【もくじ】

前半では、腸内環境を整えてダイエットを効率化するための基礎知識や生活での工夫について説明しました。
後半では、痩せやすい腸内環境に役立つ成分と、おすすめの食材について、説明していきます。

≪食物繊維≫
いろいろな研究から、食物繊維は肥満を防ぎ、ダイエットに効果的であることがわかっています。
Grabitske HA et al. Low-digestible carbohydrates in practice. J Am. Diet.Assoc. 108(10), 1677-1681(2008).
食物繊維が豊富だと、便通がよくなりますよね。お通じへの効果だけでなく、 腸内細菌は栄養として食物繊維を大腸で分解します。分解された短鎖脂肪酸も善玉菌をふやし、腸内環境の改善、ダイエットに役立ちます。食物繊維の中でも特に水溶性食物繊維は善玉菌がふえるための栄養として注目を集めています。

食物繊維は野菜、穀物、マメ科の種(だいず、あずき、いんげんまめ、えんどうまめ、えだまめなど)、くだものなどに含まれています。

水溶性食物繊維~水に溶ける食物繊維

水溶性食物繊維は特に腸内環境の改善に大切な成分です。
水溶性食物繊維はぬるぬるしたゲル状なのが特徴です。代表的な水溶性食物繊維は、くだものや野菜に含まれるペクチン、海草類に含まれるアルギン酸、こんにゃくに含まれるグルコマンナンなどです。水溶性食物繊維は腸管を保護し、大腸で腸内細菌に栄養として使われ、善玉菌をふやすのに役立ちます。それだけでなく、腸内細菌が分解されてできる短鎖脂肪酸が脳に働きかけ、食欲を抑えてくれる効果も期待できます。アボガド、ユリネ、オクラ、山芋、あしあば、海草類、ごぼう、納豆などに多く含まれます。

水溶性食物繊維の種類とそれを多く含む食品の例
ペクチン:熟した果物、かぼちゃ、キャベツ、大根
グルコマンナン:こんにゃくですが、粉からこんにゃくに変わる過程で不溶性食物繊維に変化しています
アルギン酸やフコダイン:海藻のぬめり成分。昆布、わかめ、もずく、めかぶなどの海草類

不溶性食物繊維~水に溶けない食物繊維

野菜などに含まれる水にとけない長い食物繊維で、ぼつぼつ、ざらざらしています。かさを増やして便通をよくします。繊維が多くてよくかまないとたべにくいので、満腹感を得やすく、ダイエットには効果的です。不溶性食物繊維の多い食べ物は、インゲン豆、ひよこ豆、あずき、おから、エリンギ、えのき、切り干し大根、小麦ふすま、干し柿、アーモンドなどです。

不溶性食物繊維の種類とそれを多く含む食品の例
セルロース:穀類の外皮に含まれ、不溶性食物繊維の代表です。りんご、大豆(おから)、ごぼう、穀類。
ヘミセルロース:セルロースに順じた働きがあります。ごぼう、小麦ふすま、玄米、大豆に豊富に含まれます。不溶性食物繊維の中で、腸内環境改善に最も役立ちます。
リグニン:コレステロール上昇抑制効果も。ココア、豆類、いちごやなし。

水溶性食物繊維と不溶性食物繊維を食べるバランスとしては、良く知られているように、水溶性:不溶性を1:2の比率を目安にとるのがおすすめです。水溶性、不溶性どちらもバランスよくふくんでいるのは、ごぼうやオクラ、納豆などです。

食物繊維としておすすめの食材

①雑穀
食物繊維やミネラルを含むものが多いことから、お通じをよくしたり、美肌に最適のため注目されています。その中でも水溶性食物繊維が多く含まれ、腸内細菌のえさとなり腸内環境改善におすすめなのが、大麦です。大麦は穀類では押麦としてもっとも食物繊維が多いです。(押麦として)白米の19倍の食物繊維を含みます。もち麦(大麦)はもちもちして、水溶性食物繊維(βグルカン)が豊富ですし、はだか麦(大麦) は水溶性・不溶性の食物繊維両方が豊富です。
次に食物繊維が多いのが、白米と比較して食物繊維が19倍のアマランサス。NASAが21世紀の栄養食品といっている、食物繊維だけでなく、ミネラル豊富なプチプチとした食感があり楽しめます。
黒米・赤米(古代米)は、白米と比較して食物繊維は7−8倍。黒米はアントシアニン、赤米はカテキンなどポリフェノールも豊富。食物繊維(水溶性・不溶性)ともに豊富で、白米に比べ、食感が多彩でかむ回数もふえることから満腹感を得やすいため、ダイエットにぴったりの食材です。

