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文学という美容液・・淫靡な女の業

文学という美容液・・淫靡な女の業




このシリーズ久しぶりです、個人的に楽しいだけで続けてますがね。
今回は短編小説の「ぼっけえ、きょうてい」をご紹介します。
ホラーですね、かなり怖いです。そして何とも艶やかな文章です。
岩井志麻子という作家さんで、女の業をかかせたら天下一品でらして。
この作品がデビュー作です。ずいぶん前に読みましたが戦慄でしたねぇ。
表紙も恐ろしくて美しい、内容も相まって手元に置くのも怖かった一冊でした。





以下コピー

「 岡山の遊郭で客をとる女郎が、客に自らの身の上話を聞かせるが、
それは世にも恐ろしい話であった。岡山の方言を駆使し
恐怖感を高めることに成功している。題は、岡山弁で「とても怖い」を意味する言葉。

―-教えたら旦那さんほんまに寝られんようになる。…この先ずっとな。
時は明治。岡山の遊郭で醜い女郎が寝つかれぬ客に
ぽつり、ぽつりと語り始めた身の上話。
残酷で孤独な彼女の人生には、ある秘密が隠されていた 」



・・・もう、これだけで怖くなってきた方いるのでは? はい、私ですw
まるで赤黒い血のような、彼女の文体は美しいです。独自の美学があるんですね。
そして古い因習をこよなく愛する、その知識に戦くほどです。偏愛的といいますかね。
見ちゃいけない、聞いちゃいけない、知りたくもないほどの恐ろしさ。
それを闇の中、ひそり、ひそりと囁くような震えの来る文章なのですよ。
女の艶の部分を、どこまでも後ろ暗く書く。漆黒の闇に咲く朱い花のような小説。



内容はですね、書いちゃうとネタバレなんで(もう先ほどのコピーで十分かな)
岡山の方言で、そっと語られるその口調が妙に怖い。そして淫蕩の香りがするんです。
醜女の女郎というのが、また暗い官能が感じられて凄みがある。
話が進めば進ほど、耳を塞ぎたくなる内容。哀しく無慈悲な身の上に胸を突かれる。
それなのにどうして、こんなにも読ませるのか? それは美しいからです、文体が。
そして構成があっという間に色を変える、極悪な万華鏡のようで惹き付けられる。
この作品や他の短編にも言えるのは、女の業というのは凄まじく恐ろしく哀しい。
ただ色気がある、それだけでは済まされないのが因果な女の宿命なんです。




えーと結局、何が言いたいんだ、内容はどうなのだーとなりそうですが・・
彼女の作品には、女の黒さゆえの美しさがあります。
誰でも内面に、醜さや汚さがありますね。それに灯りを当て描き出してるんですね。
また女の淫靡さという、深い業をどこまでもリアルに書くんですよ。
暗い性愛の深淵の表現が秀逸で、地獄のような闇の中に咲く花のごとく退廃的なんです。
日本にしかないエロスを書く、良い作家だと思います。
TVでバラエティにも出てましたが、やはり作品が本業なので。
偏見持たずに読んでみると、その知識の素晴らしさ、美学の一貫性に脱帽しますよ。








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コメント(23件)

  • >kenyaさん いつもコメントありがとうございます。おお、映画見ましたか^^私は観てないですが・・やばそうですね(><)トラウマになるのも想像できて怖いですよ。小説は美しいので、是非是非お手にとって下さいな。淫靡な女の業とは、哀しく恐ろしいものですな。

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    2013/1/18 19:43

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  • お!!このお話知っています!!映画の「インプリント~ぼっけぇ、きょうてぇ~」の原作ですね(^^)そうとう昔に見たのですが、怖すぎてトラウマです(^^;小説は未見ですが・・トラウマですが、やっぱり怖いもの見たさで、興味があります。淫靡な女の業、その通りだと思います。

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    2013/1/16 10:40

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  • >愛猫に捧げる旋律さん 初めまして、どうもコメントありがとうございます。そうですね、そう言って頂き紹介した甲斐があります。岩井志麻子さんは誤解されがちですが、素晴らしい作家です。是非怖くて美しい文章を味わって下さいな・・☆

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    2013/1/15 21:43

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  • >お艶さん いつもコメントありがとうございます。おお、このシリーズお好きと言ってくれて救われます。そうですね、ホラー好きでらっしゃるなら是非とも!艶のある文章も、貴女様にお似合いかと^^

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    2013/1/15 21:41

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  • >まちこひめさん いつもコメントありがとうございます。そうですね、彼女は豪腕な女性ですね。サバサバ、ずばずばと物を言います。ですが、きっと非常に繊細な方でもあるのです。じゃないと、あの文章は書けません。お~怖いのは駄目なんて、貴女様は可愛い女性ですね^^

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    2013/1/15 21:32

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  • >cloud#9さん いつもコメントありがとうございます。ほうほう、先に対談コラムを読みましたか^^ そうですね、彼女は気取りがない素敵な女性ですね。作家なのにサバサバしてて、かっこつけてない。小説では一転して、非常に美意識がある文体なので・・そのギャップも魅力ですよ。

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    2013/1/15 21:30

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  • >Mint☆さん いつもコメントありがとうございます。おお、読んだことお有りですか^^し、しかも再度ゲットしちゃいましたか!!!なんと有り難いんでしょう☆きっと素敵な読書タイムになることでしょう・・とっても嬉しく感謝です。

