
台湾最大級の化粧品クチコミサイト「UrCosme(@cosme TAIWAN)」。2017年6月に@cosmeに仲間入りし、毎年、年末の「@cosmeベストコスメアワード」の発表と同時期に、「UrCosme(@cosme TAIWAN)べストコスメアワード」を発表しています。
今回は、2018年の発表に際して、日本と台湾の編集部が対談! 2018年に流行ったコスメ・美容のトレンドを深掘りしました。そこで見えてきたのは、「近いのに、こんなに違う!」実態でした。
「自分目線」に目覚めはじめた日本、「みんな」が決め手の台湾
2018年はどんな年だったのでしょうか。まずは、世の女性がどのようなムードで過ごしていたのか、日本と台湾それぞれに振り返ってもらいました。
日本:人でいうと、象徴的なのが渡辺直美さん。自分の個性をうまくアピールしていた人が、大きな支持を集めていた印象です。誰かの目線を意識した「モテたい」「かわいい」を追い求めるのではなく、「自分がどうなりたいか」が重視される…2018年は自分らしさを追い求める風潮が芽生えた年でした。
台湾:メイクではどんなところに表れてますか?
日本:自分が本来持つ素材を生かしたナチュラルさや、抜け感のある仕上がりが人気です。筋トレ・ワークアウトを当たり前のように取り入れる人も増え、顔だけではない健康的な美しさが注目されはじめています。メイクを頑張って「完璧な私」を求めるのではなく、「無理しすぎず、でもきれい」を求める人が増えてきているのかなと。
台湾:なるほど。台湾では「“みんな”が好きなものや流行りのものを使ってみたい」という意識が強くて。ブランドも「とにかく有名なもの」が人気です。2018年も、そんな意識を反映して、有名な賞を受賞したアイテムやテレビで話題になったアイテムなど、注目度が高まったコスメがヒットしていましたね。
日本:どんなコスメが流行ったんですか?
台湾:とにかく人気だったのが、ジョルジオ アルマーニ ビューティの『リップ マグネット』。2017年にベスコスを受賞したことからさらに注目度が急上昇し、2018年も引き続き人気となっています。また、人気の韓国ドラマ『トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜』で主人公が使っていたランコム『ラプソリュ ルージュ』の「S264」「M378」は、瞬く間にヒットしました。
日本:韓国の影響も大きいんですね!
台湾:そうなんです。台湾では、日本・台湾・欧米のビューティを追いかけていて、特にコスメは、韓国で流行ったものの影響を強く受けています。クリニーク『チーク ポップ』も、元々韓国で流行ったことから人気に火が付きました。
日本:なるほど〜!つまり「みんなが好き」が台湾女子の心をつかむ決め手になると。
台湾:そうなりますね。
日本:日本でももちろん「みんなに人気」というのもひとつの判断基準ではあるんですけど、それよりも「自分が好きかどうか」という軸が大きいですね。ナチュラルとは正反対な雰囲気の真っ赤なリップを取り入れてみたり、チークを紫にしてみたり、目元を濡れたような質感にしてみたり。「メイクの正解」を意識せずに、あらゆるカラーや質感を自由に楽しんでいる人が多い印象です。同じ人でも平日と休日で使い分けるなど、いろいろなタイプの美しさを一人ひとりが「自分目線」で追及するようになっています。
台湾:よい意味で正解がなくなっているんですね。でも、迷ったりしないんですか?
日本:実際迷うと思います(笑)。でも、だからこそ同時にパーソナルカラー診断が流行ったのかなと。これは、自分の目や肌のベースカラー、髪の色から、春夏秋冬の4タイプを割り出すもの。自分の似合う色やトーンがわかるので、コスメ選びの参考にしている女性が増えています。自分らしさを追い求める一方で「失敗したくない」という気持ちも表れているのかな、とも思います。
台湾:興味深いですね……台湾では、コスメカウンターで洋服をコーディネートする感覚で好きな色を試す人もいますが、ほとんど浸透していないです。
日本:それはなんでですか?
