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Guerlain The Classics -Vol de Nuit(夜間飛行)編-

Guerlain The Classics -Vol de Nuit(夜間飛行)編-

皆様、こんにちは。いつもlikeやコメントありがとうございます。大変励みになっております。
今回のゲラン濃度違い付け比べは、ジャック・ゲラン作の“Vol de Nuit(夜間飛行)”です。


右が30mlのP(以前はクアドリローブボトルの小さいサイズもあった)、左が100mlのEDTです。過去、EDCも存在しましたが現在は販売終了しています。左のEDT100mlはいったん終売し、容量が75mlになりミツコEDPと同じボトルで再販予定です。ゲランのクラシックラインと言えば濃度違いがあることが多いですが、夜間飛行に関してはEDPは見たことがありません。もしも見たことあるひとがいたら教えてくださいm(__)m

実は夜間飛行って、どのゲランカウンターにも置いてあります。それなのに滅多に飾られてないし、存在が妙に地味~って感じじゃありません?(っていうか、ジッキ―もルールブルーもシャマードもたいがいの店舗にはないんですね!)クラシックラインでどのカウンターにも置いてあるものは夜間飛行以外だとシャリマーとミツコなのですが、シャリマーは限定ボトルやドジョウ作品も多いですし、ミツコはそもそも名前が日本人の名前な上、2019年の100周年で豪華なボトルが販売されましたが、夜間飛行はアレンジもないですから(80周年記念ボトルはあった模様。6500ユーロだったそうですが)。免税店限定だった“Vol de Nuit Evasion(邦題:夜間逃避行)”は夜間飛行のアレンジではなくてゲットアポン=アトラップクール=ロイヤルエクストラクトなので名前を借りてるだけです。

もちろん1931年サン=テグジュペリの同名小説からインスパイアされていて(ジャック・ゲランはテグジュペリと交流があった)、同時に当時の優秀な女性飛行士エレーヌ・ブーシェに捧げられた香りです。エレーヌ・ブーシェはジャックの兄の友人だったらしく(そりゃ他人じゃね?って感じもしますが)、彼女のドラマチックな人生にも影響を受けていたのでしょう。香りの構成は、

トップ:ガルバナム、ナルシス、ベルガモット、オレンジブロッサム、レモン、オレンジ、マンダリンオレンジ
ミドル:アイリス、ナルシス、アルデヒド、バニラ、バイオレット、インドネシア産カーネーション、ローズ、ジャスミン
ベース:オークモス、オリスルート、サンダルウッド、スパイス、ムスク

(fragranticaより)

ザ・古典的なシプレです。クラシックらしくとても複雑で、でも不思議と落ち着く香りなんですよね。アクアアレゴリアのようなわかりやすい香りと比べるとオジサンのトニック臭なのかも。これでもリリース当初からレディースフレグランスだったんですが。
EDTとPでの大きな違いはふたつ。まずはトップのガルバナムの量。Pの方がガツンとガルバナム増し増しで、EDTの方はやや控えめでその分シトラスがわかりやすく出てきます。
二つ目の違いはベース。EDTは、ほぼパウダリーなバニラ(といってもおいしそうな類ではない)、Pはモスがしっかり効いているのがわかります。と言ってもモスの天然はすでにIFRAに規制されているため、現行品は他のものでの代用だと思いますが…レディースフレグランスでも、

シトラスで夜空のきらめき☆
フローラルで女性らしさ☆
優しいバニラでよりフェミニンな印象に☆

ってならないのがいかにもクラシックライン。

荒れ狂うガルバナムどーん!
ナルシスやカーネーションの薄暗くスパイシーなフローラル
モスとアイリス、香辛料としてのバニラのドライダウン。
パイロットとして多くの速度記録を残したエレーヌ・ブーシェにふさわしい香りです。
こういった歴史ある香水はどうしてもヴィンテージ品と比べられがちなのですが、夜間飛行はかなり時代によるブレが少ないタイプだと思います。香料規制や他の原因によるやむを得ない処方変更はあれどいつでも変わらず美しい香りを楽しめるのは嬉しい限り。今のものをとっておいて、30年後にでも比べてみようかな。

