ヘルスケア
2016/06/30

更年期の疑問 これって妊娠? それとも閉経?

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有名人が40歳以降で妊娠、出産したニュースなどを目にすると、更年期以降でも妊娠は可能と思っている女性が増えているように感じます。でも、35歳を過ぎると、妊娠率も、出産率も、ともに低下していくのは事実。40歳以降ならなおさらです。更年期が45歳以降だとすると、更年期世代の妊娠は果たしてあるのか…、レアケースで妊娠したケースがあるとすればどのようなケースなのか…、更年期の妊娠、出産に起こるリスクについて、まとめました。

文/増田美加(女性医療ジャーナリスト)

更年期の生理不順と排卵

更年期に入ると、今まで定期的に生理が来ていた人でも変化が見られ、生理不順になることが多いです。更年期の生理不順には、生理が月に数回起こる「頻発月経」と生理が遅れる「稀発月経」があります。そして、生理が来ていても、排卵がない場合が多くなります。

40代になると、見かけ上は生理が順調に来ていても、卵巣の中にある卵子のもとになる卵胞数が激減するため、妊娠可能な卵子はもうほとんどできない状態です。閉経までの生理の間隔や排卵の状態は非常に個人差が多いですが、多くは閉経に近づくと、生理がくるのがとびとびになり、2ヵ月に1回、4、5ヵ月に1回と、間隔が開くようになります。そして、1年以上、生理がこなければ閉経となります。日本女性の閉経年齢は、50.5歳です。

更年期でも妊娠するの?

「妊娠のしやすさ」は、女性の年齢によって大きく変化するのはご存知の通りです。一般的にいえば、もっとも女性が妊娠しやすい年齢は、20歳前後。年齢が上がって35歳以上になると、年々妊娠が難しくなるのが現実です。40歳以降で妊娠、さらに出産する確率は、残念ながらかなり低く、レアケースと言わざるを得ません。不妊治療をすれば、妊娠できると思っている人もいると思いますが、30代後半からは、不妊治療をしても、出産できる率は厳しい数字です…

35歳以上39歳以下の女性の不妊治療の成績データを見ると、現実的にかなり厳しい数字が出ています。都内の不妊治療専門病院で、かなり成績のいい病院でも、女性が35歳以上39歳以下で体外受精や顕微授精をした場合でも、出産率は約25%です。

同様にかなり成績のいい不妊治療専門病院で、40歳以降を見てみると、体外受精、顕微授精をして妊娠(胎児の心拍が確認できた)率は、40歳以上41歳以下で約15%、42歳以上43歳以下で約8%、44歳以上45歳以下は約2%、46歳以降は0%です。

同じ病院でさらに出産した確率を見ると、40歳以上41歳以下で約11%、42歳以上43歳以下で約5%、44歳以上45歳以下で1%以下、46歳以上では出産できたケースはありません。

ですから、45歳以降の更年期世代では、不妊治療をしても可能性はゼロである、と考えたほうがいいと思います。確かに、45歳以降で初めて(第一子)の赤ちゃんを授かったというニュースはありますが、まさに奇跡というしかないでしょう。

閉経したら絶対に妊娠しないの?

「閉経したら絶対に妊娠しないの? 1~2年は可能性があるという説は本当?」という質問を先日受けました。

国連世界保健機関であるWHOが説明する閉経とは、「卵子を含む球状となっている細胞の集合体である卵胞が、卵巣から失われて月経が永久的に停止した状態にあること」と言われています。また、閉経の医学的な定義としては、「最終的な月経から1年以上に渡って月経が停止した状態にあること」です。

ですから、本当に閉経していれば、卵子を含む卵胞がなくなって卵巣の機能が失われた状態ですので、妊娠する可能性は“ゼロ”です。

「閉経したのに妊娠した」というニュースがありましたが、それは、閉経したと思い込んでいたのではないかと思います。生理が1年(数か月)近くなく、閉経と思い込んでいたのに、また生理が復活して、そのときに妊娠したということではないでしょうか。繰り返しになりますが、1年以上生理がなく、本当に閉経していれば妊娠することはありません。

更年期に生理が来ない…閉経か、妊娠か

先ほど紹介したように、閉経とは「最終月経から1年以上、月経が停止した状態」です。

少なくとも1年以上、生理が起こらなかった後ではじめて、最後の生理周期であったと確認できます。ですから、妊娠を望まない場合は、最終月経の後も1年間は閉経したとはいえないので、避妊を行いましょう。最終月経から1年経てば、生理及び、排卵が永久に停止した状態ですので、妊娠はもうできなくなります。

更年期世代で閉経前に、あるときから生理が来なくなって、もし妊娠の可能性があるようなら、妊娠検査薬を使用してみたり、念のため婦人科で検査を受けてもいいでしょう。更年期世代は、いろいろな婦人科の病気が起こる年代でもありますので、婦人科検診も兼ねて受診してはいかがでしょう。更年期世代は生理があっても排卵しているとは限りません。基礎体温をつけていると、排卵があるかどうかがある程度わかりますので、参考になります。

