ヘルスケア
2017/05/25

40、50代の女性こそ、脳ドックを受けて!

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三大成人病の一つである脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の総称)。周知の通り、言語障害や重大な麻痺、最悪の場合は死に至る怖い病気です。近年では、そのような脳卒中について徹底的に検査をする「脳ドック」を受診する人も増えてきました。今回は、脳神経外科医で方南通り脳神経外科クリニック院長の古屋一英先生に、脳ドックの受診傾向と、40、50代の女性に脳ドックをおすすめする理由について教えていただきました。

脳ドックとはどんな検査ですか?

「脳ドックは、特段脳に症状のない方を対象として、脳や脳血管あるいは危険因子について検査し、異常が発見された際には適切な対応策を講じ、その発症や進行を防止することを目的とした検査です。主に、脳腫瘍、脳梗塞、脳動静脈奇形、脳動脈瘤、もやもや病、過去の出血痕の有無などが確認できます。およそ30分程度でさまざまな角度から脳や脳血管を見ていきます。解説まで含めても1時間程度で終了します」

脳や脳の血管を詳細に検査する脳ドック。方南通り脳神経外科クリニックではシンプルプラン36,000 円(税抜、脳MRI、頸動脈MRI、当日結果説明含む)、認知症プラスプラン39,000円(税抜、脳MRI、頸動脈MRI、ASL<脳血流>、早期アルツハイマー型認知症診断<VSRAD>、物忘れチェック検査、当日結果説明含む)がある。写真提供:方南通り脳神経外科クリニック

脳ドックを受診する人の傾向は?

人間ドックほど一般化していない印象がありますが、どのような方が検診を受けているのでしょうか?

「普通は人間ドックまで、という方が多いですから、脳ドックを受ける方はとても健康意識が高いと言えます。『最近、人の名前がふとわからなくなる。もしかして自分は認知症なのでは?』『40代でも認知症があるとテレビで見たので……』と受診する40、50代の方が実はとても多いですね。実際に認知症、特にアルツハイマー型の認知症が起きるのは50代後半以降の方が多いのですが、メディアなどで40代の若年型認知症などが話題になったので心配される人が多いようです」

地域による脳ドック受診率の差はあるのでしょうか?

「脳ドックの受診率のエリア差はかなりあると思います。実際に私も長いこと地方にいたことがあるのですが、都心と比べて地方の場合は、高齢の方でもあまり検診に来ない傾向があります。大家族が比較的多い地方では脳の病気になっても誰かが面倒を見てくれるという思いがまだ強く残っているため受診率は低いです。単身や核家族の多い都心だと脳の病気は命が失われる怖い病気という側面以上に、助かっても重い後遺症が残って介護が必要になるため、家族や子どもに迷惑をかけたくない、誰にも面倒をかけられない、という意識が高く受診率が高いですね」

VSRADで認知症につながる可能性をチェック

「VSRADというソフトを使う検査では、海馬の萎縮度を測定することで早期アルツハイマー型認知症のリスクについて診断できます。また、FLAIRと呼ばれる撮影法では脳の深部に出現する小さな動脈硬化性の変化を見つけることができます。実際に受診した40代の方では、このような変化が2つ見つかりました。自覚症状はありませんが、脳梗塞の予備軍と言えます。個数が増えたり、大きくなっていくと、ものを考えたりする脳の高次脳機能がゆっくり低下していき、将来的に認知症になり易いと考えられています。
 通常、動脈硬化性の変化は60、70 代で見られる加齢性のものですので、40代、50代ではあって欲しくないものです。若くしてこのような変化が見られるということは、年齢以外の問題が体で起こっているということ。自分では健康と思っていて検診を受けていない、意外と血圧が高い、コレステロール値が高い、血糖値が高い、運動不足、喫煙している、アルコール摂取量が多いなど、思い当たることがあると思います。とにかく自覚症状がないためMRIで撮影しない限り分かりませんので、ぜひ40代の方でも一度は脳ドックを、50代ではそれに加えてVSRADを受けていただくことをおすすめします」

40代女性の脳の断面図

50代女性の脳の断面図

白い部分が動脈硬化している部分。加齢とともに白い部分は大きくなったり、数が増えたりする。放置していてもすぐに認知症に至る、脳梗塞が起きるわけではないが、定期的に確認し、経過を見ることが大切。写真提供:方南通り脳神経外科クリニック

脳にできる動脈瘤。最悪の場合、くも膜下出血に……

近年、男性と同じように社会進出をしている女性ですが、そのような社会の動きとともに、くも膜下出血の発症も女性において増えているそうです。

「脳動脈瘤とは、脳の血管の分岐部にコブができる症状です。血管の弱い部分が外に向かって風船のように膨らんでいきます。膨らんだまま維持されている分にはあまり問題はありませんが、破裂してしまうと、くも膜下出血に至ります。くも膜下出血になると致命率は50%以上になります。働き盛りの男性や高齢者だけでなく40、50代の女性や20代の女性でもくも膜下出血を発症しています。原因はストレス、無理な働き方などによる生活習慣の悪化などが指摘されています。
 脳動脈瘤は破裂するまでは自覚症状はありませんので、MRAで撮影しない限り把握することはできません。また、約20%の確率で遺伝性が疑われています。親、きょうだいにくも膜下出血の方がいたり、破裂前の脳動脈瘤が見つかった方がいたら、早めに脳ドックを受診することをおすすめします。40、50代の女性が健康診断として脳の血管を定期的にチェックしておくのはとても重要なことです」

60代女性の脳の血管写真。血管の分岐部にある膨らみ(矢印部分)が脳動脈瘤と言われるコブ。これが破裂するのがくも膜下出血である。写真提供:方南通り脳神経外科クリニック

40代になったら、一度は脳ドックを受診して

「脳の機能は一般的に60、70代からゆっくり低下していきます。そのため、脳ドックでも何らかの異常が見つかることが多い年代です。見つかった異常は元には戻りません。したがって、それよりも前の40、50代でこそ脳ドックを受診する重要性があります」

死につながる怖い病気も潜んでいるのに、なかなか自覚できないという脳の症状。脳ドックを受診することで、改めて自分自身の健康を確認できれば、明日への活力も湧いてきます。また、少しでも不安がある場合はお早めに脳神経外科に相談してみましょう。

方南通り脳神経外科クリニック
古屋一英先生

平成元年、新潟大学医学部を卒業後、東京大学医学部脳神経外科に入局、以後同大学脳神経外科及び関連病院にて脳神経外科の手術、術前術後管理を中心とした診療に携わり、直近では帝京大学医学部脳神経外科准教授として診療、教育などを担当。
中途で米国の国立衛生研究所(NIH)に留学し3年間脳血管障害と免疫反応、それを応用した脳卒中の予防に関する研究を遂行。臨床経験としては、これまでに術者および指導的立場として1000例以上の脳腫瘍、700例以上の脳卒中(くも膜下出血や脳出血、モヤモヤ病)や未破裂脳動脈瘤の手術を手掛けている。

<主な資格>
東京大学医学部 医学博士/日本脳神経外科学会認定専門医、評議員/日本脳卒中学会専門医/米国脳神経外科学会国際会員/日本医師会認定産業医/日本がん治療認定医機構 がん治療認定医/東京都難病指定医/同 小児慢性特定疾患指定医/肢体不自由、平衡機能障害、音声・言語機能障害指定医

取材・文 飯田麻衣子

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