更年期障害
2016/08/14

更年期相談室#57 のどが詰まる“ヒステリー球”の原因と対処法

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 女性医療の視点で医療ジャーナリストの増田美加がお届けする「更年期相談室」VOL.57は、更年期世代に多い「のどの詰まり」のお話です。ヒステリー球とも呼ばれるこの症状の対処法について、漢方専門医で内科医の渡邉賀子先生に伺いました。

更年期世代に多い、のどの詰まりの症状

「風邪でもないのに、のどに引っかかった感じがします。咳き込むこともあります。水分を摂ってもよくなりません」という女性が30代以降、増えてきます。
「はじめは、のどの違和感だけだったのに、ひどくなると、唾液を飲み込むのもつらいです」という人も。「のどが狭くなった感じで、ご飯がのどを通りにくい」という人もいます。

のどの違和感は、40代から50代の更年期世代の女性に多くみられます。
自覚症状としては、“つまった感じ”“引っかかる感じ”“圧迫感”などが多く、そのほかにも、“ヒリヒリ感”“腫れた感じ”“何かある感じ”“ムズムズ感”など、ほとんどの場合、痛みまでは起こしません。

このように咽喉頭に異常感があって、通常の診察や検査などで異常がないものは、咽喉頭異常感症と総称され、「ヒステリー球」とも呼ばれています。

「咽喉頭異常感症は、耳鼻科などの病院を受診して検査(*行うべき検査は文末にあります)を受けても異常なしと言われ、どうすればいいのか…と悩む人が多い病気です。ストレスによる自律神経のバランスの崩れが原因のことが多いですね」(渡邉先生)

ヒステリー球の原因は、ストレスによる自律神経の乱れ

西洋医学でこのような検査をしても、異常なしと診断され、どうしたらいいのか、悩んでしまう人も少なくありません。
この「ヒステリー球」の最大の原因はストレスなどによる自律神経の乱れです。
検査をして何も異常が見つからなかった場合は、ストレスによって自律神経のバランスが崩れて、生じることがほとんど。

自律神経とは、血液を流す、呼吸をする、心臓を動かす、体温を調節するなど、自分の意思とは関係なく無意識のうちに体を動かす神経のことで、交感神経(活動する神経)と副交感神経(休む神経)の2種類に分けられ、ときによって切り替わります。

自律神経が乱れてしまうと、交感神経が優位な状態のままになり、脳が覚醒し、興奮しやすい状態になります。
交感神経が優位で興奮状態が長期間続くと、体温コントロール力が低下することで、喉の粘膜周辺が乾いたり、のど喉に違和感を感じるヒステリー球が起こります。

更年期世代に喉の詰まりを感じやすいのは、ストレスはもちろんのこと、更年期に入り、女性ホルモンのバランスが崩れ、自律神経が乱れやすくなることも要因であると考えられます。

「のどに違和感が起こるヒステリー球の症状は、適切な治療や対処を行えば、改善できることも多いですよ」と渡邉先生。
まずは自分でできる対処法について聞きました。

「不安・緊張、落ち込んだとき、精神的にショックを受けたとき、疲れているとき、などに起こりやすいのです。ですから、心当たりのあるストレスから回避したり、改善したりする方法はないかを考えてみることが大切です。それから、日常生活で体と心のためにできることを、少しだけ見直してみてください。十分な睡眠と適度な運動も大切です」(渡邉先生)

ヒステリー球を改善するセルフケア

●十分な睡眠をとりましょう

しっかりと睡眠を取ることは、心のバランスをとるために大切。
睡眠不足が続くと、精神的に不安定になり、不安、イライラ、落ち込みが強くなります。体の疲れもたまります。これらは、ヒステリー球の発症のリスクになります。

 できれば、11時までにはベッドに入るようにしましょう。睡眠の質を高めるために、寝る1時間前には入浴を済ませることも大事です。好きなアロマの香りなどで寝室をリラックスできる空間にすることも効果的です。

●適度な運動をしましょう

運動は、ヒステリー球の改善に大きく役立ちます。
「適度な運動は、リラックス効果もあり、精神状態の安定に役立ち、心地よい疲労感が得られ、睡眠の質、改善に役立ちます。何よりストレスを解消し、気持ちを前向きにしてくれますね」(渡邉先生)

