
一世風靡した香りは年代別にありますが、ここ最近、特に2004年くらいからフローラル系のライトな調香が好まれているように思います。
一昔前、ちょうどバブルで日本全国がイケイケだった時にジュリ扇にボディコンお姉さまがこぞってつけていたのは海外製のこってり香水。プアゾンだとか、サムサラだとか、今とは真逆のオリエンタル系の濃厚な香りが好まれていたように思いますし、少なくとも香りの系統として今よりかはオリエンタルというジャンルがしっかり根付いていたと思います。
最近だとお風呂あがりのようなライトで優しい、石鹸などをイメージして作られている香水が人気のよう。これは日本全体が不景気で元気がないからでしょうか。それとも、バブル期に比べ、「大人の女」のアイデンティティよりも「少女性」が優先された結果だからでしょうか。私はどちらかというと、少女性より大人の女性としてのアイデンティティを守っていきたいなと思っております。
ですが、多少そういった面もあるけれど、人というのはどうも「一昔前」を非常に避ける傾向があります。だいたいが「ダサい。古臭い」で片づけられてしまう。一昔前をさらにさかのぼって、30年、40年前、50年前などになると、とたんに「逆に新鮮」などと言い始める不思議な生き物。
昨日ふと、資生堂から発売されている「琴」を付けてみて思ったんですが、私も数年前、若しくはもっと最近まで、シプレと呼ばれる系統の香りはとても苦手でした。なんだか、こう・・オークモスがむっとくるようで、それでいて地中海の爽やかすぎる風が鼻を突き抜けるような刺激を感じていたからです。ウッディなのか爽やかなのかどっちなんだよ、と言いたいくらい、どっちつかずな香りだと認識していたんですが、琴を思い出したように昨日つけてみて、「あ、これはなかなかよいな」と思いました。私の好みは一貫してオリエンタルが地盤にあるパウダリックな香りです。中東などの暑い国をイメージさせるような香りがストライクゾーン。私が映画のエクソシストを何度も飽きずに観る理由は、冒頭シーンにエジプトが出てくるからだと思います。中東になまめかしさを感じるから・・オリエンタルノートに魅かれてしまうのでしょう。
シプレは人肌に温めると、とても柔らかく、かつ適度な甘さと柔らかさがあって落ち着く香りで、何故今まで避けていたのか自分でも分からなくなったほど、よい香りでした。まぁ、香りというものは系統だけでは量れない懐の深さがありますから、実際にシプレ全般を私の鼻が受け入れられたかどうかは分からないのですけれど。ただ、琴は日本のブランド、資生堂が作った香りですから、海外のシプレとはまた少し違うかもしれませんね。全体を通して品があるものが多いと思います。
それにオーデコロンというのも、なかなか良いものです。
資生堂製の香水で、持っているのは「禅」「琴」「むらさき」でして、むらさき以外はオーデコロンです。このオーデコロンというのはアルコール分が多く、3時間もすれば香りはほとんど残っていないような、普段使いに最適なライトなもの。パシャっと胸元につけても、よい香りだなと自覚できるのは最初の1時間くらいで、そのあとはすーっと肌に馴染み鼻を近づけないと分からないようになります。仕事中の気分転換にとってもいい。
私が今までシプレを避けていたもう一つの理由はイメージが「男性的すぎる」からです。私は絶対に女性的でいたいので、こういうユニセックスな系統の香り、シプレの他にシトラス系であったりとかは、ほとんど好まないものがほとんどです。別に過剰に女らしさを出してしなを作る訳ではありませんが、女性には女性の美しさの表現があると思っているので、あえて数ある香りの中から男性的なものを選ぶ理由もないと感じていたからです。
ですが、いったん受け入れてしまうと、なんだか今まで苦手としていたシプレのウッディさですら、女性らしいと感じてしまうようになりました。
香りというものは脳に直接働きかけますから、皆様も一度「なぜこの香りが好きなのか。どこに魅かれているのか」を考えてみると、そこからまた新しいお気に入りの香りが見つかるかもしれませんし、より深く自分の「好きなもの」が分かるかもしれません(*^_^*)
※写真は資生堂最高峰の香水 「すずろ」 30ml 約5万
と、「禅」「琴」「舞」発売当時(1976年)の広告。

すっぴん可能な在宅勤務
さろめんさん