
美容で、変わる。メイクで変わる――。「どんな自分になるんだろう…」少しの不安と少しのワクワクが同居しているみたいな不思議な気持ち。メイクを落としたらいつもの自分に戻るけど、メイクをしたら昨日とは違う自分がいる。変わる私と変わらない私。
そこで「#美容は自尊心の筋トレ」をモットーとする、美容ライターの“おさ旦那”こと長田杏奈さんに「変わる・変わらない」をテーマに寄稿いただきました。
思い当たる? メイクの力で変身する瞬間

何色を塗るかで、性格やキャラクターまでちがって見える。
その面白さに気がついたのは、10代も半ばを過ぎた頃。美容部員の母が持ち帰る季節の新色を、とりあえず全色塗って試すことができたおかげだ。
「和犬っぽい小粒な奥二重」という私の目の形はいつもと同じなのに、ブルーのアイシャドウパレットならクールな眼差しに、ブラウンだとナチュラルな深みが出た。グリーンだと知的な爽やかさ、レッドだと色っぽさ、パープルだとミステリアスな雰囲気……。
塗る色を変えるだけで印象がくるくる変わるのが不思議で、お人形遊びの延長のような気持ちで、童心に返って顔を着せ替えることに夢中になった。
その後、好きが高じて美容ライターになり、いろいろな人がメイクの力で変身する瞬間に立ち会った。見た目が変わることで、振る舞いや話し方まで変わるという瞬間を数えきれないほど目撃してきた。きっとこういうの、メイクが好きな人には思い当たる感覚なんじゃないかな。
メイクに限ったことではなく、スキンケアや香りもそう。美容は、その人の中に眠る多彩な側面を引き出してくれるもの。コスメを愛する私たちは皆、選ばれし化粧品を相棒に、自分という未開の大地を開拓し、まだ見ぬ魅力や可能性というロマンを探し求めるトレジャーハンターだ。
あなたの中に眠る「美の埋蔵量」

「このファンデめっちゃ盛れる!」「このリップ塗ったらモテた気がする」。
そんなとき、じつは神なのはコスメではなく、もともとあなたの美の埋蔵量が神がかっていたというだけのこと。どんなに優れた化粧品も、何もないところに唐突に降って湧いたようなチャームを与えることはできない。もともと自分の中にあったものを、より強調して引き出す。それが化粧品の得意技なのだ。
「変わる」を楽しもう。「らしさ」をたしかめよう。

冒険に明け暮れたトレジャーハンターたちは、ある日いちばん大切な宝に気づく。それは、自分の根底に変わることなく存在する、「らしさ」という魅力。美の冒険者の心の拠り所となるホームであり、ベースキャンプのような存在だ。
「らしさ」という言葉を難しく感じるなら、自分が変わらずまっしぐらに好きなもの、ことに思いを馳せてみよう。何によろこびを感じ、どんな姿が心地よくて、心が震えるほど憧れる人やものはなんなのか。
自分の顔をキャンバスに、メイクやスキンケアを駆使して、あなたの中の変わらないもの、「みんなにオススメしたい私らしい魅力」を表現しよう。「これが私です」と言える中身と、ガワである外身がすてきに調和したとき、毎日を歩む足取りはより迷いなく、より軽やかなものになるはず。
@cosmeに集いしコスメトレジャーハンターたちよ、これからもたくさんの「変わる」を、のびのびと楽しもう。そして、時には変わらない「らしさ」を、たしかめてみようではないか。


長田杏奈(おさだ・あんな)さん
美容ライター。美容をメインに、インタビューや海外セレブ記事も手がける。趣味は花鳥風月。モットーは「美容は自尊心の筋トレ」。