目的地は、日本における印象派の聖地・ポーラ美術館。宿泊は、今、注目のブックホテル
・箱根本箱という文化の旅です。
2019年8月10日から12月1日まで開催されているのが、「シンコペーション:世紀の巨匠
たちと現代アート」。
“シンコペーション”は音楽用語。パンプレットによると
「シンコペーション」(切分法)とは、音楽において、リズムを意図的にずらし、楽曲にジャズのセッションなどで、奏者がリズムをずらしてニュアンスを変えていくような、そ
表情や緊張感をあたえる手法です。
んなイメージでしょうか。
今回は、ポーラ美術館所蔵が所蔵するモネ、セザンヌ、ピカソ、ダリ、ルノワール、ロダ
ンといった巨匠たちの作品と、ピカピカの現代アートの作家たちが”共鳴””共振“して、新た
な作品を生み出したもの。
まずは、いちばん好きだった作品。
モネ≪睡蓮≫×セレスト・ブルシエ=ムジュノ
今回の展覧会のパンフレットの表紙にもなっている作品。
円形プールの中を、大小のボールがゆったりと流れ、ぶつかり合い、自然のゆらぎが音を
つくっていく。自然の中で、風に吹かれるような、心地よい響き。
池=プール、睡蓮=ボール。見た目にもわかりやすく相似。
そして、まさにジヴェルニーの庭で、くつろいでいるような穏やかな気持ちに。
まさに“シンコペーション”!
器がぶつかり合う音自体も心地よく、そのタイミングも強さも、計算されたものではない
安らぎがあり、他の作品を観てから、2度3度戻ってくるほど、お気に入りの作品でした。
2番目のお気に入り。
東洋陶磁×オリヴァー・ビア
明時代のツボ、エルトリアの陶器、コンゴの仮面、水差し、砲弾など、”器“のもつ音を拾
い出すインスタレーション。
内部に空間のあるもの=器は、常にかすかな音を発生している。それをマイクで捉え、増
幅し、プログラミングしたミキサーで強弱をつける。
時代、国、役割が違う、それぞれの歴史を持つ“器”の音が、ひとつの不思議な音楽を紡ぐ
というインスタレーション。
遠い時間に思いをはせる、不思議な時間を演出してくれる作品でした。
3つめのおすすめ。
ポーラ美術館の敷地には「森の遊歩道」があります。全長670m、ゆっくり散策して20分
程度。ブナやヒメシャラの林の中に、アイ・ウェイウェイなどの彫刻作品が展示されてい
ます。
今回は、サウンドアートをけん引するスーザン・フィリップスが、森に溶け込む幻想的な
音色を響かせています。森の力と音の力で、ふだんのストレスと優しく開放してくれる作
品です。
「現代アートは難解」というイメージがありますが、今回ご紹介した3作は、解釈などを
考えず、ただ体感して楽しめる作品です。
機会があれば、ぜひ行ってみてください。
12月1日まで開催
シンコペーション:世紀の巨匠たちと現代アート | ポーラ美術館
https://www.polamuseum.or.jp/exhibition/20190810s01/
ポーラ美術館
神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285 MAP
0460-84-2111
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