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五感で余韻を味わうチョコ「ESqUISS CINq(エスキス・サンク)」のガストロノミー

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五感で余韻を味わうチョコ「ESqUISS CINq(エスキス・サンク)」のガストロノミー


美的感覚が優れたひとなんだろうな、と思った。






それは店舗の空間遣いや、選ばれたカトラリーなどの世界観からも伝わってくる。



ミシュラン二つ星レストラン「ESqUISS(エスキス)」のシェフ・パティシエであり、ピエール・エルメ・ジャパン、タテル・ヨシノ、ジョエル・ロブション・NYと渡り歩かれた成田一世シェフ・パティシエ。
東急プラザの「ESqUISS CINq(エスキス・サンク)」で、彼の解説を直接うかがいながらバレンタイン向けショコラコレクションの試食をするという機会に恵まれた。

成田シェフは「 伝えていくことには責任が生ずるものだ 」 といったことをまずおっしゃった。
私たちに向けて? それともご自分自身に?
発して残した言葉が、無駄に誤解や尾ひれをつけずに、のびやかに空間に広がっていくのを望んでいるかのようだった。
砂糖の話、カカオの話、ショコラ界の話。
味覚の話、伝統食文化の話。
チョコレートの話からちょくちょく反れてそれは、道徳のような学びの時間を思わせる。

エスキスとは素描(デッサン)をあらわす。



私たちはカカオの原生種が生える、まだ見たこともない南洋のマヌス島というパプアニューギニア、マヌス州の島に思いを馳せる。
その風景を頭の中に、素描で思い浮かべてゆく・・・。




小さい頃は青森で育ったのだという。それも病室で。
体が弱かった成田少年は、決められた塩分や糖度の食生活の中で、味覚の基本中枢を養っていった。
「ずっと病院で過ごしたんだ」とおっしゃるけれど、それでも彼の親御さんが愛情を注いでその少年の食生活を支えたことは想像に容易い。

生まれて最初の味覚は、絶対無二の存在、母親から与えられるおっぱいであること。
子どもの味覚は3歳までに作られるから、しっかりと母親の責任として形成しなくてはならないこと。
生きていく最低限。究極の選択肢は食べても死なない食材かどうか。
その上でおいしいという発見があり、国や環境の上にガストロノミーが成り立つこと。

お皿の一つ一つが姿勢を保たれるべく高さを考え抜かれて選ばれていたこととか、
真っ直ぐに厳しく食という世界に向き合うその姿は、食べることは生きることであり、きっとそれを毎日の中で伝え続けてきた親御さんの思いが背中に見えた。



のびやかな感性は海を渡り、やがてマヌス島・トリニタリオ種の豆へ行きつく。
若い木に接ぎ木をしハイブリッドにするのではなく、原生のままのカカオに魅せられた。

どういう土壌で苗を育て、どういう実になるのか。
コントロールしづらいカカオの発酵に、成田シェフはとことんこだわった。
バナナの原生種、さとうきびの原生が茂る、そういう手付かずのまっすぐなDNAが生きる土地でバナナの葉っぱについた酵母で発酵させ、手を使って豆を剥き手間をかけて、皮を削る。
そうして徹底的に胚芽部分まで雑味を取り除くことで、完成度の高いこだわりのショコラとなる。



高い機械を使ったとか、特別な豆を仕入れたとかではなく、土地を選び豆を選び発酵を選び、手塩をかけてこだわる。

たぶん彼は 正直なひとだ。
もしかして誤解されやすいほど気難しい真面目な人かもしれない。

人間が誰もが母から生まれ、まず口にする母乳の味わいの尊厳をわすれない人だ。
成田氏は「いただきます」を言わないで食べ始めるような人ではないなと、なんとなくぼんやりとそう思った。
きちんとした食生活に向き合ってきたバックボーンが、彼のショコラにストーリーを肉付けする。



だから口にした人はひとかけらで口角が上がる、そんなカカオの余韻の反芻にしばらくひたるのだ。


Special thanks, Issei Narita,
Miki Tonomura



ショコラコレクションは、店舗からほど近い、松屋銀座8階イベントスクエアで買える



見目麗しい、芸術品のようなデセール



本物?食べられるもの?と疑ってしまった完成度



展開するショコラコレクションは、予想外にもお手頃プライスで驚く





インバウンドのゲストにも喜んでもらえる日本らしさのあるものを。茶器やインテリアにもセンスが光る



野性味あふれるニブチョコ。日本人は豆腐であったり納豆であったり豆に造詣が深い



青い皮のオレンジピールに和歌山のぶどう山椒をあしらった、オランジェット 山椒。15本 \2500
オレンジも品種で味わいが変わるとおっしゃる中、青い皮のものを使用。
若々しい柑橘の酸味と、山椒の発泡するようなスパイシーな爽快感が、主役のカカオを裏切る存在感。癖になる



ショコラ・カレ・奥田。4個 \1500
和食の名店、銀座奥田との和のコラボレーションの中から、「柿柚子」をまず試食。甘くない鹿児島産の柿が、不思議とチーズのような余韻


続いて同じく、奥田の「麹」は甘酒を12時間発酵させて甘さの限界まで出したもの。
ペースト状の原液のような濃厚さ



ショコラ・カレ・CCC 4個 \1500
チョコレート品評会CCCのためのショコラ。「オイゲノール」は消毒液のようなミント感弾ける味に仕上がった


ショコラ・カレ・エスキス \1500 「ミュスカディーヌ」は香ばしいガナッシュがこちらも癖になる





などなど・・・。はじめはクールだったシェフもショコラを前に笑顔に











松屋銀座限定販売
■GINZA バレンタインアベニュー

松屋銀座 8階 イベントスクエア

2/1(wed)~2/14(tue) 午前10時~午後8時までhttp://www.esquissetokyo.com/ja/event_party.html
エスキス
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