ビューティメソッド
2019/04/04

[大人女子道 おきものはじめ] 4月は桜色 ―木下着物研究所 女将、木下紅子さん―

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「美しくなるにつれ若くなる」と綴ったのはかの白洲正子女史だけれど、歳を重ねるごとに“美”へのハードルは高く、重みを増すと痛感する日々……。白Tシャツにデニムが似合わなくなったと感じていたある日、目の前を歩くお着物姿の女性の美しさにハッとさせられました。上品で控えめだけどなぜか艶っぽい。これぞ大人にしか醸し出せない和の“粋”なのだと実感しました。そう、きっと着物には大人の女性を輝かせる何かしらのヒミツが隠されているのです。はたしてその魅力とは何か? 美しく着物を装う女性たちに教えをこう、“おきものいろは”新連載です。

第一回は、四季折々の美を宿す和の彩りから「桜色」をテーマに。1年365日のほとんどを着物で過ごすという木下着物研究所の女将、木下紅子さんに伺います。

INDEX

薄い水色の着物に藤色の霞暈し(ぼかし)の名古屋帯を。主役の帯を引き立たせるため、帯揚げと帯締めはライトグレーで控えめに

人生を変えた着物との出合い

都会の街並みにもすっと馴染むモダンな着姿。紅子さんのお着物はきちんと正統派でありながら、色使いや着こなしにクールで洗練された雰囲気が漂う。お仕事はもちろん、プライベートや旅先でも、彼女にとっては着物がデイリークローゼット。「着物に出合って人生が変わりました」と笑顔を浮かべる。「元々興味はあったんですが、結婚を機に主人に誘われ着物の仕事を始めたんです。そのとき『人にご紹介するならちゃんと自分が着ていないといけない』と言われて。それからほぼ毎日を着物で過ごすようになってもう12年ほど経つんですけど、30代後半くらいですかね、歳を重ねた自分がとても良いなと思えたんです。ちょうど体型や見た目の変化で自信がなくなったりする時期ですよね。でも着物って年齢が“箔(はく)”になるんです。50代、60代の方がさっと着こなすと、例え着慣れていなくても毎日着ている私も叶わない、歳を重ねたからこそ出せる“重み”みたいモノが出る。着物のおかげでいろんなお仕事もさせてもらえるようになったし、何より自信が持てますよね。着物に出合ってなかったら全く違う人生だったなと思うんです」

初めての色を冒険するなら小物から

澄んだ水色の着物に合わせたのは、今月のテーマ“桜色”にちなんだ、ほんのり赤味がさした藤色の染め帯。春の空に咲く淡いソメイヨシノのようで、女性らしさにキリッとした清々しさが同居する。「青みがかったクリアな色の方が顔映りがいいので、普段からあまりピンク系を着ることはないんです。でも、春色を取り入れてみるのも今の季節ならではの着物の楽しみ方。馴染みのない色は、着物だとやはり面積が大きくなるので取り入れづらいですよね。まずは帯や小物など小さな面積から挑戦してみるのがオススメです。初めての色でも、着物に比べて手ごろな小物ならちょっと冒険してみることができると思うんです。私も今日は帯の色をポイントに着こなしてみました。この帯は暈し(ぼかし)のところに刺繍が施してあるんですけど、動くと角度によって糸がキラリと輝くんです。着物や帯は目にしたときの美しさもありますが、やっぱりまとったときが一番。人の動きがともなってこそ美しいんですよね」

藤色の帯締め18,000円、しけ引きの帯揚げ17,000円(共に紅衣 KURENAI)※税別

甘辛?可愛らしく? 小物ひとつで印象がチェンジ

「小物は冒険もしやすいし、実は面積が小さくなればなるほど時代感も出やすいんです。いただき物の古いお着物でも、小物を今っぽく変えてあげるだけで印象の鮮度が変わってきます。あとはどう着こなしたいかの演出。桜色でも帯締めに色を持ってきながら、帯揚げは少しクールにした合わせ方(写真上)なら、大人のピンクの装いになりますよね。分かりやすくいうなら、例えば今日の私の着こなしなら女子会向きといったところでしょうか。デートなら帯揚げも今合わせているライトグレーから藤色に変えてもっと甘くしてみたり、年上の方との集いなら大人っぽいピンクよりも少し柔らかなサーモンピンクへと帯締めの色を変えてみたり。同じ着物と帯でも、小物のさじ加減だけで印象が全然変わるんですよ。ですから、初めはまず小物をいろいろ揃えてみると良いと思います。選ぶときには色味だけではなく締め心地にも注目してください。化粧品も見ためだけではなく自分の肌にのせて選びますよね。帯揚げや帯締めも、結び心地が良いものだと形が決まりやすく、美しい着こなしに仕上がるんです」

着物のときビューティで気を使う点は?

