2200views

祖母の鏡台と「紅」の記憶 ~伊勢半本店の小町紅

祖母の鏡台と「紅」の記憶 ~伊勢半本店の小町紅


昨年他界した母方の祖母の家が
東京の下町に残されています。
(目下1年がかりで片付け中)。

お部屋の片隅には
祖母が愛用していた「鏡台」が。


そう、昭和の家庭には一家にひとつ
鏡台があったんですよね。

そして、祖母世代の女性たちは
毎朝鏡の前で身支度を調え、
“身だしなみ”として、必ず
お化粧をしていたのだと思います。

引き出しを空けると、
使い終わった金色のコンパクトや
口紅の古~いケースが
大切にしまわれていたりして。
当時化粧品は贅沢品だったんでしょうね。

そして一番上の引き出しを空けると、
ナゼか「瀬戸物のうつわ」を発見!?


えっ、なんでこんなところに……と、
一瞬違和感を覚えたんですが。
皆さんコレ、何かお分かりになります?

恐らく、「紅(べに)」のうつわ……いわゆる
「紅猪口(べにちょこ)」ってヤツです。
(↓以下のサイトが詳しいです。
 右の一番上の写真が分かり易いかも)
http://www.isehanhonten.co.jp/beni/makeup.html


紅花を材料にした「紅」は、
江戸時代から受け継ぐ
日本独自の化粧文化。

口紅としてはもちろん、
アイライン風に目尻をはんなり染めたり、
(舞妓さんみたいな感じでしょうか)
爪に色を差すネイル的な使い方もできて
浮世絵の題材にも数多く登場します。

ちなみにこの紅、
なんと、現在でも手に入るんですよ!

日本で唯一、江戸時代の技法を
そのまま受け継ぎ、
「小町紅」として販売しているのが「伊勢半本店」
そう、プチプラのキスミーやSUSIE N.Y.を
発売している、あの伊勢半です!
http://www.isehanhonten.co.jp/beni/index.html


↓下記は小町紅「季ゐろ(ときいろ)」シリーズ。
 有田焼のお猪口に、職人さんが1つ1つ紅を刷いた逸品です。

この小町紅、実際に触らせて
頂いたことがあるんですが、
水で濡らした筆で紅猪口に触れると、
写真の妖艶な玉虫色が
瞬時に鮮烈な「赤」に変わる
の。
(コレ、本当に不思議な体験です!)

唇にそっと筆をすべらせると、
鮮やかな……でもその人によって
微妙に質感が変わる、
美しい赤色に唇を染め上げます。

紅の赤には邪気を払うという
言い伝えがあり、七五三や
白無垢の花嫁さんへの贈り物
として
今でも人気があるのだとか。
使い終わったあと、美しいうつわが
残るのも記念になりますよね。

そんなこんなで、鏡台の引き出しから
唐突に現れたうつわに、
「あっ、これ、きっと紅猪口だ!」
とピンときた次第なのですが……。

なんだかジワジワと胸が熱くなってしまいました。


このうつわも、使用後丁寧に拭いて
しまわれていて(さすがに月日の経過で
ホコリをかぶってましたけど)。
本当に祖母の世代の女性たちは、化粧品を
大切に扱っていたんだと思います。

今って手軽に、コンビニや
ドラッグストアで、簡単に化粧品が
手に入るんですよね。
そしてちょっと合わない色だと、
使わなくなっちゃったりすることも。

化粧品を大切にいとおしむ
祖母世代の女性の想いを間近にして、
ちょっぴり反省し、そして
しみじみとした冬の1日だったのでした。


小町紅 季ゐろ 各¥12,000(税抜き)/伊勢半本店





このブログに関連付けられたワード

このブログを通報する

コメント(1件)

  • 昔の方はなんでもかんでも
    物を大切になさったのですね。
    確かに私達は物に対してあまり執着しないと
    いうか飽きたらポイですもんね。
    それよりも使い終わったあとにも使える器なんて
    エコですよね(*´∀`)

    0/500

    • 更新する

    2015/12/23 12:50

    0/500

    • 返信する

ライフスタイル カテゴリの最新ブログ

ライフスタイルのブログをもっとみる