②シリアル(オールブランなど)
小麦ふすま(ブラン)を使用したシリアルは、トクホ製品もあり、一食分でかなりの食物繊維を摂ることができるのでおすすめです。

③豆類
ひよこ豆、きなこ、おから、エンドウ豆、インゲン豆、大豆、はるさめなどがおすすめです。

④キノコ類
きくらげ、干し椎茸の食物繊維の含有量が最も多く、エリンギ、しめじ、しいたけ、マッシュルーム、まいたけ、なめこと続きます。

⑤芋類
さつまいも、しらたき、さといも、こんにゃくなど。ジャガイモもありますが、芋類はカロリーオーバーになりやすいので、しらたきやこんにゃくがおすすめ。

⑥海草類
かんてん、のり、とろろこんぶ、あおさ、めかぶ、わかめなど。かんてんは、とかしてゼリー状にすると食物繊維の量はへりますが、カロリーをおさえ満腹感をえられることからもダイエットに役立ちます。

大麦を中心として雑穀やシリアルを日常的に取り入れ、副菜として豆類、キノコ類、芋類、海草類などを適宜種類を変えて食べるのがおすすめです。雑穀やシリアルについては、急にたくさん摂ると、おなかがゆるくなることがあります。慣れるまでは、すこしずつ量を増やすようにしましょう。

≪オリゴ糖≫
オリゴ糖はヒトの消化酵素では分解されず、大腸で善玉菌の栄養になります。ひとくちにオリゴ糖といっても、ビーツ、大豆、タマネギ、タケノコ、コーヒー豆などいろいろな食品にふくまれているんです。
そんなオリゴ糖のうち、ダイエットに適したオリゴ糖は、
フラクトオリゴ糖:バナナやはちみつに含まれるオリゴ糖で、消化性が低く腸内で吸収されにくいのです。
乳果オリゴ糖:善玉菌を増やす効果が強いといわれています。発酵ヨーグルト に含まれています。甘みがオリゴ糖の中では強いですが、カロリーは低く、吸収もされにくいのでおすすめです。ヨーグルトでは脂質があるため摂り過ぎには注意です。

≪レジスタントスターチ(難消化性スターチ)≫
消化されにくいでんぷんと言う意味で、つめたいごはんに含まれており、ダイエットに効果的と一時話題になりました。
これが先ほどお話した食物繊維のうち、不溶性・水溶性両方に似たはたらきをし、腸内環境を整えてくれます。
レジスタントスターチは小腸で消化されず、小腸を通ってそのまま大腸まで運ばれます。レジスタントスターチは大腸で腸内細菌により分解(発酵)され、酪酸、酢酸、プロピオン酸というものになります。これらは短鎖脂肪酸とよばれるもので、脂肪を燃やし、血糖を急にあげにくい、太りにくい身体にしてくれます。
正直、冷たいご飯を毎日食べ続けるのはむずかしいので、おすし、ポテトサラダ、煮豆、ふかした芋を冷やしたもの、コーンフレーク、カボチャの煮物を冷やしたもの、バナナなど、さまざまな食品からその都度とっていくのがよいでしょう。また、いくらダイエットに効果的といっても、食べ過ぎはカロリーオーバーの原因にもなるので、注意しましょう。

≪ポリサッカライド≫
多糖類ともいわれ、7個以上単糖が鎖状に結合した多糖体のことでいくつも種類があります。
緑茶に多く含まれ、そのなかでも日差しをよくあびた秋冬収穫される、いわゆる番茶に最も多くふくまれます。
熱で変性してしまうので、番茶を水だしするのがおすすめです。

まとめ

腸内環境をよくしてダイエットに役立てるには、毎日摂るべきもの、バリエーションをつけながらとるものを見極め、自分が体調よいな、と感じるように食生活、生活習慣を見つけていくことがベストな方法です。
腸は体の中で大きな面積を占めており、その働きも多様です。腸内細菌をうまく味方につけると、健康的、効果的なダイエットを行うことができます。
1つの食材を大量に摂ったり、身体にあっていないのに摂り続けると、体調をくずすこともありえます。
自分の体調と向き合いながら、自分にあった腸内環境の改善に役立つ食材をうまく取り入れ、ダイエットに役立てていきましょう!

参考文献:Angelakis E et al. The relationship between gut microbiota and weight gain in humans. Future Microbiol. (2012) 7(1), 91-109.