ヘルスケア
2016/10/31

大豆イソフラボンと乳がんの関係は?

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乳がんは、国立がん研究センターの2016年の予測では、女性の8人に1人がかかるがんになりそうです。罹患率がさらに上がり、欧米並みの数字になる勢い。乳がんを心配して、どんな食事がいいのか悪いのか、気にする女性が増えてくるのも当然ですね。特に、大豆イソフラボン。乳がんの発生、増殖に、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンが重要な影響を果たしているため、エストロゲンと似た働きをすると言われている大豆イソフラボンを摂っていいのか、を迷っているという声も聞かれます。そこで、大豆イソフラボンと乳がんについて、さらに、乳がんのリスクを上げるもの、逆に下げるものは何かをまとめました。

取材・文/増田美加(女性医療ジャーナリスト)

『大豆イソフラボンが乳がんの発症率を上げることはありません』

大豆イソフラボンは、女性ホルモンであるエストロゲンによく似た構造をしています。そのため、「植物エストロゲン」とも呼ばれています。

多くの乳がんは、エストロゲンの作用で活発に増殖します。そのため、エストロゲンに似た構造の「大豆イソフラボンを多く摂取することで、乳がん発症リスクが高くなるのではないか」と心配する声が上がるのです。

しかし、最近の研究で、大豆食品を摂取することで、乳がんの発症リスクが低くなることがわかってきました。
特に、アジア人を対象とした研究では、大豆食品を多く摂る人は、そうでない人と比較すると、乳がんの発症リスクが少し低かったことが報告されています。

日本人を対象とした研究でも、大豆食品やイソフラボンの摂取で、乳がん発症リスクが減る可能性があるという報告もあります。

『逆に、豆腐、納豆、味噌などが乳がんの発症リスクを減らすデータも!』

これまで日本女性の乳がんの発症率は、欧米の女性に比べて低いことが知られていました。
なぜ、日本女性に乳がんの発症率が低いのか…その違いのひとつの要因として、欧米と日本の食習慣の違いが注目されてきました。
そこで、日本人が欧米人より多く摂る大豆が着目されたのです。
また、大豆イソフラボンは、乳がんの治療薬であるタモキシフェン(商品名 ノルバデックス)と同じような構造をしていることもその一因です。

大豆イソフラボンに抗エストロゲン作用があることから、乳がんを予防する効果も期待されています。
イソフラボンを多く含む豆腐や納豆、味噌などの大豆食品の摂取が、乳がんの発症を減らす可能性を示す研究も少しずつ出てきています。

『大豆イソフラボンで閉経後女性の乳がんリスクが下がる!』

事実、大豆イソフラボンの摂取で、「閉経後女性の乳がんリスクが低下する」という論文もあります。

 35歳以上の日本女性、約1万5千人を約15年間追跡。食事調査から大豆イソフラボンの摂取量を計算して、乳がん発症リスクとの関係を調べた研究があります。
 閉経後女性では、摂取量が最も少ないグループに比べて、少し多めに摂取しているグループで、乳がん発症リスクが約4割減りました。

 これは、1日納豆1パック(50g)で摂れる量に匹敵します。
 しかしながら、閉経前女性では、大豆イソフラボン摂取と乳がんリスクを減らす関連は見られませんでした。 (int.j.cancer;133,4.952‐960.2013)

『大豆食品を多く食べても、乳がん予防になるとは言えません』

だからと言って、イソフラボンを大量に摂れば、乳がんの予防になるという証拠はありません。
イソフラボンの摂取は、適量であれば、乳がん発症リスクを下げる可能性があることはわかっています。ですから、通常の大豆食品を常識の範囲で摂ることを心がけることが大事です。

また、イソフラボンをサプリメントとして大量に摂取した場合については乳がん発症リスクを下げることは証明されていません。
これまでの研究で、イソフラボンのサプリメントを摂ることで、乳がんの発症リスクが上がるというデータもありませんが、逆にその安全性の証明もありません。

