ヘルスケア
2018/05/27

【女性のがん特集】vol.12 保険適用になった乳房再建の現状について

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Illustration Chiaki Mori

更年期世代以降に注意すべき女性のがんについて、女性医療の視点で医療ジャーナリストの増田美加がお届けします。
女性のがん、12回目は、乳がん手術後の“乳房再建”の現状についてお伝えします。

乳房全摘でも“再建”という道があることが心の支えに

「“そうだ! 乳房再建という方法がある!”。乳房を失うのはとても悲しいことだけれど、再建すれば、乳房を取り戻せる。立ち直れたのは、乳房再建があったおかげです」という女性も多いのです。

私も乳がんを体験し、結局、自分の乳房を残す小さな手術ですみましたが、大きくとらなくてはならなかったら、乳房を再建しようと思っていました。
行うか行わないかではなく、乳房再建という治療の“選択肢がある”ということが、乳がん体験者には重要なことなのです。

つらい抗がん剤治療を決断できたのは

乳がんを告知され、医師から「乳房を全摘する」と言われた女性にとって、乳房再建という治療があることが救いになったという話は、多くの女性が語ります。

乳房再建のために、再建ができる病院に転院する人もいます。がんの手術と同時に、乳房再建手術を受けられる、乳房同時再建術もあります。同時再建術ができたことで、目が覚めたときに術後の乳房の喪失感が減り、心理的負担が減ったという人も少なくありません。

乳房再建手術には2種類あります

乳房再建手術の方法について、ここにまとめておきます。

自家組織(自分の体の筋肉や脂肪組織)を使う方法

自身のお腹や背中の筋肉や脂肪組織をとって、乳房に移植する方法。背中やお腹に傷が残り、手術時間(5~10時間)、入院期間も1~3週間と長くかかりますが、柔らかく温かい自然な乳房が再建できるというメリットがあります。

シリコンインプラントを使う方法

事前にティッシュ・エキスパンダーを入れて、胸の皮膚と筋肉を拡張しておいてから、後日(一般的には数か月後)、シリコンインプラント(人工乳房)を入れる方法。シリコンなので、やや硬いですが新たな傷跡はなく、手術時間、入院期間も短くてすみます。

乳房再建を行うタイミングとそのメリット・デメリットとは?

乳房再建の手術は、乳がんの手術のときに同時に行うやり方と、時間をおいて後で行うやり方があります。

乳がん手術と同時に行う方法「一次再建」

・一期再建 一回の手術で完成させる方法は“一次一期再建”
・二期再建 エキスパンダー使用後に完成させる方法は“一次二期再建”と言われています。

長所
・乳房の喪失感がない
・入院期間が短く、経済的・身体的負担が少ない
・一次二期再建では、エキスパンダー挿入中に、再建方法を熟考する時間がある
短所
・一次一期再建では手術について熟考する時間があまりない

乳がん手術後、一定期間をおいてから行う方法「二次再建」

・一期再建 一回の手術で完成させる方法は“二次一期再建”
・二期再建 エキスパンダー使用後に完成させる方法は“二次二期再建”と言われています。

長所
・乳がん治療に専念できる
・再建手術についての情報収集と熟考の時間がある
・乳がん手術とは別の施設で再建を行うこともできる
短所
・再建手術の回数が増える(最低でも2回)
・入院手術費用が増える

乳房再建の気になる費用は…

2006年から自家組織の乳房再建が保険適用になりましたが、2014年からシリコンインプラントにも保険適用が拡大しました。

自家組織による乳房再建の費用は、30万~60万円。高額療養費制度などを申請すると、実質的な負担額は9万~⒕万円程度です。

シリコンインプラントによる乳房再建は、保険適用前は100万円以上でしたが、保険適用での自己負担は約30万〜40万円。
こちらも高額療養費制度を使えば、さらに負担が軽減され実質的な負担は9~⒕万円程度になります。

手術が受けられる医療機関の最新リストはここをチェック

失ったものを取り戻したいと願う女性の希望が叶うように

乳がん体験者が中心となって、全国の乳がん患者さんの署名を集め、「失った乳房を取り戻して、初めて治療が終了するのです」という患者の声が社会を動かして、2014年からシリコンインプラントの乳房再建も保険適用になりました。

乳がん医療は進歩し、がん治療後も、患者が生きて働く時代になり、人生や生活の質をあげるための治療を医療者が当たり前に考える時代になっています。乳房再建の進化はそのシンボルです。

2014年より以前は、「自家組織(自分の体の筋肉や脂肪組織)」を使う乳房再建だけが保険適用でした。
自家組織による再建は、温かくやわらかい自然な乳房が再建できるというメリットがある一方で、手術に時間がかかり、お腹や背中の組織を取るので、術後の入院期間が長くなります。

その後、2014年にインプラントによる乳房再建術が可能になったことから、現在では“乳房全摘”を選ぶ女性が、がんだけを取って乳房を一部残す“乳房温存”を選ぶ女性を上回りつつあると言われています。

以前は“乳房を残したい”と乳房を残す(温存)「乳房部分切除術」を選ぶ女性が多かったのです。しかし、切除範囲が広いと乳房のきれいな形(整容性)が保てないことも少なくありませんでした。

保険適用後の乳房再建の現状と課題とは?

こういった状況の中、保険適用が後押しとなって、温存して左右差のある乳房になるのなら、全摘してきれいに再建したいと考える女性が増えてきたのだと思います。

しかし、課題はまだまだあります。

乳房再建は、地域による医療格差が大きい治療のひとつです。地方では、保険適用どころか、乳房再建を望んでも行える施設が少ないのです。
患者さんに乳房再建という選択肢があるという情報さえ、行き渡っていない現状があります。

そのため、乳房再建の最新情報を伝え、再建した胸を見て触れる体感会を全国キャラバンで行っている乳がん患者さんのサポート団体もあります。

「NPO法人E-BeC」」という乳房再建手術への正しい理解と乳がん患者さんのQOL向上を目指している会です。

「NPO法人E-BeC」の代表、真水美佳さんが訴えるのは、「失った乳房を取り戻すことは、前向きに生きるために必要なことです。つらい治療も経験しましたが、胸があるから大丈夫と乗り越えられました。もちろん、乳房のない人生の選択もあります。でも、もしも本人が望んだときには、どこに住んでいても、乳房を取り戻す選択ができるようになってほしいと思います。そのための活動を継続していきます」

女性医療ジャーナリスト
増田 美加さん
女性の健康情報&患者視点に立った医療情報について執筆、講演を行う。女性誌やWEBでヘルスケアやアンチエイジングの連載を行うほか、テレビ、ラジオにも出演。乳がんサバイバーでもあり、がんの啓発活動を行う。NPO…

増田美加さんの女性のガン特集

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