ヘルスケア
2018/04/01

【女性のがん特集】vol.9  遺伝性の乳がんは約5~10%。どんな人が心配?

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更年期世代以降に増える女性のがんについて、女性医療の視点で医療ジャーナリストの増田美加がお届けします。女性のがん、9回目は遺伝性の乳がんについて。

有名人の乳がんの報道を多く耳にする中、身近な人から乳がんを打ち明けられる経験がある人も少なくないはずです。
乳がんにかかる率(罹患率)は毎年上がり、今、乳がんは本当の意味で他人事ではない病気となっています。
けれども、一方で乳がんの5年生存率が8割を超えるなど、乳がんは生きられる病気になっています。
 その中で、遺伝性の乳がんのことがいろいろな面からわかってきています。

アンジーの乳がんとは?

アンジェリーナ・ジョリーさんが告白したことでも有名な「遺伝性乳がん・卵巣がん(Hereditary Breast and Ovarian Cancer =HBOC)症候群」。

HBOCとは、誰もがもっているBRCA1、またはBRCA2の遺伝子に生まれつき病的な変異があると、遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)と診断されます。
HBOCであっても、必ず乳がん、卵巣がんになるわけではありませんが、高いリスクで乳がん、卵巣がんなどにかかりやすくなるのです。

遺伝要因が深くかかわっている乳がんは約5~10%

がんの発症には、「環境要因」と「遺伝要因」がかかわっているのですが、遺伝要因ががん発症に強く関係しているのが、HBOCなどの遺伝性のがんです。
乳がんを発症した人の中で、約5~10%がHBOCだと言われています。

BRCA1、BRCA2の遺伝子変異は、親から子へ性別に関係なく50%(1/2)の確率で受け継がれます。

日本で乳がんと診断される人は、年間約7万4千人*。
計算では、年間で乳がんを発症した人のうち、約3700~7400人がHBOCということになります。
しかし、遺伝子検査を受けて、HBOCと日本国内で確定診断された人は、まだ約500人にとどまっています。
まだ3000人から7000人近い人がHBOCと知らずにいる現状があります。

*国立がん研究センターがん情報サービス2012年部位別罹患者数より

HBOCを調べる遺伝子検査とは?

HBOCかどうかを確定するためには、原因となるBRCA1、BRCA2遺伝子に、病的変異があるかどうかを調べる専用の検査があります。

この検査を受ける前には、必ず、専門家による遺伝カウンセリングを行うことが必須になっています。
カウンセリングでは、患者さん本人や家族の状況を話し、医学的情報をわかりやすく提供されます。
カウンセリングの結果、本人が希望すれば、遺伝子検査を受けることができます。

検査後も、さらに予防や早期発見・早期治療、社会的サポートなどについての情報提供を受けることができ、患者さんが自分に合った、よりよい対処法を選択する手助けをしてくれます。

現状では、遺伝子検査が受けられる施設は、全国で約210か所です。
費用は、平均約20万~25万円と高額です。この検査を保険適用にして欲しいという動きもありますが、まだ自費のままです。

全国でHBOCのカウンセリングや、HBOCの遺伝子検査を受けられる医療施設は、「日本HBOCコンソーシアム」にリストがあります。

遺伝性のがんであることを知るメリットも

乳がん、卵巣がんにかかった人、全員が遺伝子検査を受けなくてはならないわけではありません。
医師やカウンセラーのアドバイスを聞いて、検査のメリット、デメリットを理解して選択します。遺伝は個性のひとつなのです。

遺伝性乳がんであることで、偏見のない社会であるよう正しい情報を知ることも大切です。
自分の遺伝情報を知ることで、得られる大きなメリットもあります。
HBOCの診断後、治療方針が変わり、より自分に合った治療の選択ができるというメリットです。

HBOCと知ることによって、がんの発症、未発症にかかわらず、ひとりひとりの状況に応じた治療や、ハイリスクの人のための適切な乳がん検診を行うことで、早期発見がより可能になります。
ひとりひとりに合った個別化された治療があって、リスクを低減する治療などの選択肢もあります。日々の健康管理にも役立ちます。

ただ、日本ではまだ、HBOC遺伝子検査ができる施設(「日本HBOCコンソーシアム」施設リスト)が限定されていたり、費用も保険が適用されず、高額な現状があります。

今、遺伝に不安や心配を感じる人が、HBOCを正しく理解した医師の診察や遺伝カウンセリングにすぐに、たどりつけるような制度づくりが求められています。

血縁に乳がんや卵巣がんにかかった方がいて心配な人は…

 ご自身が乳がんや卵巣がんを経験していたり、血縁の家族の方に乳がんや卵巣がんの方がいて、遺伝性ではないかと心配や不安がある方は、下記のチェックリストを行ってみてください。HBOCのリスクが高いかどうかがわかります。

【HBOCかんたんチェック】
母方、父方それぞれの家系で、あなた自身を含めた家族の中に、下記項目に該当する方がいたら、□にチェックを入れてください。(「日本HBOCコンソーシアム」チェックリストより)

□ 40歳未満で乳がんを発症した方がいますか?
□ 年齢を問わず、卵巣がん(卵管がん・腹膜がん含む)の方がいますか?
□ ご家族の中でひとりの方が時期を問わず、原発(再発・転移ではない)乳がんを2 個以上発症したことがありますか?
□ 男性の方で乳がんを発症された方がいますか?
□ ご家族の中で、あなたを含め、乳がんを発症された方が3 名以上いますか?
□ トリプルネガティブ(術後の病理検査でエストロゲン、プロゲステロン、HER2がいずれも陰性)の乳がんと言われた方がいますか?
□ ご家族の中にBRCAの遺伝子変異が確認された方がいますか?

上記の質問にひとつでも該当する項目があれば、あなたが「遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)症候群」である可能性は、一般よりも高いと考えられます。

心配があれば、HBOC遺伝子検査ができる施設(「日本HBOCコンソーシアム」施設リスト)で、遺伝カウンセリングを受けましょう。

女性医療ジャーナリスト
増田 美加さん
女性の健康情報&患者視点に立った医療情報について執筆、講演を行う。女性誌やWEBでヘルスケアやアンチエイジングの連載を行うほか、テレビ、ラジオにも出演。乳がんサバイバーでもあり、がんの啓発活動を行う。NPO…

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