59views

反応

反応

仕事の昼休みに、公園のベンチでほっとひと息つく。すると、目の前で歩き始めたばかりの子が転んだ。私は瞬時に立ち上がり、その子を起こそうとする。

 デパートへ買い物に行き、エレベーターに乗ると、お母さんに抱かれて泣いている赤ちゃんがいる。おなかが減ったのかしら、眠たいのかしら、それともエレベーターが怖いのかしらと、あたふたしてしまう。

 家の近くを歩いていると、分団で帰る小学生の集団に会う。楽しそうにおしゃべりしている様子を見て、ついどんな話をしているのかが気になり、耳を澄まして聞いてしまう。

 地下鉄でお年寄りに席を譲っている高校生を見つけた。恥ずかしそうに席を立つ子を見て、心の中で「偉いね」とつぶやき、笑みがこぼれる。

 私は自分が母になったあの日から、自分の子供でなくても、「子供」という存在に反応する。そして心のどこかで、幼かった日の我が子と重ねたり、我が子の将来を見る気がしたりする。

そう思うことで、日ごろ出会う子供たちも、我が子と同じようにいとおしく思う。これからも私は、さまざまな場面で心も体も反応するだろう。そういう私に育ててくれた我が子らに、ありがとうをささげたい。

こちらは4月4日、毎日新聞「女の気持ち」という欄に掲載されました。

ブログを見る

このブログに関連付けられたワード

このブログを通報する

コメント(0件)

カテゴリなし カテゴリの最新ブログ

カテゴリなしのブログをもっとみる

投稿ブログランキング

投稿ブログランキングをみる

編集部イチオシ!

HOTタグ

ブランドファンクラブ限定プレゼント

【毎月 1・9・17・24日 開催!】

(応募受付:11/1~11/8)

プレゼントをもっとみる