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    2013/1/15 21:27

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  • >nm73さん いつもコメントありがとうございます。おお、ホラーは苦手とは女性らしい^^そうですね、美しく素敵な文章なのです。まさに作家さんは感性豊かな素晴らしい女性なのでしょう。優しい貴女様の意見に、岩井志麻子さんも喜びますね。

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    2013/1/15 21:25

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  • 初めまして!TVで拝見する限り、独特のオーラと、風変わりな口調で敬遠しておりましたが、こちらの記事を拝読して、興味が沸きました。読んでみたいと思います! 怖いものは、深く美しいものがあるから。

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    2013/1/15 19:25

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  • 岩井志麻子さんのインタビューを以前聞いていまして、ほんとうにズバズバ、そして、サバサバしていて、なんかすごい女性だと思いました。作品は未だ読んでいませんが、ちょっと怖いのはダメなので、ごめんなさい。

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    2013/1/13 23:18

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  • 岩井志麻子さんと初めて出会ったのが、絶大な人気を誇る某女性雑誌のコラムでした。物書きの方らしからぬ、あっけらかんとした文体で大好きになりました。「ぼっけいきょうてい」は未読ですが、今度手にとって、彼女の文章を味わいたいと思います。

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    2013/1/13 14:52

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  • こんばんは! 実は、発売当時に友達から借りて読みました。随分前なので、どんな内容だったか忘れてて気になっていたんです。 それでね、今、古本屋でゲットしてきましたぁ~♪ 

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    2013/1/12 20:14

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  • ホラーはすごい苦手(>_<)でも女の美しさの描写が素敵なんですね。そういうことって素敵な人しか書けない・・・岩井志麻子さんも素敵な人ですね。

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    2013/1/12 19:41

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  • >mariko.sさん 再コメントありがとうございます。おおおおお、なんと買って頂きましたかぁ~!もう号泣しながら踊りたいです(;m;)怖いですよね、でも美しい文章なのです。その本にある他の短編も素晴らしいですよ☆人気のあるとこで、ごゆっくりどうぞ♪カバーする気持ち分かります、でも私は慣れちゃったw

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    2013/1/12 08:16

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  • >mariko.sさん いつもコメントありがとうございます。おお、そんな嬉しいことを言って頂いて書いた甲斐があります!!!うおおおお~ん(男泣き)もちろん雑誌や美容本も良いですが、小説も素敵ですからね。本屋へ向かう貴女を思うと胸が弾みます^^

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    2013/1/12 08:13

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  • >ゆぅまんさん いつもコメントありがとうございます。おお、ちゃん付けされて胸キュン(*>m<)こんなマニアックな記事を喜んで頂けて感激です☆文学や哲学を知るのは、内面からの美容ですなぁ。いや~お褒めに預かり光栄です。

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    2013/1/12 08:10

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  • >麻宇さん いつもコメントありがとうございます。おお、怖いのは苦手とは可愛らしい^^で、ですが分かってますね、さすがです~(*><)そうなんです、隠されるべきものが暴き出される恐怖と快感・・何とも背徳的ですなぁ。ふむ。。「幽霊が怖いのは美女だから」それなら会いたいような・・wでも文学的な意見ですね♪

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    2013/1/12 08:08

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  • >haoroさん いつもコメントありがとうございます。おお、お分かりになって頂けて嬉しいです^^そうなんですよ、ゾクゾクするような背徳の色気のある小説ですね。ただ怖いだけでなく、男女の機微にも深い洞察があり読む度うなってしまいます。またそれが、あまりに深くて怖いのですよね~。

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    2013/1/12 08:05

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  • >john-yさん いつもコメントありがとうございます。おおぅ、なんと素敵な表現なんでしょう!日本の薄闇・・すごく繊細で情緒がありますね^^この作家さんの本は日本が失いつつある、伝統美を描くのも上手いですよね~♪

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    2013/1/12 08:02

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  • >ひだりまわりさん いつもコメントありがとうございます。おおおお、お歯黒ですかぁ^^またマニアックな・・でもそういうの好き。退廃的というか背徳の香りがしますよね。怖いものって美しくもあるとは深いですなぁ。まぁさすがに現実でお歯黒は厳しいですよね~^^;

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    2013/1/12 07:59

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  • 美々姫ちゃん(^-^)こういう記事スキよぉ♪見た目とは裏腹?にw文学とか哲学的なものは昔から好きでねぇ☆いつもステキな記事だっ!

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    2013/1/11 08:00

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  • 恐い話が苦手なので未読ですが、淫靡・陰惨・業などなど、陽の当たらない場所に隠されるべき物事が暴き晒される様というのは、独特の恐さと魅力・快感が混在している気がします。「幽霊が恐いのは、それが美女だからだ」と聴きます。美しい文章が恐怖を倍増させるのでしょうね。あらすじだけで私はお腹一杯です~(><。)

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    2013/1/10 23:25

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  • この短編集、私はどれも昔の日本家屋の照明が作る影のような雰囲気を感じます。今はなくしてしまった”薄闇”みたいなもの。ずいぶん前に読んだのですが、この記事で思い出しました。

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    2013/1/10 20:56

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