いよいよ夏の旅行シーズン到来ですね。
旅行に出られる方には、是非旅のお供に。
そして、今年は旅行を見送ったあなたにも、旅気分を味わって頂けるお勧めの一冊が、こちらです。

『巴里ひとりある記』
(高峰秀子著/河出書房新社)
まずは、著者である高峰秀子さんのご紹介を。
古い日本映画をご覧になる方はよくご存知と思います。
5歳のとき、松竹映画「母」で子役デビュー。
以降、「カルメン故郷に帰る」「二十四の瞳」「浮雲」など、300本を超える映画に出演した、日本を代表する女優です。
「デコちゃん」と愛称で呼ばれる、国民的な人気を得ています。
そんな女優としての絶頂期の27歳の年、高峰秀子さんは女優業を、そして「デコちゃん」を突然休業し、すべてを捨ててパリへとひとり旅立ったのです。
街を歩く。
買物をする。
生まれてはじめての"普通"の生活をする彼女の眼に映るパリの街は、新鮮さ、おっかなびっくりの驚き、みずみずしい楽しさに満ちています。
そして驚くべきは彼女の文章力。
単なる旅行エッセイにおさまらず彼女独自の言葉で繰り出される科白や、
活動的な若い女性のおきゃんな一面を垣間見せるユーモアの表現も、とてもたのしい気持ちになるのです。
最後に、わたしが心に残った「デコちゃん」のひとことを記します。
『人間って、人生という旅のある駅で、ふッと立ち止まる時ってあるでしょ?
女性ならさしずめお肌の曲がり角ってとこだし、男性なら今後の方針を決める、という。
それが二十五、六歳って年頃なのね。』
旅に出られる方、そして今年は旅気分を味わう方。
すべての女性に読んで頂きたい一冊です。
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