
知られざる日本のBEAUTYを再発見!@cosme NIPPON PROJECTでは、日本ならではの美容文化や美容素材、美容技術を発掘し配信していきます。
日本には、その土地ならではの「美容素材」や世界に誇る「美容技術」から生まれるコスメがたくさんあります。例えば「糀」もそのひとつ。本連載では、そんな「日本のコスメ」を支える素材や技術を紐解き、知っているようで知らなかった日本コスメの魅力をお伝えします。


「こうじ」を表す漢字は2種類あり、麦や米、大豆などを使った一般的な「麹」と、お米を原料とする米麹のみに使用される「糀」に分かれます。「糀」は明治時代に作られた和製漢字。お米を原料とする米麹のみ敢えて別の漢字を作るほど、日本人にとってお米が特別で身近な存在だったことが分かります。
糀を使った代表的な食品といえば、数年前にブームとなった「塩糀」が記憶に新しいですが、最近では、糀を使った甘酒が“飲む点滴”と呼ばれるなど、栄養豊富な糀の健康・美容への効果も期待されています。
糀の持つ不思議な力が肌にうるおいを与える
近年国内でもブームが続いている日本酒もそのひとつ。米・糀・水を原料とし、酒蔵を守る杜氏(とうじ)たちの職人技によって、丹精込めた酒造りが日々行われています。
酒造りでは『一、麹(糀) 二、?(もろみ) 三、造り』という言葉があるほど、糀は酒のいのちとも言えるもの。蒸した米に種糀(たねこうじ)を振りかけると、しばらくして糀菌が繁殖。米の中に眠っていた糖やタンパク質などの栄養を引き出します。湿度・温度の管理が重要な糀づくりは、わずかな違いで酒の仕上がりを左右する繊細な作業。熟練の職人たちの経験と技術が凝縮されているのです。

そんな日本酒造りを支える杜氏の手は、毎日冷たい水にさらされているにも関わらず、糀にふれているときは見違えるようにつるつる、すべすべになります。そこに着目した化粧品メーカーが、糀を取り入れたコスメの開発に着手しました。そのひとつがロート製薬です。
「国産の原料を使って日本人の肌に合う化粧品を開発しようと、さまざまな地方の自然素材を比較していく中で、糀と出会いました。冬場にはガサガサになることもあるという杜氏の手肌をうるおす、その不思議な力に惹かれたんです。糀に魅了されたロート製薬は、糀の力を活かしたスキンケア商品の開発を開始しました」

そう話すのは、ロート製薬の湯浅晶子さん。タッグを組んだのは、米どころ新潟で糀専門店を営む「古町糀製造所」。杜氏や蔵人(くらびと)とともに培った糀づくりのノウハウを持っていることに加え、糀の魅力を伝え、新潟を活性化させたいという同社の企業姿勢にも大いに共感したといいます。
糀から抽出したエキス配合のスキンケアアイテムが誕生

そして、その白糀コメエキスを配合したスキンケア商品「糀肌」が誕生。ブランド第一弾となる「糀肌くりーむ」は、化粧水、乳液、美容液を兼ね備えたスキンケア商品としては珍しく、淡雪のようなふんわりとしたテクスチャーが特徴的です。
「糀肌に使われているのは新潟産のお米。より天然素材らしさが伝わるようにと、ふんわりしたやさしい質感にこだわりました。このテクスチャーに仕上げるのには、開発担当者も非常に苦労したと聞いています」(湯浅さん)
新潟米にこだわり、その他の原料も極力自然素材を使用して、肌にうるおい・ハリ・つやを与える糀肌の製品は、ナチュラル志向のユーザーから高い支持を得ているといいます。お酒のほのかな甘い香りが楽しめるのも魅力です。

日本酒は海外からも「SAKE」の愛称で親しまれ、そのおいしさは徐々に広まりつつあります。今後は糀肌のようなスキンケア商品を通して、原料の糀に含まれる高い美容効果、そして職人たちの繊細な手仕事にも注目が集まるかもしれません。
*…加水分解コメタンパク
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画像提供/ロート製薬
取材・文/芳賀直美
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