月経のように出血を起こし、子宮内膜の増殖を防ぐことを目的として使います。
ですから、手術で子宮を摘出した人や2~3か月の短期間でお試しのためのHRTでは、黄体ホルモン剤を使う必要はありません。エストロゲンを単独で使う方法が行われます。

ただし、HRTを行えない人もいます。乳がん、子宮がんになったことがある人、血栓症の治療薬を処方されている人、または脳卒中や心筋梗塞を起こしたことのある人などです。私は、乳がんの経験があるので、残念ながら更年期障害の対策にHRTは使えません。

子宮筋腫、高血圧、肝機能障害がある場合には、エストロゲン剤の投与方法や投与量を工夫しながら行われています。

ホルモン剤には錠剤だけでなく、ジェル剤、パッチ剤も!

女性ホルモンのお薬には、錠剤、パッチ剤(肌に貼る)、ジェル剤(肌に塗る)があるのを知っていますか? 
エストロゲンは、錠剤、パッチ剤、ジェル剤から、自分が使いやすいお薬を医師と相談して選ぶことができます。

●ジェル剤には、「ル・エストロジェル」「ディビゲル」があります。
「ル・エストロジェル」は2プッシュを1日1回、両腕の手首から肩までの広い範囲に塗ります。

●パッチ剤「エストラーナテープ」「メノエイドコンビパッチ」があります。
下腹部か、でん部のいずれかに1枚貼付し、2日ごとに、貼り替える。

●錠剤「プレマリン」「ジュリナ」「ウェールナラ」があります。
「プレマリン」は、1日1~2錠を服用。最も古くからあり、多く使われているエストロゲン剤です。

また、閉経前後には、婦人科を受診し、病気の早期発見と予防をかねて、経腟超音波や女性ホルモン検査(卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、エストロゲンなど)などを行うことも大切なことです。
女性ホルモン検査は、約5千円で、閉経前なら生理の5日目ころに検査します。

精神安定剤や漢方薬を併用することもできます

ほかには、精神安定剤や漢方薬を使うこともあります。また、これらをHRTと併用して使うことも可能です。

 精神安定剤は、自律神経の緊張を解く作用があって、動悸、不眠、イライラ、落ち込みなどの不調に効果があります。

更年期障害のホットフラッシュによく使う漢方薬は、「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」「加味逍遥散(かみしょうようさん)」などです。私は、前述したように、乳がんの経験があるのでHRTが行えないため、おもに漢方薬で更年期障害の対策を行っています。

ホットフラッシュの原因は?

ホットフラッシュは、女性ホルモンの分泌が急激に減って、バランスが崩れることが原因です。
 女性ホルモンは、卵巣から分泌されていますが、その卵巣に指令を出しているのは、脳の視床下部と下垂体です。更年期になると、脳が一生懸命に指令を出しても、卵巣からホルモンが分泌されなくなり、脳は混乱します。

視床下部には、自律神経(血管、血圧、心拍、皮膚、発汗、体温などの血管運動神経)をコントロールする働きもあるので、ホルモンバランスが乱れると、自律神経も崩れてしまうのです。

特に、エストロゲンが最もよく作用するのは、子宮の中と乳房ですが、皮膚、粘膜、血管、腸壁、筋肉、関節、骨、脳でも働いています。
女性ホルモンは全身に影響し、更年期以降、老化が一気に進み、不調が増えやすいのはエストロゲンが減少するためです。

のぼせ・ほてりには、ほかの病気が隠れていることも…

 ホットフラッシュだから…と自己判断しないで。もしかしたら、血圧や甲状腺に異常がある可能性もあります。一度、婦人科で検査してもらうことが大切ですね。

 たとえば、ホットフラッシュに加えて、動悸、息切れ、頭重、手足のしびれなどがある場合は、“高血圧”の可能性があります。
高血圧は、上が140mmHg以上、下が90mmHg以上です。 閉経以降、エストロゲンの減少によって血圧が高くなりやすいのです。高血圧は、脳卒中や心臓病などのリスクが高まりますから注意しましょう。

また、ホットフラッシュに、イライラ、発汗、脈が早くなる、体重減少などがある場合は、“甲状腺機能亢進症”の可能性も。
甲状腺の病気は女性に多く、機能亢進症は甲状腺の機能異常のひとつです。甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンの分泌が過剰になる病気で、代表的なものにバセドウ病があります。

