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パリのフレグランスメゾン「CARON」より、ブランド初となるスキンフレグランス「ムスク・オリ」オードトワレが登場

パリのフレグランスメゾン「CARON」より、ブランド初となるスキンフレグランス「ムスク・オリ」オードトワレが登場

美容・香水ジャーナリストのYUKIRINです。

1904年、パリにて、エルネスト・ダルトロフとフェリシエ・ヴァンプイユの二人が出会い、誕生したブランドである伝統的フレグランスメゾン「CARON」の、新作フレグランスを今回はご紹介したいと思う。

CARONの歴史は古く(119年前の創業)、歴史的に名香と呼ばれる香りも多数あり、世代を超えて愛されている。現オーナーであるアリアン・ド・ロスチャイルドと調香師のジャン・ジャックによりリブランディングされ、日本では2021年の三越伊勢丹サロン・ド・パルファンにて、刷新されたボトルと共にお披露目となった。(これまでも日本では輸入代理店をフォルテが務め販売されてきたが、ロスチャイルド財閥によりリブランディングされた姿はこの時が初となる)

2021年のサロン・ド・パルファンでは、過去の顧客層より若い世代の来店も多かったため。CARONを知らない世代にとっては「新しいブランド」として注目を集めた。また、これまで日本で「売れ筋」と言われてきた石けんやシトラスの香りや、CARONのこれまでの顧客層に親しみのあったエレガントなフローラルノートではなく、「タバック・エクスキ」というタバコとチョコレートの香りが爆発的に注目を集め、関係者を驚かせた。

2023年2月現在、日本では25種の香りが販売されており、分類としてはフローラル9種、アンバー1種、ボワ(ウッディのこと)2種、タバック(タバコ)3種、シプレ2種、エスペリデ(シトラスのこと)5種、メンズ2種となっている。来月3月1日(水)に全国発売となる新作オードトワレ「ムスク・オリ」は、そのどれにも当てはまらないCARONとしても新境地の作品だ。

まず、「ムスク・オリ」に携わったのは、オリヴィア・ドゥ・ロスチャイルドという若き女性。名前からも分かる通り、 CARONの現CEOであるロスチャイルド財団の親族であり、まだ大学生であるというから驚きだ。彼女の現代的で新しい感性と、調香師ジャン・ジャックとのタッグにより誕生したのが、「ムスク・オリ」オードトワレである。「オリ」はオリヴィアから名づけられているそうだ。214回試作し、当初は販売用ではなく、オリヴィアのために作った香りでもあったらしい。

また、これまでのCARONと違う点は、ブランド初の合成香料100%であることだ。CARONと言えば、ラグジュアリーな天然香料を多く起用したフレグランスブランドという印象がある。しかし、天然香料が素晴らしくて、合成香料が劣るというのは、世間的な間違った考えであると私は思う。(フレグランスだけでなくスキンケアやメイクにも同じことが言える)天然か合成かの優劣より、その組み合わせが香りの完成度を大きく左右する。天然が柔らかく、合成が強いというものでもないし、その逆でもない。合成香料100%でも、これほど柔らかく寄り添うような香りになるというユニークな証明でもあると感じた。

具体的に使用されている合成香料として、2つの主役は「FF(R)カシュメラン」と「ジャヴァノール」。わかりやすく言うと、ムスクとウッディのハーモニーである。

「FF(R)カシュメラン」は、ジャン・ジャックにより極めて高品質で天然の製品と同等のIFFのものが採用され、他にもベラノン、シンフォニード、サクラソールといったムスキーな香りが使われている。同時に、サンダルウッドの分子の中でも最も特別な成分で、ほんの少しフローラル感のあるという香料「ジャヴァノール」はウッディーな香りである。アンブロクサン、オペランド、アンバーエクストレームなどのウッディノートと共に、ハーモニーを構成する。

カシュメランやアンブロクサン、アンバーエクストレームなどは、香水好きな方なら何となく聞き覚えがあるかもしれないが、ジャヴァノール、ベラノン、シンフォニード、サクラソール、オペランドあたりは、初めて耳にしたという方も多いかもしれない。というのも大抵フレグランスのピラミッドを表現する香料表記には「ホワイトムスク」とか「ムスク」、「ウッディアコード」などの表記にまとめられていて、あまり具体的な合成香料名を目にする機会が少ないからだ。

