
■ 卵のふわふわ
■ 講談社
■ 宇江佐真理
宇江佐真理さんの『卵のふわふわ』は時代小説でありながら
美味しそうな食べ物や不思議な料理が登場するので
物語と料理の2倍楽しむことができる小説だ
この作者はタイトルをつけるのがウマイですね
『卵のふわふわ』も優しくて、タイトルだけで中身が彷彿できました
主人公の「のぶちゃん」が初々しくて可愛い
でも夫とは心の交流がなく離婚の危機を迎えている
食い道楽で優しい舅、口は悪いが心根は暖かい姑に助けられて
椙田家の嫁としてここまでやってこれらたけれど
肝心の夫との心の交流がなく、のぶにはつらい生活だ
食い道楽で「のぶちゃん、わし、腹が減ったよう」が口癖の
心優しい舅がすごく魅力的
優しくて、食い意地が張っていて、頭は抜群なのに剣術はからきしという舅
愛嬌があってとぼけた感じは
こういう舅だったらいいなあと思わせる人物設定が巧い
舅がのぶを呼ぶ時の「のぶちゃん」という言い方に暖かさがあって
のぶに対する舅の愛情が、読者に伝わってくる
こういう微妙な言い回しで読み手は幸福感を抱いてしまうものだ
このあたり、宇江佐真理はつくづくうまいなあと思う
姑のふでは口が悪くて言いたい放題だけど
意地が悪い訳じゃなくてカラッとしていて私の好きなタイプの女だ
太鼓持ちの桜川今助が忠右衛門を訪ねてきて
忠右衛門と『黄身返し卵』の話しをしているのを聞いてのぶは興味を持つ
『黄身返し卵』とは、
白身が中で外側が黄身になっているゆで卵のことらしい
でも、忠右衛門は今助のもってきた情報は眉唾だと思っているようだ・・・
さて~、黄身返し卵をネットで検索したら15万件もヒットしました
実際に挑戦して作ってみた方が沢山いて
周りが黄身、中が白身のゆでたまごの画像も沢山ありました
興味のある方は是非とも『黄身返し玉子』にトライしてみてください

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