517views

一生使え無いだろう口紅

一生使え無いだろう口紅

初めての記事が、こんな内容で申し訳ないのだけれど・・・

 今から遡る事、23年~30年前の20代前半から後半にかけて、お付き合いしていた男性が先日亡くなったと連絡が入った。一部上場企業のOB会の役員が、昔の飲み仲間の男友達で、わざわざ電話をくれた。「知っちゃったから、何だか連絡しなくちゃ悪いかなと思って・・」と。
連絡もらっても何も私は出来ないのだけれど・・。

 最後に逢ったのは、一体いつだったんだろう・・・遥かに20年近くは経つと思う。

今年は喪服を着る機会が多くて1月に、自分の1番大事な家族を見送り、2月は、お世話になった店のママ、3月はゴルフを何度もご一緒した友人のお父様、ペースメーカーを付けてからも80歳の年齢よりスコアは下回るエージシュートを何度も達成され記念の植樹も何本も植えられた方でした。4月5月と落ち着いたかなと思った矢先、私の誕生日月の6月に又、想い出のある人の訃報。 確かに自分を含め、そういう年齢だという事は良く分かっているつもりなのですが・・・。

 複雑な事情が絡み…喧嘩別れでは、なかったので恋愛関係が解消してからも年賀状だけは当時のまま、やり取りをしていました。
昔は賀状に、一筆「元気ですか?」とか「ゴルフは調子どうですか?」と書いてあったのが、ここ3~4年程は何も書いてない賀状が届くだけになっていました。
 でも、その年賀状を見るだけで(ああ生きててくれてるんだな・・)と。

今更、何をどうしたい訳でも、下心も何も無いのだけれど、自分の若かりし日の時間を一緒に歩いた、今は遠方に住む人の生存を確認する唯一の糸が元旦に届く年賀状でした・・・俺は生きてるよ!って言ってくれてる様な気がしてました。(私の勝手な思い込みですが)

・・・ある年のクリスマスに「プレゼント何が欲しい?」と言われた時、「私に似合う口紅を買って欲しいな」と20代前半だった私は言った覚えがあります。そして、24日のクリスマスイヴ、彼は生まれて初めてデパートの化粧品コーナーのシャネルで買った口紅を1本私にプレゼントしてくれました。
・・嬉しかった・・丁寧に包装されリボンのかかった口紅の小さな箱は宝物でした。
「汗かいて買ってきたよ。2度と行かない」と笑いながら話た覚えがあります。今の時代なら若い男の子や男性がフレグランスやプレゼント用にシャネルやディオールのカウンターに居ても、さほど珍しくはないけれど、あの頃、男性が生まれて初めて1人で足を踏み入れた化粧品フロアは、さぞかし居心地悪く恥ずかしかったと思うのです。

 その後、何だか勿体無くて結局1度も使う事の無かった口紅はドレッサーの引き出しの中に眠ったままでした。繰り出してみると少し汗をかいているけれど綺麗なまま。その口紅を、繰り出した時、初めて涙が出た。訃報の連絡をもらった電話では驚きだけで信じられなかった。

生きていく中で家族を亡くす辛さとは比べようもない感情だという事は分かっている。分かっていても、自分の気持ちを昇華させないまま蓋をした数十年前の想いが溢れ出して泣きました。

私に出来る事は、ただただ彼の魂に手を合わせて祈るだけ。歌の歌詞ではないけれど、私が1番輝いていて、純粋で怖いもの知らずで、ひたむきだった時代を歩いてくれて、ありがとうと改めて言いたい。

彼に貰った口紅は、多分一生使えない宝物になりました。





 

このブログに関連付けられたワード

このブログを通報する

コメント(0件)

カテゴリなし カテゴリの最新ブログ

カテゴリなしのブログをもっとみる

投稿ブログランキング

投稿ブログランキングをみる

編集部イチオシ!

HOTタグ

ブランドファンクラブ限定プレゼント

【毎月 1・9・17・24日 開催!】

(応募受付:6/1~6/8)

プレゼントをもっとみる