ホットフラッシュの対処法として、有酸素運動、冷え改善は大切です

ホットフラッシュなどの更年期の不調には、運動や食事などのセルフケアをあわせて行うことが大切です。

 ホットフラッシュ対策では特に、有酸素運動で血管運動神経系のバランスを整え、ストレス解消することが効果的です。軽く汗をかける程度の呼吸法、ウォーキング、水泳、ヨガなどは、運動の初心者でもできるおすすめのエクササイズです。

 のぼせ、ほてりのある人は、上半身に熱がこもり、下半身の末端血流が低下し、冷えが進みやすいタイプです。
下半身の血流アップのために、足浴や半身浴はおすすめ。下半身を温めるマッサージやツボ押しもいいでしょう。

上半身がほてる人は、下半身の足がむくみ、つりやすくなります。足首を温めることで予防しましょう。足首を温めると、末端血流を上げることができます。足指に汗をかくとかえって冷えるので、寝ているときの靴下はNGです。

大豆イソフラボンはおすすめです

食事では、大豆イソフラボンが女性ホルモンのエストロゲンとよく似た働きがあるため、豆腐や納豆などの大豆製品を積極的に摂るようにするといいでしょう。

大豆食品に含まれるイソフラボンは、腸内で「アグリコン」という形に分解され、体内へと吸収されます。この「イソフラボンアグリコン」こそが、減っていく女性ホルモンに代わって働いてくれる成分です。

また、大豆イソフラボンサプリメントも上手に利用するのはおすすめです。

サプリメントのエクオールはエストロゲンに似た作用が

今注目されているのが、「エクオール」という成分。
エクオールは、大豆イソフラボンに含まれているダイゼインという成分が、腸内菌の力を借りて変換されることで生み出されます。ダイゼインのままよりも、エクオールはエストロゲンに似た働きをするため、効果的です。
ところが、エクオールを腸内で産生できるのは、日本人で約5割、欧米人では約3割にとどまっています。せっかく大豆イソフラボンを摂取しても、腸内細菌の違いによって、エクオールを産生できない人がいるのです。

エクオールは、大豆イソフラボンを腸の中で、エストロゲンと似た形に変えられない人でも、エストロゲン作用を得ることができるサプリメントです。エクオールはサプリメントとして売られています。
大塚製薬の「エクエル」は、エクオールの代表的なサプリメントです。

ドラッグストアで購入できる更年期対策の医薬品もあります

たとえば、「命の母A」は、更年期世代の不調のためのドラッグストアなどで買える医薬品です。
更年期世代の不調に、13種類の生薬に加えて、ビタミン類をバランスよく配合しています。特に、イライラ、抑うつ、不安、おもだるさなどの精神症状に効果の高い生薬が多く配合されています。

 ホットフラッシュに効果があるかどうかは、その人の体質にもよります。試してみてもいいかもしれません。
私は、重いホットフラッシュを治療するなら、HRTが最も効果が期待できると思います。

 日常生活の食事と運動習慣は基本ですが、婦人科や医薬品サプリメントなどを上手に利用して、賢く更年期を乗り越えることが、今後の人生を健康にイキイキと過ごすことにつながります。
更年期は、いい婦人科医との出会いや自分に合ったセルフケアを見つけるいいチャンスになります。

女性保健薬 命の母A (医薬品)
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本体価格 84錠・700円 / 252錠・1,800円 / 420錠・2,600円
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女性医療ジャーナリスト
増田 美加さん
女性の健康情報&患者視点に立った医療情報について執筆、講演を行う。女性誌やWEBでヘルスケアやアンチエイジングの連載を行うほか、テレビ、ラジオにも出演。乳がんサバイバーでもあり、がんの啓発活動を行う。NPO…

ホットフラッシュの汗がひどいときのメイクはどうする?

A-Beautyのメンバーさんからのお悩みとしてあがっていたのが、「ホットフラッシュで汗がひどくて、家でメイクしても職場に着くころには落ちてしまう」という声。そんなときに役立つ、汗でも崩れないメイクのテクニックを、ヘアメイクアーティストの長井かおりさんが教えてくれました。おすすめのアイテムもあるのでぜひチェックしてみてください。(A-Beauty編集部)

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