そして夜間飛行と言えば、この独特のボトルですよね。


プロペラボトル(デザインはガブリエル・ゲラン)。ひょっとしてこのボトル目当てに買った方もいらっしゃるのでは?
Pのボトルが軒並みクアドリローブに統一されたときも、夜間飛行はボトル変更を免れました。やっぱり、このボトルあっての香りですから。私が持っているのはもちろん現行品ですが、ヴィンテージのボトルとはちょっと違うんですよね。お持ちの方は違いを比べてみてください。実はこのボトル、夜間飛行以外にも“Sous le Vent(スールヴァン)”という香りにも使われていたことがあって、なんと今度そのスールヴァンがこのプロペラボトルで復刻するらしいです!日本に来るかどうかはわかりませんが(来ない可能性の方が高い。Fol Aromeも結局来る予定がないため)。

では今回はこの辺りで。読んでいただき誠にありがとうございました。

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コメント(2件)

  •  新真昼さんこんにちは+お邪魔いたします。

     ゲランといえば、ミツコ・シャリマー・夜間飛行なイメージを持つわたし。アクアアレゴリアは手を出せても、このあたりはシャネルと同じく聖域でなかなか手を出せない名品です。

     10代の頃に夜間飛行を読んでそこから憧れ続けているので、カウンターで試すことができるなら、一度試してみたいと思います。今の主流のあまり香りの変化がない手に取りやすい香りと比べるとクラシカルなものは独特な重さと複雑さで一筋縄ではいかない気もしますが…。

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    2020/12/23 15:07

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    夢二さん、おはようございます。
    ミツコ、シャリマー、夜間飛行はどのカウンターにもほぼ置いてあるので意外に試しやすいですが、基本的に陳列されていないため(飾ってあるのはアレゴリアやモンゲランばかり)わざわざ出してもらわないといけないのは面倒です。
    香りの振り幅が大きいのは、クラシックな香水の魅力のひとつです。ぜひお試しください。

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    2020/12/24 10:21
  • こんばんは!
    夜間飛行、最初に嗅いだ時はあまりに激しい香りに驚いたんですが(P)、今では大好きな香りになりました。やっと香りのストーリー性が腑に落ちるようになり、絶対にもう一度ちゃんとレビューしたい香水です。
    長年の間に価格の上下(近年は上がる一方)とボトルデザインの変遷があったようですが、面白い事に30年前の香水本に載っている30mlボトルと現在の価格が全く一緒です。一周した感じですね。高価に見えて実は驚くほどリーズナブルなのかもしれないです。
    EDTについての情報ありがとうございます。75mlで復活なのですね。購入すると思います。廃番じゃなくてよかった。EDTはPと全然違いますが、あれはあれで良いと感じます。元来の夜間飛行のストーリー性を表せているのは当然Pですけれど。
    EDP、本国のラインナップとしてはあるんでしょうか?見つかるといいですね。

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    2020/12/20 18:50

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    しべたんさん、こんにちは。いつもコメントありがとうございます。
    夜間飛行は、とてもストーリーに満ちた香りですね。私も初めて嗅いだ感想は「なんじゃこりゃくっせ!」でした(笑)。今では心地いい香りですが。後のミスディオールにも影響を及ぼした名香です。
    ニッチフレグランスや高級シリーズの台頭により、一本あたりの価格がグンと上がりましたが、ゲランのPは価格も安定していて嬉しいです。べらぼうに高い限定品を買うより、Pを集めた方がいいとすら思います。
    夜間飛行EDT、アプレロンデ、ナエマEDP、シャマードEDT、ジッキー(EDTからEDPに変更)が75mlで再販されるそうです。残念ながら、私が欲しかったシャンダロームは来ないようです。
    夜間飛行に関しては、EDPは本当に発売されていなかったと思います。ゲランがパルファンドトワレ(今のEDP)を展開しだしたのが1980年代だったのですが(それまでゲランでEDPを出していたのはナエマくらい)、一度も見たことがありません。不思議ですね。

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    2020/12/21 11:15

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