ムスクとウッディのハーモニーと聞いて「ムスク・オリ」を試香すると、あまりの柔らかさに驚く。まさにスキンフレグランス、スキンノートといったジャンルに該当する。スキンノートと言えば他ブランドでは、DAWN PERFUMEの「フォーミュラX」であったり、FUEGUIA 1833の「ムスカラ フェロ ジェイ」などが挙げられる。それより少し発展させた香水要素が高まったスキンノートは、ディプティックの「フルール ドゥ ポー」あたりだろう。「ムスク・オリ」オードトワレは、香水要素を持ちながらも、第二の肌のように包み込んでくれる。コクーンニング(繭に包まれる)という表現を、ブランドから説明していただき、とてもしっくりきた。

CARONの他の香りは、ドラマティックであったり、旅や歴史などを感じるファッションアイテムのようだが、「ムスク・オリ」はその点ランジェリーのようだと感じた。ぜひ素肌に纏ってみて欲しい。店頭ではムエットで試すことも可能だが、正直、ムエット(紙)と肌では香り立ちがかなり違って感じる。店頭で肌に乗せてもらって、その優しさに癒されながら包まれて欲しいと思う。

3Dアーティストのヒューゴ・フルニエとのタッグによるイメージビジュアルや、中国の抽象派アートからインスパイアされたというデザインのスリーブ、ホログラフィックなラベルとオパレッセントな色彩は、これまでのCARONにない、新しい姿となっている。2月22日より、うめだ阪急先行発売。3月1日より全国発売。

CARON
「ムスク・オリ」オードトワレ


30mL ¥16,500
50mL ¥23,100

■CARON 公式ページ

https://www.forte-tyo.co.jp/shopping/category/caron/


【執筆者】

美容・香水ジャーナリスト YUKIRIN
日本で唯一の香水ジャーナリストとして、メディアで香りの情報を発信。コラム執筆や、記事監修を行う。これまで2,000種類以上の香水や、500ブランド以上の化粧品に触れ、新製品や国内市場の動向を網羅する他、ブランドコンサルティングとして活動中。
https://ja.wikipedia.org/wiki/YUKIRIN

★公式Instagram
毎月第一土曜日の22時からは、フレグランス専門インスタライブを配信中。
https://www.instagram.com/fabgearyukirin3/


★連載:WWD 香水ジャーナリスト連載
https://www.wwdjapan.com/author/yukirin

★連載:FASHION SNAP「WEAR PERFUME」
https://www.fashionsnap.com/article/wear-perfume-valentine/

★連載:ウェブマガジンCheRish brun.「フレグランス短編小説集 魔法の香り手帖」
https://cherishweb.me/author/yukirin

★連載:集英社OurAge「ナチュラル美容ニュース」
https://ourage.jp/column/writers/writer/yukirin/

★香りのディレクションに携わった、ナチュラルケアシリーズ『Moii』
https://www.lebel.co.jp/products/series/moii/

★YUKIRINがプロデュースする、ナチュラル&オーガニック美容プロジェクト
『GREEN BEAUTY SESSION』

https://www.instagram.com/greenbeautysession/



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コメント(1件)

  • CARONが数年前に一新して以来、どのカテゴリーにも属さない肌に寄り添うような香りとのこと、とっても気になります!
    ロスチャイルド財団の親族、オリヴィアさんのためのプライベート・フレグランスなのですね。
    ブランド初の合成香料100%であることもそうですが、ムスクもウッディも好きな香りなので是非とも試してみたいと思います。
    情報ありがとうございます!

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    2023/2/18 19:34

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    AtIiさん、コメントありがとうございます!そうなんです、これまでのCARON長い歴史の中でも合成香料100%だったことは無いそうなので、ちょっとユニークな存在であり、眉に包まれるようなコクーニング体験をぜひお試しくださいませ。季節を問わないフレグランスではありますが、春先にも心地よいと思います!

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    • 更新する

    2023/2/21 12:59

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