美容業界で働く人の日常に隠された“もう一つの人生ドラマ” 『美容部員のリアル〜40代編〜』

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美容業界で働く人の日常に隠された“もう一つの人生ドラマ” 『美容部員のリアル〜40代編〜』
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仕事には“自分自身”が色濃く反映されているもの。どうしてその仕事に辿り着いたのか? 仕事をしながらどんな日常を過ごして、どんなことに幸せを感じているのか? そして今後どう生きていくのか? 本連載は「美容部員」として働く人々にフォーカスし、その人生ストーリーに迫ります。

現在49歳のC子さんは、新卒で入社した証券会社の一般職を約4か月で退社。もともとやりたかった美容部員の仕事を求めて、ドラッグストアのコスメカウンターのスタッフとして働き始める。その後は母親の介護の関係で何年間か仕事を休みながらも、キャリアを着実に積み重ねていく。2017年の冬に@cosmeキャリアに登録し、現在のドラッグストアで働き始めて約1年が経つ

離職率の高い美容部員。続くか続かないかは“人をキレイにするのが好きかどうか?”で決まる

———美容部員のお仕事を長く続けていらっしゃいますが、もともとはどのような動機でこの業界に入ったのでしょうか?

「叔母が美容師をやっていたのですが、成人式のときにメイクでガラリと変わるお客さまたちを見て影響を受けました。眉毛の形やリップの色ひとつで見違えるくらいキレイになる。その変化が楽しくて、コスメ関係のお仕事をしたいなぁと思いました。

それと、私が中学生のときは、ちょうどビジュアル系バンドが出てきた時代。玉置浩二さん、吉川晃司さん、本田恭章さんなどです。私自身、音楽も大好きだったんですけど、“男の人がメイクでここまでキレイになるんだ”と衝撃を受けましたね」

———美容業界は入れ替わりが激しいという話も聞きますが、そのあたりは長くいらっしゃっていかがでしょうか?

「そうですね。やっぱり華やかなイメージがあるけれど、やっていることはものすごく地味。なので、そのギャップを感じて辞める方は多いかもしれません。

最初に就職した会社では、40人くらいいた同期が、1年で半分くらいに減ってました。特に若い子の定着率が悪いのは、今も昔も変わってないみたいです」

———続ける人と辞めていく人の違いってあるのでしょうか?

「昔の美容部員の同期や、今の現場で働いているスタッフさんを見て思うのが、やはり“人をキレイにするのが好きかどうか?”。また純粋に化粧品が好きかどうかも関係してくると思います。

もちろん、私自身もそうです。以前、どんな化粧品を使ってもかぶれてしまうという悩みを持ったお客さまがいて、何年も皮膚科に通っていらっしゃったみたいなんですけど、お話を聞いて商品をすすめたところ、1か月後にキレイになったお肌で来店してくださったんです。この仕事をやっていて良かったって思いましたね。もちろん、最初は接客がうまくいかず落ち込むことも多かったですけどね」

お客さまに対して“縁がなかった”と思うことも大切

———どんなことで落ち込んでいたしょうか?

「販売する側とお客さまは“縁”なんですよね。先ほどの方のように、縁があって喜んでくださる方もいれば、私から買いたくないって思う人もいるのはしょうがないこと。でも若いときは、今ほど経験も知識もないので“あなたより、知識のある人に代わって”と言われたりすることもあって…。

それでいちいち落ち込んでいたのですが、当時の先輩に“そこで一喜一憂していたら、この仕事は続かない。切り替えないとダメ”と教えていただきました」

———でも、なかなか頭ではわかっていても切り替えは難しいのではないでしょうか?

「そうですね。難しかったです。でも、もやもやした気持ちで店頭に出ると、それが顔に出てしまって。“顔に出ちゃってるから、直して!”って、注意されるんです。今と違って、先輩や上司からはストレートに言われる時代で、それはそれで傷つきましたけど(笑)。もう慣れていくしかなかったですね」

美容部員に向いている人、向いていない人

———今と昔は後輩や部下への指導の仕方が変わってきてると思うんですが、若い方に指導するときはどうしていますか?

