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奥田英朗 『噂の女』

奥田英朗 『噂の女』

噂の女/新潮社



¥1,575
Amazon.co.jp



美幸って、知っとる? この町のどこか夜ごと語られるは彼女にまつわる黒い噂──。町で評判のちょっと艶っぽいイイ女。雀荘のバイトでオヤジをコロがし、年の差婚をしたかと思えば、料理教室で姐御肌。ダンナの保険金を手に入れたら、あっという間に高級クラブの売れっ子ママに。キナ臭い話は数知れず、泣いた男も星の数――。美幸って、いったい何者? 愛と悲哀と欲望渦巻く人々を描く、奥田節爆裂の長編小説。



全部で10つの連作短編集。
最初の1編を読んだ時は、尻切れトンボな感じだしオチもないしであれれ?という感じだったのですが、すべての話に噂の女「糸井美幸」がでてきます。


高校生までは地味だったが、大学で垢ぬけて派手になった美幸。
決して美人ではなく、スタイルがいいわけでもないが、肉感的で男ウケが良さそうな女。


それぞれの話で、中古車販売店の事務員から麻雀荘のアルバイト、料理教室に通う女、パチンコに通う女、シングルマザーとして働く女、高級クラブのママ、檀家の総代、と姿を変えて登場します。


糸井美幸は影の主人公ですが、それぞれの短編の中ではあくまでも脇役的存在。
それぞれの話で主人公になるのは、中古車販売店にクレームをつけに行く会社員、麻雀荘に通う会社員、結婚が決まり料理教室に通い始めた女、失業保険をもらっている間、パチンコで時間をつぶしている女、保育士として働いている女、地元の建設会社の社長、檀家の世話係、警察官、議員の秘書など。
彼らは偶然美幸と関わることになった人たち。


そして彼女は「噂の女」として登場します。
彼女の周りには常にお金のある男。


1つ1つの短編だけ読むと、すべての話にきちんとした結論が出ていなくて、「でどうなったの?」という終わり方をしているのですが、話が進むにつれ、美幸が仕事を変え、男を変え、のし上がって行っている様子が伺えて面白いです。


美幸はこの後こうなったんだ、みたいな。


そして噂話で美幸の人物像がだんだん見えてくると同時に、いったいこの女はどんな女なのか?と謎めいてもいきます。


またこの作品の舞台となっているのは岐阜県の都市なのですが、地方ならではのしがらみみたいなものも上手く描かれていました。


おそらく糸井美幸は実際にあった事件の容疑者をモデルに描かれたのだと思いますが、実際の事件よりもありえそうな話だったかも。


そして噂の女のその後が知りたい。


★★★★

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