
こんにちは~。今春は寒いですね、やっとあったかくなったかと思ったら、また寒くなったり。お彼岸ももう過ぎたし、いい加減あったかくなって欲しいものです…
さて、今回は書籍のご紹介をば。
1ヶ月くらい前に読んだ本なんですが、『シャネルの戦略~究極のラグジュアリーブランドにおける技術経営』という本です。長沢伸也氏という、早稲田大学に在籍する経済学者が書かれた本のようです。長沢氏は、他にもルイ・ヴィトン社をテーマとした本も書かれており、いわゆるファッションブランド企業をご専門としているようです。
シャネルというブランドについて、企業の全貌を描いていますので、もちろんプレタポルテやバッグなどの小物・アクセサリーに関する内容、つまりファッションが大半を占めますが、コスメについても触れられています。
千葉県船橋市にアジア向けの研究所が設置されているという話は知っていましたが(美容雑誌の記事などでも見かけますが、美白ラインなどは日本市場特有の製品なので、船橋の研究所で開発されているそうです。また、船橋の研究所では、地元の小学生を社会見学で受け入れたりといった試みも好評なんだとか)、ルージュアリュール等を始めとしたシャネルの口紅のパッケージは、蓋を閉める時の音や感触などまで高級感にこだわって作られているとか、中身を使い切るときまでパッケージの高級感が損なわれない(簡単にキズだらけにならない、塗装がはげないなど)ように作られているとか、ほぉ~と思うこともたくさんありました。船橋の研究所も、90年代に設置されたようですが、当時は日本市場しか見てなかったと思いますけれど、現在では韓国や中国の市場も見据えているんでしょうね。また、シャネルを代表する香り、N°5についても触れられています。
シャネルK.K.(日本法人)のリシャール・コラス社長始め、現在のピーター・フィリプス氏の前任のメイクアップ・クリエーターであるドミニク・モンクルトワ氏、調香師エルネスト・ボー氏ほか、雑誌などでも見たことのある社員の名前が出てきます。
本書は、どちらかというと、シャネルというファッションブランドの紹介もさることながら、書名にあるように、その経営戦略に焦点を当てていますので、地味と言えば地味だとは思いますけれど、シャネルというブランドのバックグラウンドに興味がある方にはお勧めしたいと思います。
シャネルのデザイナー(ファッション分野)である、カール・ラガーフェルド氏については、ファッションがお好きな方であれば多少なりともご存知だと思いますけれども、シャネル社のオーナー、つまりフランス本社の経営者については、きっと皆さんあまり聞いたことがないのではないかと思います。この本には、その経営者一族(ヴェルタイマー家)が権利を得るまでの諸々も書かれており、なるほど~と納得しました。
そして、次にご紹介したいのが、これも1ヶ月くらい前に読んだ本なのですが、アメリカ人ジャーナリストのダナ・トーマス氏が書いた『堕落する高級ブランド』。
先述の『シャネルの戦略』にも何度も引用されており、こちらもこのジャンルではかなり有名な本なんだろうと思います。2007年にアメリカで出版され、2009年に日本語版が出版されたようです。
こちらは、シャネルのみならず、ルイ・ヴィトン、グッチ、プラダ、フェラガモ、リシュモングループなどなど、ファッションが好きな方であれば誰でもが知っているようなブランドがたくさん出てきます。
先ほどご紹介した『シャネルの戦略』が、どちらかといえばシャネル社の経営を持ち上げるというか、褒める方向(悪く言えば提灯記事的な部分もあるのかも)なのに比べ、『堕落する高級ブランド』は、タイトルの通り、業界の裏話的なエピソード満載です。もちろん、当事者へのインタビューや現地取材により書かれていますが、ゴシップ的な側面もあるのかもしれません。それだけに、読んでいて面白いのですが…
創業者一族で経営していた時代は、経済的に少し不安定ではあっても、少数の富裕者層を相手にひたすら高品質なものを追求するだけでよかったのに、80年代以降の大衆化や大資本によるグループ化などが進んだ結果、デザイナーなど作り手側は経営者からコストダウンを要求され、高級ブランドの本来のあり方からかけ離れたものづくりを強要されるとか、寒々しい話も満載です。
昔からある香水について、たまに、「最近、原料が変わったせいか、香りが変わった気がする」なんてクチコミを見かけますが、それも、単に天然香料が入手困難になったとか、動物性だから規制が厳しくなって使えなくなったとか、そういうのではなくて、単純にコストダウンの結果かもしれません。もちろん、リニュ後の香りのほうが好みかもしれないし、簡単に良いとか悪いとか言えるものでもありませんが。
また、わしも、7年ほど前、よく行く百貨店でたまたま出くわしましたが、有名なLVMHグループの総帥、ベルナール・アルノー氏も頻繁に登場します。そのとき、たまたま系列の某コスメブランドのカウンターに座っていて、BAさんに「アルノーさんが行き過ぎるまで座っていてくださいませんか、誰もお客さんがいないと悪印象なので」と頼まれ、世間話をしながらそこに座っていたことがあります。
それから、ハリウッドスターなどが、ファッションブランドから洋服や靴、バッグなどの提供を受け、それを公の場で着こなすことがものすごい広報になり、飛ぶようにそのブランドの商品が売れるとか、気づいてはいたけど、やっぱりそうなんだ的な(苦笑)エピソードも書かれています。
ファッションやコスメなどは、我々女性の大いなる人生の楽しみですし、そういったものに対する物欲が、働いたり生きたりするうえでの励みになるのもまた事実ですが(笑)、この『堕落する高級ブランド』は、「こういった裏話もあるから、物欲もそこそこにしといたほうがいいんじゃないかな」って思わせてくれる一冊でもあります。
モノがなかなか売れない昨今、雑誌を始めとしたさまざまなメディアが物欲を煽りますけれども、そうそうホイホイ踊らされてもいかんかなと思う今日この頃です。踊りたいときはしっかり踊って楽しませていただき、踊る必要のないときはじっとしている、賢い消費者になりたいですね。
書籍の写真もアップしておきます。中身の写真は、『シャネルの戦略』の目次です。携帯で撮影したので、画像が粗くてすみません。





コメント(0件)
※ログインすると、コメント投稿や編集ができます