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2020/09/04

初期設定がサステナブルなプロダクトを。長田杏奈さんがいま惹かれるコスメ

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動植物の循環を見守る日々

車を持たない我が家の駐車スペースは、かつてアリも通らないような無機質なコンクリート空間だった。しかし今では、家族に引かれるぐらいたくさんの鉢を並べ多種多様な植物を育てていて、トンボやちょうちょ、小鳥も猫も遊びにくる。睡蓮鉢では、毎年メダカやエビの赤ちゃんが生まれる。

私にとって庭はささやかな手製の天国のようなもので、四季折々の花を丹精し小さな生き物たちの循環を見守ることが、日々の憩いになっている。

美容好きかつ園芸好きなので、各メーカーの自社農園のエピソードを聞くのが好きだ。オリジナルのバラ品種まで持っているディオールガーデン、イヴ・サンローランゆかりのモロッコにあるウリカガーデン、アルビオンの白神ファーム、独自の循環型農園を営むアスレティアガーデンに山田養蜂場の山田みつばち農園……。

環境に配慮しながら土地に合った植物を育てて研究し、その恵みをプロダクトとして世に送り出し、地域にも貢献する。美容から始まるグッドスパイラルの具体例を、いつか根掘り葉掘りコンプリートしてみたい。

我々生物を生かしてくれている土の奥深さ

敬愛するイギリスの園芸家モンティ・ドンの庭番組を見ていたら、専用の種まき小屋でスパイスから作るカレーのごとくいろいろな土をブレンドしていた。マイブレンドに憧れつつそんなスペースもないので、今のところは市販の培養土を買っている。

ひとくちに培養土といっても、ピンからキリまであり、それなりに投資すればしっとりふかふかの滋養がありながら水はけが良い土が手に入るが、ちょっとケチると水やりの時にピートモスがぶくぶく浮いてくるハズレの土にあたることも多い。植物の性質と人間の世話のクセ、土の相性がハマるとそれはそれは気持ちよく育つので、日頃から土の奥深さや大切さを感じている。

先日、園芸仲間に誘われてギャラリーで植物画を見たあと、ふらっと植物園に寄った。ちょうど、土の研究者である藤井一至さん監修の「僕らは土と生きている」展が開催されていて、ポスターには「世界はたった12種類の土でできている」と書かれていた。

たった12種類!? 説明書きに寄れば、土は単に砂や落ち葉が細かくなって混ざっただけのものではないのだという。ミミズなど土の中の小さな生物が砂や落ち葉を食べて排泄したフンが、さらに大量に蓄積され熟成され、気の遠くなるような過程を経て初めてふかふかと豊かな土壌が育まれる。

私たち人間を含め生物は呼吸をせずには生きられないが、その呼吸のための酸素は植物によって生み出される。多くの植物は、だいたい30~50cm、大きな樹木でもせいぜい約1.5mの深さに根を張るという。

「地球の表面の薄い薄い皮のようなたった2m弱の部分の土壌に支えられて、我々生物は生きているのです」。

土という地球の薄皮と植物のおかげで、今日も無事に息ができている。

コスメも、土に還るプロダクトを選びたい

「化粧品は利益率が高いから(儲かるんでしょ)」とよく言われる。特に近年では異業種からの参入も増えていて、競争が激しいぶん洗練もされるし、画期的なプロダクトがたくさん生まれている。

その恩恵をさんざん享受する一方で、たまにそら恐ろしくなってしまうことがある。毎シーズン数え切れないほどたくさんのプロダクトが次々と生まれているけれど、この物たちはなんとか再び上手いこと土に還っていけるのだろうか。コスメに囲まれるのはうれしいけれど、使い切れないことだって、別れ際の分別作業に悩むことだってある。

ときめきとよろこびをもたらすコスメに対して一抹の後ろめたさも感じたくないから、初期設定がサステナブルなプロダクトが当たり前になってほしい。もはや贅を尽くした手厚いパッケージは自分のためのものとは思えず、跡形も残さずにきれいにいなくなるよう設計されたパッケージにより惹かれるようになってきた。

最近見たなかでは、植物療法士の森田敦子さんがプロデュースした「waphyto」のパッケージが印象的だった。22製品のラインナップは、すべて異なるアースカラーと日本の伝統色のパレットで彩られ、素材には使用済み製品を再生したPCRプラスティックが用いられている。

パッケージは韓国の「OLIVE PACKAGING」社製。韓国ではデザイン性とリサイクル性を兼ね備えたパッケージを、機動力高く作り上げるという点でとても進んでいるのだそう。

環境をどんどん汚したい人なんてそうそういないはずだけれど、便利でイケてるものを気分でとっかえひっかえする誘惑をなかなか手離せないのもまた人間。それなら、機能性が高くてイケていて、余裕で土に還るプロダクトを生み出す人間と、そういうものを選び取れる人間が増えればいい。私もその一員でありたい。

プロフィール:長田杏奈(おさだ・あんな)さん

美容ライター。美容をメインに、インタビュー記事も手がける。著書に『美容は自尊心の筋トレ』(Pヴァイン)、責任編集に『エトセトラ VOL.3 特集:私の私による私のための身体』(エトセトラブックス)。メイクアップアーティストの吉川康雄さん、写真家の前康輔さんとコラボした『あなたは美しい。その証拠を今からぼくたちが見せよう。』(大和書房)が刊行予定。

長田杏奈 Twitter (@osadanna)
長田杏奈 Instagram (osadanna)

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