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失われた時を求めて プルーストの菩提樹 香りと記憶

失われた時を求めて プルーストの菩提樹 香りと記憶

19世紀の作家プルースト(1871-1922)の「失われた時を求めて」ではシャルリュス男爵のモデルとなったモンテスキュー伯が、当時のダンディーを象徴しているのですが、映画ではアラン・ドロンが演じました。

ご存知のように主役は違うのですが。

プルーストの「失われた時を求めて」の”スワン家のほうへ”では「プチット・マドレーヌ」で菩提樹の紅茶が出てきます。いわゆるプルースト現象とかプルースト効果とかいわれております「香りが呼び起こす記憶」です。

■お茶に浸してやわらかくなった一切れのマドレーヌごと、一匙のお茶をすくって口に持っていった。ところが・・・・(略)・・・・一口のお茶が口蓋に触れたとたんに、私の内部に異常なことが進行しつつあるのに気づいてびくっとしたのである。(引用:鈴木道彦編訳より)

ストーリーテラーの「私」は、「記憶の典型」として、香りが「無意志的記憶」を引き起こす現象を作品に織り込んでいるのです。香りによって過去の記憶がよみがえる~。

■その時一気に思い出があらわれた。・・・・(略)・・・・、叔母が紅茶か菩提樹のお茶に浸して差し出してくれたマドレーヌのかけらの味だった。引用:鈴木道彦編訳より)

菩提樹のお茶。

18世紀、19世紀には菩提樹の香りがブームです、ドイツ語ではリンデン。フランス語ではティユル。別種類の菩提樹で仏教三聖木があります。

西洋ボダイジュの花は菩提樹花茶として18世紀のヨーロッパでは広く愛飲されていました。

さて20世紀の画家バルテュス(1908-2001)。彼は菩提樹の香水を愛用していました。男性が好む香りなのでしょうか。どちらにしても作家、画家の美学が存在いたします。

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