あくまでも、排卵があるうちは妊娠の可能性がゼロではないので、基礎体温をつけることは非常に重要です。また、基礎体温で閉経の兆候もわかるようになります。閉経していれば、排卵期が来ないので基礎体温が上がることはほとんどありません。

このように、閉経前の40代で排卵があれば、妊娠の可能性はゼロとは言い切れません。更年期障害の不調(胃のムカムカ、ほてり、頭痛、めまいなど)と思っていたら、妊娠による不調(つわりやほてり、めまいなど)だったということもないとは言えません。心当たりがある場合には、妊娠検査薬で調べるか、婦人科を受診してください。

閉経(最終月経)前の数年間及び、閉経後の数年間は、閉経周辺期と呼ばれる移行期です。閉経周辺期がいわゆる更年期。この時期に、体内のエストロゲンとプロゲステロンの分泌量が激減します。この変動によって、多くの女性に更年期障害が起こりやすくなるのです。

日本女性が第一子を産む年齢の平均は29.9歳

現在、日本では、「子どもをもちたい」と思ってセックスをしても、2年以上なかなか妊娠しないカップル、つまり不妊症の人は、年齢が上がると共に、その割合が増加してきます。
そして、女性の年齢が45歳を過ぎると、たとえ排卵や生理があっても、赤ちゃんを作ることのできる卵子は、できなくなってしまうために、妊娠の可能性はほとんどなくなります。

日本の現実を見てみましょう。日本では、2010年、女性の平均初婚年齢が28.8歳になりました。第一子出生時の母親の平均年齢は29.9歳です。30年前の1980年には、初婚年齢は25.2歳、第一子出生時の母親の年齢は26.4歳でした。実際、不妊治療のデータを見ても、体外受精、顕微授精などの生殖補助医療を受けるカップルは、毎年かなり増加しています。

35歳以上でいつやめたらいいのか…悩む人が約半数も

日本の不妊治療は、世界でも際立って高年齢化が進んでいます。40歳以上の不妊治療が3割と言われています。

NHKの調査では、35歳以上で不妊治療を続けている1,400人のうち、半数近くが「不妊治療をいつやめたらいいかわからない」と答えているそうです。

一方、医療機関の8割以上は、「妊娠する可能性が極めて低いとわかっていても、患者が希望するかぎり治療を続ける」と答えています。 治療の長期化の背景には、一部の医療機関の利益を優先する姿勢もあると言われているのです。

出産率5%に賭けるかどうか…

ある女性がこれまでに受けた体外受精の回数は23回。1回あたりの費用は、約30万円から50万円。治療費の負担が大きすぎるという現状もあります。40代で不妊治療を続けている女性は、1年間に支払った治療費は約300万円。これまでの合計は、1,000万円にのぼるケースもあります。

しかしながら、都内の不妊治療専門施設でかなり成績のいいクリニックで体外受精、顕微授精などの高度不妊治療を行っても、42歳で不妊治療をしても出産できる確率は、わずか約5%しかありません。

確率は5%でもそれにかけて治療するのは、その人の考え方で否定するものではありません。でも、「不妊治療のやめどき」を考えるときには、客観的な数字は参考にしたほうがよいと思います。治療のやめどきは、夫であるパートナーと将来の人生を十分話し合って、自分たちで自己主張して決めていくことが大切になってきます。

高齢出産の妊娠に潜むリスクは…

高齢出産(高齢初産)とは、35歳以降の女性の妊娠、出産を指します。もちろん、45歳以降の更年期世代が第一子を妊娠した場合も、高齢初産となります。高齢初産では、妊娠中に、妊娠高血圧症候群を起こす率が高くなることが知られています。また、出産時に効果的な陣痛が起こらなかったり(微弱陣痛)、破水が早く起こる(前期破水)、産道が硬くうまく広がらない(軟産道強靱)ために分娩が長引く、といった傾向があります。その結果、30歳未満の人に比べて、鉗子や吸引による出産、あるいは帝王切開の比率が高くなることが知られています。また、ダウン症など染色体異常が増えることも言われています。

しかし、これは統計的な話で、実際には35歳を過ぎても安産の人もいます。体力に個人差があるように、お産の重い、軽いにもやはり個人差が大きいのです。ただし、45歳すぎの初産はデータが少ないので不明なことが多く、医師の指示に従った管理がより必要になります。とは言っても、高齢初産のメリットもあります。35歳以降で初めて妊娠した場合、精神的にも経済的にも安定して、自分たちの人生計画の中でできた妊娠でしょう。出産、育児を優先して考えられ、精神的にもゆとりをもって落ちついた環境で子育てをできることが、母子双方に大きなメリットでもあると思います。

女性医療ジャーナリスト
増田 美加さん
女性の健康情報&患者視点に立った医療情報について執筆、講演を行う。女性誌やWEBでヘルスケアやアンチエイジングの連載を行うほか、テレビ、ラジオにも出演。乳がんサバイバーでもあり、がんの啓発活動を行う。NPO…

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