台湾:そもそもあまりカラーメイクに重点を置いていないというか、どちらかというとベースメイクが重視されているんですよね。
「とにかく手間を減らしたい」気持ちがトレンドに反映
日本:なるほど、気候的なものが大きいと。崩れにくさで言ったらマットでもよさそうですが、「生マット」が人気の理由ってほかにもありますか?
台湾:もうひとつの理由は、「立体感」が出せることですね。マットだと、崩れにくいのですが、仕上がりがのっぺりしてしまいます。ベースメイクにおいては、欧米の立体感を取り入れたい人が多いため、そのニーズにぴったり合ったのだと思います。
日本:ベースメイクは欧米風が人気なんですね!!だいたいどれくらいの人が今生マット肌なんですか?
台湾:大体8〜9割くらいですね。
日本:えー、そんなに!!日本でも生マットな質感は注目されていますが、相変わらずツヤ肌も人気ですし、基本的にはそれぞれの好みで選んでいます。その代わりに、皮脂を抑制する化粧下地や、フィックスミストなどを使うなど、前後に仕込んで崩れにくくしている印象が強いです。台湾ではそういったものは活用されていないんですか?
台湾:そうですね。ほんとうに一部の人が使っているくらいですね。台湾女性は「あまりメイクに手間をかけたくない」「いろんなステップを省略したい」という人が多いので、ひとつですむ生マット質感が人気なのだと思います。
日本:なるほど「手間を減らしたい」という意識を反映している、ということなんですね。
台湾:そうなんです。だからカラーメイクにも時間をかけすぎない(笑)。眉やまつげも、セルフではなくプロに任せることで手間を減らす人が増えています。実際に、アイブロウやマスカラなどのカテゴリの閲覧数も下がってきていますし。スキンケアやメイクでも多機能商品が流行りになりやすい傾向にあります。
日本でも台湾でもオペラ『リップティント』が大ヒット中
日本と台湾で違いはあっても、共通して人気のアイテムもありました。
日本:2018年に日本で大ヒットした商品は、オペラ『リップティント』ですね。12月3日に発表になった「@cosmeベストコスメアワード2018」でも、総合大賞を受賞してます。2017年から引き続き、連続での受賞となったことからも、その人気っぷりは明らかです。
日本:それはうれしいですね!あとは、人気の理由として無視できないのが、SNSでの話題性の高さですね。「08 バーガンディ キス」「11 コズミックピンク」など、トレンドをおさえた限定色が発売するたびに、TwitterやInstagramなどのSNSで話題となっていました。
台湾:台湾でもSNSは大きなきっかけになっています。
話題が話題を呼んできた2018年のSNS
年々その存在感を増すSNS。コスメの世界でも圧倒的な影響力を持っていました。
日本:日本では「SNSがきっかけで売れた」というアイテムが出てくるほど、SNSの影響力は高くなっています。スキンアクア『トーンアップUVエッセンス』は、発売前から話題となっていて、いざ発売したらすぐ売り切れという店舗もあったようです。
台湾:なぜそれほどまで話題になったのですか?
日本:まずはアイテムそのもののユニークさ。SNSでは「面白い!」「新しい!」というアイテムが注目される傾向にあります。『トーンアップUVエッセンス』でいうと、これまでなかったラベンダーカラーの日焼け止めであるという目新しさが話題になりました。ただそれだけだとダメで、多くの女性が求めている「透明感が手に入る」というメリットに魅力を感じた人が多かったから、実際に売れたのかなと。
台湾:なるほど。つまり、「ユニークである+本来的なニーズに合う」という2つがそろって、SNSで売れるという構図ができあがるんですね。
日本:そうですね。あとは、実際買った人の感想や、「人気すぎて手に入らなかった〜」という声が、さらに話題を呼ぶというケースもよくありますね。
台湾:話題が話題を呼ぶ、という状況ですね。きっかけは有名人ですか?
