【更年期の不調を改善】エストロゲンを正常に分泌させるためには

「エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)はどちらも女性になくてはならないホルモン。バストやヒップ、肌や髪のハリツヤはもちろん、粘膜や骨格、関節、脳などを健康に保つための大切なホルモンです。視床下部がGnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)を出すと下垂体からFSH(細胞刺激ホルモン)とLH(黄体形成ホルモン)が分泌されます。これらが卵巣を刺激することで、エストロゲンとプロゲステロンが分泌されます」
エストロゲンが低下するとどうなる?
「更年期とは、女性ホルモンが低下しているから起こるのではなく、エストロゲンが低下してさらに欲しがっているから起こるんです。この欲しがり数値=FSH(細胞刺激ホルモン)の値が高い場合、更年期の症状を発症します。これに対して、低年齢時に無謀なダイエットなどが原因でエストロゲンが低下した場合、FSHの数値が低い時は更年期の症状が出ることはありません。しかしながら月経を発来することが不可能になりこの状態が長く続くと、早期閉経・若年性更年期に繋がりやすくなります。これ以外にも様々な深刻な疾患を引き起こします」
エストロゲン低下により引き起こる疾患
・ 更年期症状
・ 尿失禁
・ 腟炎
・ 性交痛
・ 骨粗鬆症
・ 脂質代謝の異常
・ 動脈硬化
・ 脳梗塞
・ 心筋梗塞
・ アルツハイマー
エストロゲン低下の原因No.1はストレス
「そもそもエストロゲンとは体内から作られるものではなく、コレステロールから合成されるホルモンです。コレステロールからは他にも男性ホルモンやストレスに対抗するコルチゾールというホルモンが同一の経路で合成されるており、それぞれがバランスよく合成されることで身体は正常な状態を保つことができます。ところが身体が強いストレスを感じると、コルチゾールがより多く合成されていきます。それにより、エストロゲンの生成が相対的に減少してしまいます。ストレスが増えるほどコレステロールからのコルチゾールの生成量と消費量が増えるため、理想的な女性ホルモンの代謝量まで生成できなくり結果的に女性ホルモンの不足を生じるというわけです」
エストロゲン低下で引き起こる動脈硬化や骨粗しょう症
「エストロゲン代謝はコレステロールの値を適正するという働きがあるため、血圧が安定し、代謝状態も安定してくれる。すなわち、エストロゲンが低下すると、動脈硬化や骨粗しょう症を引き起こす原因となります」
ダイエットは最悪のストレス
「特にダイエットが良くないのは、低栄養だと肝臓がうまく働かずコレステロールの合成を妨げるというのが西洋医学的な考え方。対して、東洋医学では、肉体的・栄養的にも充実しており、精神的に安定しているときに妊娠するのが自然の摂理だという考え方。それに基づくと、ダイエット中や太りすぎて栄養バランスの悪いときは正常な身体であると見なされないわけです。その結果、妊娠しにくくなるように女性ホルモン系の分泌のバランスが崩れます。精神的なストレスはもちろん、寝不足やダイエットなど、外的なストレスもまた、女性ホルモンの分泌に少なからず影響します」
健康な体に欠かせないエストロゲン
「エストロゲンは月経周期を司り、妊娠継続を行い、妊娠可能な身体状況を作ります。すなわち、女性が健康でいるための基礎的な身体作りに欠かせないのです。エストロゲンが正常に働くことで、以下の作用があります」
・ 肌や粘膜の潤いを保つ
・ 髪の量や質を良く保つ
・ 代謝をよくする
・ コレステロールを適正に保つ
・ 動脈硬化を防ぐ
・ 血圧を低めに保つ
・ 骨を強くする
・ 気分を明るくする
エストロゲンを減らさないためにどうしたらいい?
「まずは朝気持ちよく目覚めて、夜しっかり寝るという規則正しい生活。栄養バランスのとれた食事、適度な運動、リラックスして過ごす時間を設けること。当たり前に聞こえますが、電気が深夜まで煌々と輝き、テレビや携帯など魅力に囲まれた現代に規則正しく過ごすことは、意識しないと難しいことも多いです。何よりもストレスを減らすことが重要。それには、リラックスして過ごすことや無謀なダイエットを避けて適度なコレストロールを摂取することも重要です。炭水化物抜きダイエットなどはコレステロールの量が過量になるので非常に危険です。本格的な更年期の世代までは、ホルモン補充療法はするべきではありません。なぜなら、フィードバック機能を壊し自律回復を妨げる可能性があるからです。医学的には漢方が効果的です」