運動と言っても、激しい運動を本格的にやる必要はありません。ストレスが発散できて気持ちいい! と感じる程度でいいのです。運動の種類は問いません。好きな運動でOK。
 運動経験のない人は、ウオーキングから始めてはどうでしょうか? ヨガやピラティスもいいですね。

ヒステリー球の治療法

まずは、ストレスを取り除くことから始めましょう。ストレスから遠ざかる環境に身を置いたり、ストレス発散をすることが重要です。しかし、なかなか環境を変えるのが難しい状況の場合、心理的な側面から治療を行う「カウンセリング」を精神科で受けることも有効です。それでも改善されない場合、漢方薬の他に不安を抑えたり、気分を安定させる効果のある、抗不安薬や抗うつ剤なども用いられることがあります。

漢方薬はのどの詰まりに効果的です

西洋医学では「異常なし」と言われ、効果的な治療法がない症状や病気にも、漢方薬は効果を発揮します。

「漢方薬の中には、不安を和らげる作用のものあります。のどの詰まりなど、のどに違和感を生じるヒステリー球の治療にも有効なことが多く、ヒステリー球によく処方されるのは『半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)』です」と渡邉先生。

『半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)』は、気分がふさいで、のどに異物感があり、ときに動悸、めまい、吐き気などをともなうときに処方されます。
また、不安神経症、神経性胃炎、せき、しわがれ声、神経性食道狭窄症、不眠症などにも有効です。
更年期世代の女性が「のどに何かが詰まっているような感じがする」といった神経症状に効果的な漢方薬です。

「ほかには、その方の体質や症状の微妙な変化によって、
『柴朴湯(さいぼくとう)』
『桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)』
『柴胡桂皮乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)』
『抑肝散(よくかんさん)』
などを処方することもあります」と渡邉先生。

また、更年期障害のほかの症状がある人には『加味逍遥散(かみしょうようさん)』や『当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)』『桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)』もいいでしょう。

漢方薬は症状だけでなく、その人の「証(タイプ・体質)」によって、見極めることで、あなたにあった漢方薬が見つかります。どの漢方薬がよいかは、主治医とよく相談して処方してもらってください。

ほかにも、ビタミンB12の処方薬も改善が見られたという報告があります。

病気が隠れている可能性もあるのできちんと検査しましょう

ヒステリー球(咽喉頭異常感症)には、悪性腫瘍、口腔・咽喉頭周辺の疾患などが隠れている場合があり、具体的には下記のような病気が考えられます。

のどの病気(のどの炎症・アレルギー・腫瘍など )、鼻の病気( 蓄膿症、アレルギー性鼻炎など)、口の中の病気( 扁桃腺、舌の付け根の炎症・アレルギー・腫瘍など)、食道~胃の病気  (逆流性食道炎、食道がんなど)、頸部(けいぶ)の病気(甲状腺の炎症・腫瘍など)の可能性もあります。
また、肩こりや精神的な不安、過緊張、ストレスなどでも、のどの症状が出ることがあります。
そのため、きちんと医療機関を受診し、必要な検査を行ってこれらを除外診断してくことがとても大事です。

診察・検査項目としては、問診、視診、触診、採血(アレルギー、炎症、甲状腺機能などの検査)、頸部超音波検査(甲状腺や頸部の病気など)、頸部MRI・頸部CT(頸部の深い場所にある病気などの検査)、鼻咽腔ファイバー検査(鼻からのどの入り口の内視鏡検査)、喉頭ファイバー検査(のどの奥から気管の入り口の内視鏡検査)、上部消化管内視鏡検査(胃カメラで食道~胃の病気の検査)、心理テストなどがあります。

麻布ミューズクリニック
渡邉 賀子先生

麻布ミューズクリニック名誉院長。帯山中央病院院長。久留米大学医学部卒業。熊本大学第三内科に入局、内科を修める。1997年、北里研究所にて日本初の「冷え症外来」を開設。2003年、慶應義塾大学病院漢方クリニックにて女性専門外来「漢方女性抗加齢外来」を開設。2004年には麻布ミューズクリニックを開院。慶應義塾大学医学部漢方医学センター非常勤講師。医学博士・日本東洋医学会専門医・指導医。

女性医療ジャーナリスト
増田 美加さん
女性の健康情報&患者視点に立った医療情報について執筆、講演を行う。女性誌やWEBでヘルスケアやアンチエイジングの連載を行うほか、テレビ、ラジオにも出演。乳がんサバイバーでもあり、がんの啓発活動を行う。NPO…

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