
夏川草介 『神様のカルテ0(ゼロ)』
2015/4/21 14:25
¥1,404
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病院とは24時間365日、困った人がいれば手を差し伸べてくれる場所。この病院では、奇蹟が起きる。二度の映画化、二度の本屋大賞ノミネートを経て、一止とハルさんの物語は原点へ。
神様のカルテシリーズの最新作。
前作「神様のカルテ3」で涙、涙し、新作では一止の次のステージのことが描かれるかと思っていたら、タイトルに「0(ゼロ)」。
1→2→3のあとは0。
一止、辰也、千夏の学生時代、一止が行く前の本庄病院のこと、そして一止の研修医時代。
そして今までは一度も出てきていなかった、榛名の山での姿。
この作品単体でも決してつまらないわけではありません。
でもこの1~3を読まずに0から入ってしまったら、この0の良さは半減してしまうと思います。
1~3を読んで、彼らのことがわかっているからこそ、今回の「0」の意味がある。
彼らのルーツを垣間見ることができる作品でした。
「有明」では、一止たちの医学部生時代、国家試験前の彼らのことが描かれているのですが、ここでは辰也がメイン。
辰也の話は神様のカルテ2で描かれていたのですが、彼の優秀さ、真面目さ、そして千夏の関係。
そして一止や砂川始め仲間たちとの関係がとてもよかったです。
「彼岸過ぎまで」では24時間365日対応を掲げはじめた本庄病院の話。
消化器内科部長の大狸先生こと、板垣先生の視線で描かれていくこの章も面白いです。
大狸先生、やっぱりいい先生だなぁ。そして冷徹な金庫番の事務長の想いを知ってまたジーン。
金のことは俺に任せろ、医療のことは俺に任せろ、自身を持ってそう言い合える彼らが素敵でした。
またこの章ではDPC制度(包括医療費支払い制度)によって、「最大限の医療」ではなく「最低限の医療」となってしまったことへの問題提起もしています。
本当医療の現場って色々大変。でもいい先生たち、いい病院には頑張って欲しいです。
「神様のカルテ」では一止が本庄病院に研修医として着任しはじめた時のことが描かれています。
一止が担当したガン患者、國枝さん。病気は待ってくれない。けれども治療開始を遅らせて欲しいと言う國枝さんの想いを汲み、医師として、彼にできる最善のことをしようとする一止。
まだ新米の研修医時代から、一止はすごくいい先生だったんだな、と嬉しくなりました。
そして大狸先生が教えてくれた「神様のカルテ」の意味。
医師によって、医療技術によって助かる命もある。
けれどもどんなに医師が頑張ってもどうにもならない命もある。
「神様のカルテ」があると考えれば、医師たちの気持ちも少しは軽くなるのかもしれません。
「冬山記」では滑落した健三、ある理由で夫婦で登山している浩二郎と那智子、そして滑落した健三を一人で助け出した榛名の冬山での物語。
榛名の強さがともかくすごい。
今まで榛名が山に写真を撮りに行って長期間帰ってこない、という描写はあっても、実際榛名がどんな登山をしているかは全くわからなかったので、これを読んでそのすごさに脱帽。
今まで一止のいい奥さんだなという認識しかなかったのが、すごい人だったんだ、ということを知ることができました。
一止とハルとの出会いが描かれていなかったのが残念といえば残念だったのですが、それはまたいずれどこかで描いてくれるのかな、と楽しみにしたいと思います。
登場人物が皆素敵で心優しくて、心を洗われます。
今までの「神様のカルテ」シリーズを読まれている方には是非お勧めしたい一冊。
次は「神様のカルテ4」になるのかな。一止の「3」の後の姿も早く知りたいですね。
★★★★
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