紅子さんがいちばんケアしているのはお肌のコンディションを整えること。「着物は布が物語るんですよね。美しいものを美しく着たいので、布に負けてしまわないよう肌の調子を中から整えることを意識しています。基礎化粧品はオーガニックのものが中心で、食生活にも少し気を配っています。メイクではアイラインをしっかりと入れて、キリッとさせた方がお着物姿には似合う気がします。シャドウも肌をキレイに見せてくれるパール調くらいまでで、ラメには頼りすぎない方がいいのではないでしょうか。あとみなさんにお伝えしているのがハンドグリーム。着付けの前には必ず手を洗うようにおすすめしていますが、ハンドクリームも油分が着物につかないように前日の夜までがいいですね」

湯船に毎日が美しい着物ライフの秘訣

コンディションを整えるために行っているもうひとつが、毎日のバスタイムでしっかりと湯船に浸かって温まること。「着物は肘から下と膝から下が意外と冷えるんです。なので、真夏でも毎日しっかりお湯に浸かるようにしています。そのときに愛用しているのが肌にも優しいdo organicのバスソルト。お着物だと香水をつけなくなり、香料が苦手になってしまったのもあって自然の香りのものを選んでいます。バスソルトなので身体の芯から温まるんですよね」

do organicのアロマ ソルト フォー バランスのボトル(300g 本体価格2,000円)はご自宅で。その日の気分やコンディションに合わせて3種の香りからセレクト。旅先でも1回分のパッケージ(30g 本体価格400円/共にジャパン・オーガニック)を欠かさず持って行くそう

ドゥーオーガニック アロマ ソルト フォー バランス

容量・本体価格 30g・400円 / 300g・2,000円

着物は“着る人が最後のデザイナー”

「着こなしによって大人っぽくも可愛くも、そして色っぽくも演出できるのが着物です。“着る人が最後のデザイナー”とよく言われるんですが、自分がどうなりたいかで着姿を変えることができる。胸元のボリュームが変わったり、肩のラインが華奢になったりと、歳を重ねた体型の変化にも柔軟に対応できる包容力があります。私にとっては何よりいちばんの勝負服、最強の“武器”ですね(笑)」と紅子さん。次回「若草色」がテーマの5月のインタビューでも、着物の魅力ついてさらに深く語ってもらっているのでお楽しみに。

4月のおきもの”い・ろ・は”

い:桜色とは。桜の咲く春にはやっぱり着たくなる淡い紅色。日本人の好きな色で、江戸時代の人々にもポピュラーだった鼠色と掛け合わせた“桜鼠”のような渋い色も流行したとか。

ろ:帯締め&帯揚げとは。おしゃれの腕の見せ所の小物だけれど、もちろん帯を結ぶ際に欠かせない機能パーツ。帯枕を包んで美しく見せる帯揚げに、結んだ帯を固定するために使う帯締め。帯揚げなら色柄や素材感、帯締めは組み方・色柄、太さなどさまざま種類があって、いずれもシーンや季節によっても合わせ方が変わるので、初心者はお店の人に教えてもらいながら選ぶのがベター。

は:名古屋帯とは。カジュアルなお洒落着用の帯のこと。フォーマルやセミフォーマルでは袋帯を使いますが、最近は格調の高い柄の名古屋帯なら略礼装でもOKとされています。ベーシックなお太鼓で結んだときに背の“お太鼓”のところが二重になる長さの帯が袋帯、一重になるのが名古屋帯(長さは3m60cmくらい)。大正時代に名古屋で考案されたから“名古屋帯”というストレートなネーミング(!)で、袋帯より軽くて扱いやすいので戦後に広まったそう。

PROFILE

木下紅子さん

木下紅子さん

木下着物研究所 女将、紅衣 KURENAI主催。ご主人の木下勝博氏と共に老舗博多織元の着物ブランド立ち上げに従事。平成28年に自身の着物ブランド「紅衣 KURENAI」をスタート。研究所のサロンでは着物の見立て、誂えからメンテナンスまで相談ができ、ほぼ100%着られるようになるというマンツーマンの「着方教室」も主催する。着付師範、和裁技能検定優秀者、日本茶アドバイザー。

著書「あたらしい着物の教科書」。伝統を踏まえつつも、これからの装いに役立つ情報や考え方を提案した、着物初心者も応援してくれる1冊! 日本文芸社より発売中

撮影 西田香織
取材・文 石井愛子

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