【もくじ】

最近、腸内環境や、腸内フローラ(フローラとはお花畑のこと、腸内に細菌のグループがお花畑のように多様に存在して、それぞれがさまざまな働きをしているということを表しています)という言葉が身近になり、腸内環境を整えるということがダイエットに役立つということはよく知られています。

腸内環境改善のため必要なことは?

腸内環境を整えて、ダイエットに役立てるためには、どんなことが大切なんでしょうか?
腸内環境とダイエットについては 新しいことがどんどんわかってきていますので、前半、後半の二回にわけてわかりやすく説明していきます。

前半は、腸内環境を整えるために役立つ基礎知識と腸内環境を整えるための生活環境の工夫について、後半は、腸内環境の改善に効果のある成分とおすすめの食べ物について説明します。

【腸内細菌について】

腸内細菌には、さまざまなものありますが、乳酸菌、ビフィズス菌、大腸菌などはよく知られていますよね。腸内細菌の95パーセントはこうした嫌気性菌(生育に酸素を必要としない細菌)で、ヒトの健康への影響から、善玉菌、悪玉菌、日和見菌に大きく分けられます。

【腸内細菌の機能について】

しかし、詳しく調べるうち、いままで善玉菌といわれていたものにもあまり働かない効率の悪い菌がいたり、悪玉菌といわれていたけれどある人では実はよい働きをしているものもいることがわかってきました。いままでは、善玉菌、悪玉菌、日和見菌の割合は2:1:7くらいで、善玉菌が悪玉菌をおさえている、というバランスが理想といわれてきましたが
善玉、悪玉という分類だけではわけられないような機能があることがわかってきたんです。

【腸内環境とダイエットの関係】

人が太りやすくなる因子としては、環境、遺伝、神経系(交感神経や副交感神経など)、ホルモンなどがあります。
ここ最近、腸内細菌叢(腸内フローラ)が変化すると太りやすくなることが明らかになり、注目を浴びています。
例えば、年齢が上になるとバクテロイデスという悪玉菌が増えてくるので、腸内フローラのバランスが変わり、太りやすくなります。また面白いところでは、太った人にやせている人の腸内細菌を直接移すと、やせやすくなることも分かっています。
こうしたことから分かるように、腸内細菌とダイエットに関しては、腸内細菌の種類(善玉菌、悪玉菌、日和見菌)というよりは、腸内細菌それぞれの機能がどのように組み合わさって作用するかが関わっていると言えそうです。

【腸内細菌のベストな割合はひとりひとりちがいます】
腸内細菌にはさまざまな種類があり、それらがおたがいに助け合って生きようとする一方、生き残りをかけた競争もあります。そのため、ひとりひとりの生きてきた年数の間に生存競争で選ばれた、その人にあった優れた腸内細菌のタイプだけが生き残っています。このため、腸内フローラはひとりひとり違うんです。また、ヨーグルトなどでダイエットによい菌を腸にうえつけようとしても、腸内にもともといるその人にあった優れた菌にうち勝って増えなければいけないので、植え付けるのはなかなかむずかしいのです。

腸内環境をより良い状態に変化させ、ダイエットが効率よく、リバウンドしにくくなるようにするには、自分にあった善玉菌を増やすことが大切なのです。

腸内環境からみたダイエットのコツ

①ひとつの種類をある程度の期間(二週間など)ためしてみる

以前は善玉菌をふやせば腸内環境がよくなるといわれていましたが、最近は、善玉菌であってもなまける傾向が見られる場合や、悪玉菌や日和見菌と言われていた菌でも場合によってはよい働きをすることがわかってきました。ひとりひとりの身体の中で、どの善玉菌がどんなはたらきをしているのか、という事の方が大事になってきたんです。たとえば、ヨーグルトは腸内環境をよくするということは知られていますね。どのヨーグルトが自分の腸によりあっているのか、食べてみてお通じがよくなるか、体調が良くなった実感があるか、という判断をしながら、ひとつの種類をある程度の期間(二週間など)ためしてみることが大切です。それによって、自分の体調にあった善玉菌をある程度見極めることができます。

②カロリー制限によるダイエットをすると、腸内細菌の割合がかわる

カロリー制限によるダイエットをすると、腸内細菌の割合がかわり、太りにくくなることがわかってきました。でも腸内細菌が太りにくい良い割合に変わったとしても、ダイエットが短期間だと、ダイエットをやめてしまうともとの腸内細菌の割合にもどってしまうんです。自分にとって太りにくい健康的な食生活のパターンを手に入れたら、それを長く続けることが良い腸内環境を維持してダイエット後リバウンドを防ぐために大事です。

③プロ、プレバイオティクスを食事に取り入れる

プロバイオティクス(ヨーグルト、漬け物、味噌汁、粕漬けなどから良い乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を直接食べ物からとるもの)、プレバイオティクス( 食物繊維やオリゴ糖、レジスタントスターチ、難消化性デキストリンなど大腸で 善玉菌を増やすための栄養となるもの)をうまく食事の中に取り入れましょう

いくら善玉菌を口から送り込んでも、自分の腸内細菌にうちかって腸の中で増やすのはなかなかたいへんなので、プロバイオティクスをとりつつ、善玉菌のえさとなるプレバイオティクスを日常しっかりと取り入れるのがおすすめです。

④カロリーオーバーには気をつけて

たとえば、ヨーグルトはプロバイオティクスとして腸内環境の改善によいものですが、一方脂肪も含んでおり、摂り過ぎはカロリーオーバーのもとになりますので、気をつけましょう。

避けるべきもの、生活習慣から腸内環境を整える

①ストレス
仕事や人間関係でストレスがかかると、お腹や胃がいたくなることってありますよね。ストレスがかかると、交感神経や副交感神経のバランスが崩れ、腸内環境も悪化することが知られています。リラックスする時間をとり、
なるべくストレスを減らすようにこころがけましょう。

②カロリー制限や運動をする
カロリー制限や運動をすると、腸内細菌のバランスが変化し、よりやせやすくなることがわかっています。
カロリー制限がきつすぎるとストレスがかかります。するのであれば、軽いカロリー制限にとどめることをおすすめします。

③ドカ食い、高脂肪食
ダイエット中でも、がまんが続くとついドカ食いしてしまったり、お肉でも脂肪の多い霜降り肉を食べたくなってしまうこともあります。でも、ドカ食い、高脂肪食、これらは悪玉菌を増やしてしまうことになりますので、要注意です。

ダイエットに効果的な理想の腸内環境とは、 善玉菌が増え、それらが協力してうまく働いている状況です。善玉菌は大腸において、みずからもエネルギーをしっかり消費してくれ、一部のビタミンや短鎖脂肪酸など身体に良い物を作り出し、私たちが必要以上のエネルギーを食物からえてしまうことがないようにし、太りにくいからだにしてくれます。たとえちょっと食べ過ぎてしまう事があっても、腸内細菌がうまく稼働することで、リバウンドを防いでくれ、健康で内側からの美しさを保つことができるように助けてくれるのです。
次回は、善玉菌をふやすために役立つ成分やおすすめの食材について、説明していきます。

参考文献:Angelakis E et al. The relationship between gut microbiota and weight gain in humans. Future Microbiol. (2012) 7(1), 91-109.