
■ のはなし/のはなし に
■ 宝島社
■ 伊集院 光
伊集院光の【のはなし】と、第2段の『のはなし に』がオモシロ過ぎる
ベットに入って2~3編読んでから寝ようと思うんだけど
ついつい、あとひとつ、あとひとつ、って止まらなくなってしまう位
吹き出してしまうような可笑しさがある
深夜のラジオ番組【深夜の馬鹿力】を聞いて彼のファンになった
テレビに出ている伊集院しか知らない人は
『雑学に強いデブ』くらいに思っているだろうが
ラジオではテレビの世界では見せない変人ぶりをいかんなく発揮して
その話の面白さは売れっ子の漫才師の比ではない
エッセーでは、ラジオの毒は多少抜けているけれど
彼の変人ぶりは健在だし
高校中退のブスのデブというコンプレックスを逆手にとった話の旨さは
三遊亭楽太郎の弟子として落語家修業をしていたからだろう
例えや比喩の面白さはピカイチなのだ
しかし、テレビで伊集院を見るたびに思う
オイオイ、こんなに善人ぶっちゃってさ
ラジオの中の屈折した人格はどこに置いてきたんだよ?
一番好きなのはジャイアント馬場のエピソード
伊集院が落語家の修行をしていた時
師匠のお使いでジャイアント馬場さんのオフィスに伺うと
いきなり『・・・足・・・でかいな・・・』と言われ
伊集院が『31センチ』と答えると
『靴、たいへんだろ』と言った馬場さんがどこかへ電話
『もしもし馬場だけど、1足お願いしたいんだ。黒の革靴31センチ』
馬場さんは初対面の伊集院のために靴をオーダーしてくれたのだ
1ヵ月後にできあがるから、取りにいきなさいと地図を渡してくれたのだが
オフィスを出て地図をみると、目印が空港になっている
あれれっ??と思って地図をよくよく見ると
なんとオーダーしてくれたのはハワイの靴屋で、目印はホノルル空港だった
馬場にとってすぐそこの行きつけの靴屋はハワイにあった
結局、師匠の三遊亭楽太郎さんが
ハワイに旅行に行ったついでに取ってきてくれたのだが
馬場がお金をだして、師匠が取りにいってくれた靴は
まぶしすぎていまだに履いていないという
小学生の伊集院が水泳の試験に挑む際、どうしても息継ぎができず
「出来ない息継ぎを練習するより、息継ぎなしの限界を突破する」
と考え、ついに呼吸なしでの25mを達成した話も好き
私も小学校の水泳の授業は
スイミングに通っている子との差が大きくて大嫌いだった
伊集院も私も同じような経験をしているのだけど
この手の話も伊集院の手にかかるとこんなにおもしろくなる・・・
書き手の力量と言われればその通りなのだけど
伊集院独自のフィルターを通して見る世界感に引きこまれてしまうのだ
自分を『ダメ人間』と思いこんでいる伊集院のネガティブな視点で見る日常は
なんてことないワンシーンまでが、豊かでおもしろい
テレビの伊集院光しか知らないなんて、勿体ないですよ~!
さらっと読んで、思わずクスッとさせてくれるエッセーは
何度も読み返したくなるハズです!
anzu_ameさん
さとかわさん
anzu_ameさん
さくらん。さん