ですから、乳がん発症リスクを低下させるために、イソフラボンのサプリメントを摂取することはすすめられないというのが、日本乳癌学会の診療ガイドラインの見解です。

『乳がん経験者が更年期対策に大豆食品を食べることはOK』

ですから、乳がんを経験した方でも、食品で大豆製品を摂ることは、全く問題なく、逆に少しは発症リスクを減らせると考えてもいいと思います。
 さらに、乳がん経験者が更年期障害の不調を抱えたときに、エストロゲンと似た作用のある大豆イソフラボンが役立つ可能性があります。
 
 乳がん経験者は、更年期障害の不調に悩んでも、ホルモン補充療法(HRT)などのエストロゲンを加える治療は、乳がんリスクを上げるため利用できません。
それは、ホルモンレベルを上げる、経口避妊薬(ピル)の使用や閉経後のホルモン補充療法などによって、乳がんの発症リスクが高くなることは確実とされているからです。

ほかにも、確立された乳がんのリスクが上がる要因は、体内のホルモンレベルに影響を与えるもので、生理的な要因として、初経年齢が早い、閉経年齢が遅い、妊娠・出産経験がない、初産年齢が遅い(高齢出産)、授乳歴がないことなど。
長期間、エストロゲンにさらされることが乳がんのリスクを上げる要因とされています。

 ですから、乳がん経験者の方が更年期障害の治療を行うときには、漢方薬が主体になります。
もうひとつ、治療とは言えませんが、セルフケアとして大豆食品を摂ることは、更年期障害の対策になる可能性があります。

『エクオールなどのサプリメントは?』

 内閣府の食品安全委員会では、大豆イソフラボンの1日の摂取目安量の上限を70~75㎎としています。ただし、これを超えても直ちに健康被害が出るわけではありません。

 大豆を多く食べている日本人でも、1日40~45㎎程度と言われています。ですからサプリメントで1日30㎎程度加えるくらいなら、過剰摂取にはなりません。

 最近話題のエクオールは、大豆イソフラボン作用の源であることがわかり、エストロゲンと同じ構造を持つことがわかっています。
 その効果は、エストロゲンの100分の1から1000分の1。
エクオールは、体内のエストロゲンが足りないときには作用を発揮して、エストロゲンが過剰にあるときには、作用を弱めることもしてくれます。

乳がんの経験者が乳がんリスク低下のために、摂取するのは間違いですが、乳がん経験者が更年期障害の不調改善のひとつとして、通常量を摂取するのは、問題ないと言われています。もちろん過剰摂取はNGです。

エクオールを調べた研究では、1日に10㎎の摂取で一定の効果が得られています。エクオールは大豆なので、エクオール10㎎は納豆の1パック分の50g相当。毎日、納豆などの大豆食品を食べられない人は利用してもいいかもしれません。

エクオールは、エストロゲンの低下によって起こるホットフラッシュ、皮膚や粘膜の乾きなどの更年期の不調を軽減。肌老化を防ぐ、骨の健康を守る、お通じを改善する、太りにくくする、などの効果も明らかになっています。

『バランスのとれた食事と運動は予防につながります』

 イソフラボン以外に、乳がん予防の助けになる食事としては、野菜、果物、食物繊維などが予防要因として注目されていますが、現時点で十分に根拠がそろっているものはありません。

 あとは、運動があります。「運動による乳がん予防効果はおそらく確実(閉経後)」とされています。
その他の食事や栄養素に関しては、脂質がリスク要因としてあげられています。
また、飲酒習慣によって、「乳がんリスクが高くなることは確実」とされています。

日常生活でバランスのとれた食事を摂って、定期的な運動を心がけ、リスク要因とされるアルコールの過剰摂取を控えることが、乳がん予防につながります。

女性医療ジャーナリスト
増田 美加さん
女性の健康情報&患者視点に立った医療情報について執筆、講演を行う。女性誌やWEBでヘルスケアやアンチエイジングの連載を行うほか、テレビ、ラジオにも出演。乳がんサバイバーでもあり、がんの啓発活動を行う。NPO…

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