メーカーにおけるBAさんの雇用の現状
こんにちは。

派遣会社の立場ではありませんが、業界側というスタンスで、少しコメントさせて下さい。

確かに、昨今は販売店におけるメーカー専属美容部員さんの雇用体系が、かなりの比率で派遣社員さん・パート社員さんに変わりつつあります。
ただしそれは全てという事ではなく、やはりその美容部員さんを教育する方や、大型百貨店のカウンターであれば一店舗に一人は、社員さんが配置されています。
とはいえ、圧倒的にその人員は減少していますので、正社員として派遣されている方はそれなりの経験者や、本社社員からの前線部隊から来ている方がほとんどです。
つまり、本社社員として正規な流れで入社した方たち、という事になりますね。

これは一重に、大型コスメカウンターにおける販売売上が大幅に落ちている事で、そこに経費をかけにくくなった事によります。
つまり、今はＮＥＴ通販やスーパー販売店・ドラッグストアなどで割引販売する事が許されるようになり、圧倒的にそちらの販売売上げが大きくなったからです。

確かに、そうした販売店さんの販売数量はハンパなものではなく、メーカーは何もしなくてもたくさん売ってくれるのですから、これほどラクな事はありません。
ましてや、ネットショップなどは大量の在庫を一気に仕入れてくれるので、わざわざコスメカウンターに社員を派遣してまで経費を使う意味がなくなってしまったんですね。

今や大手百貨店のコスメカウンターは、いわゆる「見せ店舗」としてのメーカープライドのみで出しているだけと考えて良いでしょう。
最近は百貨店側もそれをよく承知していて、百貨店側から派遣される美容部員さんや、コンシェルジュも多くなっています。

と、業界側の事情はこのような感じです。

次いで派遣社員さんのメリット・デメリットですが、一般論的な事になりますがご了承下さい。

■メリット
これはもう言わずと知れた、パートさんやアルバイトさんに比べた日当の高さにあります。
また、派遣先は派遣会社が担っていますので、一度登録されたら自ら職を探す必要もありません。
そして、ご質問者様がお書き下さったように、時には派遣先メーカーの社員として契約が進む、いわゆる「引き抜き」といったケースもあります。
ただ、化粧品会社側からすると、この職種そのものが専門職という訳ではありませんので、このケースは珍しいと思っておくのが良いでしょう。
ケースとして多いのは、メイクアップアーティストといった特殊な職種ですね。

そして、派遣のメリットはいつ辞めても良いという事、再雇用も問題なくできるといった点です。
ただし、退職金はありません。

■デメリット
箇条書きにしておきます。

・日当は比較的高いですが、賞与や有給休暇・各種手当（物価手当・皆勤賞・残業手当・出産手当・家族手当などなど）はありませんので、年間を通した年収で考えると少なくなります。
また、何年やっていても昇給がないのも、特筆すべき点です。
（美容部員さんの場合、カンバン娘的要素もあり、年齢とともに下がるケースもあります。）

・退職金がない事。
正社員の場合、よほど小さなメーカーでない限り、数年勤めれば（だいたいは、３年以上が規定）年収×年数×０．６程度の退職金は保障されています。

・派遣はあくまでもメーカーからの要請によるものですので、なければ仕事が干される事はあります。
また、勤務地がどこになるかは、自分で選択の余地はありません。

・雇用保険や厚生年金・社会保険などがない。
ただし、最近は少し大きな派遣会社になると、一定の条件を満たせばこの制度もあるようです。

・地方店の営業的美容部員や、いわゆる「配り子さん」のケースも多くなっているようです。

・派遣会社そのものの規模や専門が派遣先に大きく影響し、大手ブランドが使う派遣会社はほぼ決まったところが占めています。

メリット・デメリットそれぞれにまだまだあると思いますし、今後またどう変わっていくかは不明ですが、現状の気付いた点を網羅させて頂きました。