497views

女が自分の生き方をまっとうする姿は美しい!

女が自分の生き方をまっとうする姿は美しい!




■ 吉原手引草
■ 幻冬舎
■ 松井今朝子
■ 第137回直木賞受賞作

松井今朝子の『吉原手引草』が面白い
吉原一の花魁 葛城が絶頂期に忽然と姿を消してしまった
彼女と関わった人間が問われるままに彼女の人となりを語り始める
全てが一人称で、基本的に十六人の視点から葛城が語られる。
果たして彼女が姿を消したのはなぜなのか・・・

吉原という特殊な世界のしきたりや仕組み、人間関係を緻密に書きこみ
失踪の謎を解き明かしながら読者に理解させる仕掛けは
まさに吉原の手引き書になっている
事件に興味をもって謎を解き明かそうとする主人公の目線が
読者の目線になっているテクニックもかなり上級と思う

そもそも『例の騒ぎ』という文言が出てくるだけで
葛城が『例の騒ぎ』に絡んでいるのは分かっても
何がおきた?のか読者には全く分からないのだ

吉原は今でいう表示だと、縦266メートル・横355メートル
周囲を9.8メートルの堀に囲まれ、唯一の出入り口は大門だけという
閉鎖された社会なので、吉原から逃げ切るのはほぼ不可能なのである

では、一体なぜ消えたのか?
どうやって消えたのか?

何が嘘で何が真実なのか
葛城に関わりのある人物それぞれの視点からの語り口が最高に面白い
真相が少しずつ見えてくる過程にワクワク感も湧いてきて
失踪の真実が知りたくてたまらなくなり一気に読んだ

ネタばらしをすると、仇討ちだったわけで
吉原の花魁が 武士を刺し殺して逃げたということなのです

この本では、吉原が追ってを差し向けた様子は一切なかった
つまり、江戸時代には仇討ちを成就することは誉れなことなのだ
なるほどそういうことなのかと、読み終わった時に
やっと分かったのだった
ただ、仇討ちを明確に語っている人はいないので
仇が誰なのかが最後までわからないところはあっけない印象かもしれない

一度も登場してこなかったヒロインの花魁 葛城の清冽な生き方は
同じ女性として泣けてきます
そして、私の脳裏には吉原の情景と
花魁姿の葛城があでやかに浮かんできました



このブログに関連付けられたワード

このブログを通報する

コメント(0件)

美容その他 カテゴリの最新ブログ

美容その他のブログをもっとみる

投稿ブログランキング

投稿ブログランキングをみる

編集部イチオシ!

HOTタグ

ブランドファンクラブ限定プレゼント

【毎月 1・9・17・24日 開催!】

(応募受付:5/1~5/8)

プレゼントをもっとみる