
知られざる日本のBEAUTYを再発見!@cosme NIPPON PROJECTでは、日本ならではの美容文化や美容素材、美容技術を発掘し配信していきます。
これまで@cosmeに寄せられたクチコミの中で、最もクチコミ件数の多い商品は何だと思いますか?答えは「大島椿(ツバキ油)」。なんと総クチコミ件数は26,113件(2017/3/24時点)。@cosmeメンバーさんに支持されるコスメは、まさに日本のコスメと言えるものでした。

1番最初のクチコミは、なんと2000年!
日本古来のマルチオイル「椿油」とは?
今回は美容素材としての「椿」に焦点を当て“日本のコスメ“の魅力に迫るべく、大島椿社 広報部マネージャー 坂本薫さんにお話を伺いました。
「椿油」とは、ツバキの種子から搾油して得られるオイル。全世界に250種余りの原種が知られるツバキ属の中で、日本で最も一般的なツバキがヤブツバキであり、上質のオイルが得られます。

大島椿の資料によれば、ヤブツバキは日本原産の樹木であり、700年代の日本書紀にも登場しているのだとか。当時も圧搾して得た椿油を利用しており、量が少ないゆえに貴重品だったといいます。
「いまでも上質な原料はとても稀少なものです。ツバキの種子が採れるようになるまでに、植えてから20年〜30年かかります。それを当社では、昔ながらの“圧搾方式”で絞っているのですが、1粒から得られる量はわずか0.3グラム。つまり、大さじ1杯にするには45粒も必要な計算で、改めて贅沢なオイルだと実感します」

“圧搾方式”とは、圧力をかけることで種子の油分を分離する製法。搾油量が少なく、手間がかかる方法です。対して、化学的な液体で溶かして分離するのが“溶剤抽出”。圧搾よりも効率よくたくさんの原油が取ることができることから、大量生産ではこの方法がとられています。
オイルの質を左右するのはメーカーのこだわり
「一般的にツバキが自生するのは温暖な地域や海岸が多く、北限は青森県の夏泊半島だといわれています。有名どころとしては、伊豆諸島や長崎県五島列島などで、大島椿も伊豆大島が発祥です。創業者が大学の卒業論文のテーマを探しに伊豆大島を訪れた際、そこに自生するツバキから採れるオイルに出合ったことがきっかけで、「大島椿」が生まれました。もともと伊豆大島では、ツバキの木を防風林として使っていたそうです。想像するとまさにツバキの島という感じだったのはないでしょうか」

日本各地に自生するツバキだけに、その土地土地にヒストリーがある。となると椿油も産地によって特徴があるのか、興味深いところですが、最終的にはメーカーのこだわり。技術力が品質を左右するといえそうです。
「椿油100%の「大島椿」をはじめ、当社が製品に使用する椿油はすべて精製しています。精製とは、ツバキの種子を絞った原油から夾雑物(きょうさくぶつ)を取り除くこと。この工程次第で、オイルの質および使用感は大きく変わってきます。当社では、酸化しにくく安定したオイルにするため、独自の厳しい基準を設け、においやベタつきのない、さらりとしたテクスチャーに仕上げています」

椿油のもつ美容効果。カギはオレイン酸

他にも、紫外線ダメージからの保護をはじめ期待される働きはまだまだあって、研究も進んでいるのだとか。椿油は昔からあるものなので、おばあちゃんやお母さんも使っていた「なんとなくいいもの」という、ふわっとしたイメージでとらえられがちですが、実は化学的にみても、すぐれたオイルだということが分かります。
用途についても、髪、頭皮、肌はもちろん、ネイルやハンドケアにも向いている。刺激が少ないのでマッサージオイルとしてもおすすめです。
ちなみに、「大島椿」の働きぶりを解説すると…
取材・文/染谷晴美