「なぜ直して欲しいのか? どう直して欲しいのか?をいちから丁寧に説明します。それでも、若い子はふてくされてしまうことも多いんですけどね。“ここはいいんだけどね”とひとつ褒めるようにもしています。あとはその人の性格を見て、判断します。褒めて伸びる子もいれば、叱られて悔しい!って頑張る子もいるので」

———ちなみにこの業界で、向き不向きってあるのでしょうか?

「新人の頃はわからないことだらけだと思うんですけど、わからないなりに一生懸命な子はそれがお客さまにも伝わるし、こちらもフォローすることができます。そういう子はわからないことがあると、必ず“こういうときは何て言ったらいいですか?”って絶対聞いてくるんです。だから伸びますよね。逆にわからないことをわからないままにしている子はダメですね。すぐに辞めちゃったりします。

ただ若い子たちを見ていて、全体的にコミュニケーション力がどんどん落ちているなぁと最近感じますね」

———どんなところで感じますか?

「例えば、ドラッグストアなどのコスメカウンターは、1個の店舗にたくさんのメーカーさんが入ってることが多いのですが、他のメーカーさんや店舗のスタッフさんとコミュニケーションをとっておくことが仕事上大事。でも、そこで“今日は天気いいですね”っていう当たり障りのない会話ができないんです。“なんて言えばいいかわからない”となってしまうんです。

それとスマホ世代の子たちの情報は全てスマホで収集して、わからないことを人に聞かないんですよね。“人に聞く前にある程度調べる”っていうことももちろん大事ですが、最終的には人の話を聞いて、会話をした方がいい。ネットの情報を参考にするのはいいけれど、鵜呑みするのは良くないと個人的には思いますね」

仕事以外に自分の好きなことやコミュニティを持っておく

———色々と勉強になるお話ありがとうございます。これだけ経験があって
も、やはり仕事のストレスはあると思うのですが、どうやってリフレッシュしているのでしょうか?

「私、吉川晃司ファンを35年やってまして(笑)。もう大ファンなんです。だからそのライブに行くことですね。1回のツアーで3、4か月くらいかけて15本くらいやるんですけど、全部行くので毎週ライブに行くスケジュールです。デビュー当時からのファン仲間が15人くらいいるんですが、ライブが終わったあとはみんなでオフ会などをして楽しんでいます。

そういう好きなことに浸ることで、うまく気持ちを切り替えたり、嫌なことを忘れたりしてうまくバランスを取ることが大切ですね」

———そういう意味でいうと、仕事以外に自分の好きなことやコミュニティを持っておくことも大切ってことですよね。

「そうですね。スマホ依存っていう言葉がありますけど、スマホの中だけでなく、リアルにコミュニケーションを取れる場所を持っておくのがいいと思います。そういう場所があれば、仕事のことを忘れて思いっきりストレス発散できます。仕事とプライベートにきっちりメリハリをつけるという意味でもおすすめですね」

最近では、ワンオクTakaの弟 Hiroのバンド、マイファスことMY FIRST STORYもお気に入りでライブにも足を運んだそう。吉川晃司のファン友達から教えてもらって好きになったのだとか。
※撮影の許可を得た画像です

写真は吉川晃司のライブに行った時のもの。ご本人が着物好きということを受けて、ファン仲間みんなで着ていくことも多いのだそう。

年齢とキャリアを重ねることで人生が豊かになっていく

「人をキレイにしたい」という気持ちは、昔も今もこの先も変わらない。だからこれからもずっと美容部員の仕事を続けていくというCさん。年齢とキャリアを重ねることによって滲み出るかっこよさや潔さは、@cosme世代の憧れとも言える存在です。

“経験を積んだからこそできるようになったことがたくさんある”というCさん。仕事は続ければ続けるほど働きやすくなるし、仕事へ愛も深まり、人生が豊かになっていく。働く女性として私たちの道筋が見えたインタビューでした。

「自分らしさ」を大切にしていきたい

今はさまざまな働き方を選べる時代。選択肢がたくさんあるぶん自分の仕事について悩む人も多いのではないでしょうか。私の居場所はここ? もっとやりたいことがあったのでは? もしその疑問が少しでも自分の中にあるなら、答え探しの第一歩は“知ること”から。@cosmeキャリアでは業界のプロによるキャリア相談やセミナーなどのサポートも多数。自分らしい働き方を見つけるきっかけにしてみては?

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