日本:それがまったくの一般人というケースの方が多いですね。日本では有名人のアカウントで取り上げられたから人気がでる、というだけではなく、熱量を持って伝えられているものが拡散される傾向にあります。一般人が個人的な嗜好でコスメや美容法をおすすめする、オタク的な美容アカウントがわかりやすい例です。
台湾:それはどんなものなんですか?
日本:「誰が何と言おうと、とにかく私はこれが好き!」というテンションで、自分が好きなものを紹介するようなアカウントですね。フォローする側も、「私がイイと思った人、共感できる人をフォローする」というモチベーションでいる気がします。
台湾:なるほど。面白いですね。台湾でも、お金をもらって書いているインフルエンサーや有名人よりも、一般人のブロガーやクチコミなどのリアルな声が重視されるので、少し近いかもしれません。
ブログが依然として人気な台湾
SNSから生まれるトレンド。ひとくちにSNSといっても、InstagramやTwitter、ブログなど、日本と台湾ではその特徴によって影響力が異なるようです。
日本:YouTubeのような動画は人気じゃないんですか?
台湾:YouTubeは一時期人気でしたが、それよりも最近ではInstagaramの人気の方が上がってきていて、一般人でもアップするケースが目立つようになりました。
日本:そこは日本と近いですね。そういえば、台湾は元々ブログ文化だと耳にしたことがあるんですけど、Instagramが流行った今もまだ人気なんですか?
台湾:ブログはまだまだ人気です。ただ、大体のブロガーはほかのSNSのアカウントを持っていて、両方使っている人が多いですね。
日本:へえ、びっくり〜!
台湾:実際、日本や韓国、欧米のトレンドも、ブロガーが取り上げたことから人気になるケースが多くあります。今台湾女性の間で上陸が望まれている日本発ブランドが「Celvoke(セルヴォーク)」や「CHICCA(キッカ)」。一部のマニアが日本の雑誌で受賞した情報をキャッチし、ブログやSNSでおすすめしたことがきっかけで人気に火が付きました。
日本:本当にブログに大きな影響力があるんですね!ほかに、SNSきっかけで流行ったものってありますか?
台湾:「土色、キャメルカラー」のチークやリップが流行りました。元々韓国で流行っていた「土色チーク」が話題となって以来、人気が続いています。流行りはじめたのは2017年上半期頃からですが、最近では土色とローズの間のキャメルカラーのリップも登場し話題になるなど、勢いを増しています。
日本:チークやリップ!気になる…!!
台湾:代表的なのは、クリニーク『チーク ポップ』の「05 ヌード ポップ」「07 コーラ ポップ(※)」ですね。 ※日本未発売カラー
2019年。台湾は+αの機能にお金をかける傾向に?
2018年の傾向がそのまま続きそうな台湾。編集部が注目するのは…。
台湾:2018年後半から、ハイブランドにお金をかける傾向が高まっており、その流れは2019年も変わらないと予想しています。例えば、ジョルジオ アルマーニ ビューティ『エクスタシー バーム』。単なる保湿だけのリップケアに留まらず、素の唇の色をトーンアップする効果もあるアイテム。+αの機能を持つ点に注目が集まっています。
2019年。日本は、ますますメイクの「当たり前」がない時代に
「ベストコスメアワード」でトレンドをキャッチ♪
日本と台湾の対談を通して、2018年のコスメ・美容のトレンドを深掘りしました。同じアジアなのに、大きな違いがあることが浮き彫りになったのではないでしょうか?
2018年12月3日に発表となった「@cosmeベストコスメアワード2018」と「2018UrCosme(@cosme TAIWAN)べストコスメアワード」では、その年に注目されたコスメが目白押し!今回の対談で話題に挙がったコスメの多くも受賞しています。もっと詳しく知りたい、という方はぜひチェックしてみてください。
chiu21さん|混合肌 の投稿写真
from UrCosme(@cosme TAIWAN)