ヘルスケア
2018/04/15

【女性のがん特集】vol.10 乳がんの治療。“標準治療”は今ある最高の治療法です!

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更年期世代以降に注意すべき女性のがんについて、女性医療の視点で医療ジャーナリストの増田美加がお届けします。
女性のがん、10回目は乳がんの治療について。乳がんの最先端の治療についてお伝えします。

がんでも生きて働く時代になったからこそ

今の日本女性の乳がん罹患率は、がんの中でトップです。
毎年約7万4千人が新しく乳がんにかかっています。最新の予測では、一生のうちで11人に1人が乳がんにかかるという数字も。
これは、もともと、乳がんの罹患率が高かった欧米並みに近づいていることを意味します。
しかし、欧米は60代70代と年齢が上がるごとに乳がんが増えているのですが、一方で日本は40代、50代という元気な働き盛りの年代に多いということが特徴なのです。

なぜ日本は、若い40代50代に乳がんが多いのか? 

子どもを産む数が減ったことと、食生活の欧米化の影響ではと言われていますが、明確な理由はわかっていません。


乳がんは罹患率だけでなく、死亡率も右肩上がりです。いまだに乳がんの死亡率が下がらないのは、先進国で日本だけです。

悲観的な数字ばかりを示しましたが、一方で乳がんは、がんの中で最も生存率が高く、生きられる病気です。乳がんのうち超早期なら98%、全進行期の平均で見ても80%以上の人が生きられます(5年生存率)。

この背景には、確かな治療法の進歩があります。乳がんの今ある最高の治療についてご紹介します。

治療法はひとりひとりのリスクに応じて組み合わせて行います

ひと昔前は、乳がんから命を守るために、できるだけ大きく乳房を切除する…という治療が一般的に行われていました。

しかし、医療が大きく進歩し、現在では手術で切除する部分はできるだけ小さくして、一人ひとりのリスクに合わせた、薬物療法や放射線療法を組み合わせる治療が中心になりました。
 まさに、個別化治療です。

早期と進行したがんでは治療内容が全く異なります!

今、乳がん医療は、個別化治療の時代です。
がんの性質やステージ、リスクを適切に診断して、それによってその人に合ったオーダーメイドに近い治療が提案されます。
そのため、患者側は、医師任せにせず、治療内容を十分理解して、自分で選択することが求められます。インフォームドコンセントですね。

進行したがんと早期のがんでは治療が違う

治療内容は、早期のがんと進行したがんでは全く異なります。

目安ですが、早期の0期なら、手術で乳房内のがんを取り除き、放射線治療を行えば治療終了。副作用も最小限です。
乳がんは、乳房を切除する手術を嫌がる人もいるのですが、手術でがんを取り除けるということは、早期の証拠。進行すると、がんがあちこちに広がっているため手術では摂り切れなくなるのです。

進行したがんの場合は?

リンパ節への転移を起こしている進行したがんでは、全身にがん細胞がさまよい、転移、再発の危険にさらされます。そのため、手術後の薬物療法で、どこかに潜む見えないがんを叩いて、再発を予防する治療が必要になります。

再発予防のための薬物療法には、ホルモン療法、化学療法(抗がん剤、分子標的治療薬)などがあります。

副作用の強い抗がん剤を行わないで済むように、早期発見をして手術でがんを取り切れて、治る段階で発見することがとてもとても重要なのです。

治療はこのように進んでいきます

標準治療は、最高にエビデンスのある治療法です

標準治療というと、平均的な普通の治療だと誤解している人が多いですが、それは全く違います。
現状で、最もエビデンスの高い優れた治療が標準治療なのです。ですから、まずは標準治療を第一選択にすべきです。

医療では、最先端治療、最新治療よりも、標準治療のほうがエビデンスの高い最善の治療(ゴールドスタンダード)です。最先端治療、最新治療は、まだ開発中の実験的な治療のことです。
最先端、最新などの耳障りのいい言葉に誘われて、高額な自由診療の免疫療法などは、くれぐれもいかないでください。

最後に、乳がんの3大標準治療をまとめました。手術、放射線、薬物療法(ホルモン療法、抗がん剤、分子標的治療薬)が乳がんにおける3大治療です。

手術

乳がん治療は、手術でがんを取りきることが基本です。乳房を残す「乳房温存手術(乳房部分切除)」と、乳房を全部切除する「乳房全摘手術(乳房切除)」とがあります。
腫瘍(しこり)が大きいと、術前(手術前)薬物療法で腫瘍を小さくして手術を行うこともあります。
リンパ節に転移がある場合は、リンパ節切除(腋窩リンパ節郭清)を行います。副作用に腕や手のむくみがあります。

放射線

放射線は、がん細胞の増殖を阻害する治療です。乳がんの場合は、乳房温存手術のあと、乳房、リンパ節だけの局所に放射線を照射する治療として行います。
多くの場合、約1か月間で、外来での治療が可能です。
副作用は、皮膚が日焼けのように赤くなりますが、治療終了後1~2週間でほとんど改善します。皮膚の黒ずみ、かさつきが残ることもありますが、1~2年で元に戻ります。

薬物療法  ホルモン(内分泌)療法

手術後に、病理検査でがん組織を調べます。その結果で、ホルモン受容体のある乳がんである場合には、女性ホルモンががんの増殖に影響していることになります。
そこで、女性ホルモンの分泌や働きを止めるホルモン剤を使った治療を行います。治療期間は5年~10年間が目安です。
副作用は、抗がん剤に比べて軽いのですが、ほてり、のぼせ、発汗、うつなど、更年期障害と似た症状が出ます。

薬物療法  抗がん剤

リンパ節転移があって、体のどこかに潜んでいるがん細胞の死滅を目的にして、転移や再発を予防するために術後に行います。複数の薬を組み合わせて使用します。
抗がん剤は、がん細胞も殺しますが、正常細胞にとっても毒であるため、さまざまな副作用があります。
特に、新陳代謝の盛んな細胞が影響を受け、脱毛、口内炎、下痢、白血球や血小板減少などが起こります。ほかに、だるさ、吐き気、しびれ、皮膚や爪の変化が出ることもあります。

薬物療法  分子標的薬

がんの増殖に関わっているタンパク質(HER2=ハーツ―)の分子を標的に、その働きを阻害する薬を腫瘍の性質に応じて投与します。
手術後の病理検査で、HER2遺伝子が陽性の場合、分子標的薬による治療を行います。分子標的薬は、がん細胞だけを狙いうちにするため、一般的に抗がん剤より副作用が軽い治療です。

女性医療ジャーナリスト
増田 美加さん
女性の健康情報&患者視点に立った医療情報について執筆、講演を行う。女性誌やWEBでヘルスケアやアンチエイジングの連載を行うほか、テレビ、ラジオにも出演。乳がんサバイバーでもあり、がんの啓発活動を行う。NPO…

増田美加さんの女性のガン特集

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