少しずつ、秋の足音も聞こえてまいりました。
いかがお過ごしでしょうか。
先週は、高峰秀子さんという、日本を代表する女優さんのエッセイをご紹介いたしました。
本日はその流れを受け、昭和の映画界を駆け抜け、今もなお多くのファンを魅了し続けるもうひとりの女優さんの御本をご紹介したいと思います。
「若尾文子 "宿命の女"なればこそ」(若尾文子・述 立花珠樹・著/ワイズ出版)

まず、若尾文子さんのご紹介を。
十七歳のときに大映で映画デビュー。
その後、名だたる映画監督ーーー溝口健二、小津安二郎、川島雄三、増村保造ーーの作品に出演。
可憐な乙女から、妖艶なファム・ファタルまで演じきり、現在も数年に一度は名画座で出演映画の特集が組まれるなど、現在でも大人気の女優さんです。
その若尾さんが初めてロングインタビューにこたえ、監督や俳優とのやりとりや、当時の熱い撮影現場をありのまま語っているのが本作。
特に、増村監督作品「清作の妻」の舞台裏が壮絶で、彼女の女優魂の一片を垣間見た気がします。
実際の若尾さんと、イメージは重なるような気がしています。
私が若尾文子さんを知ったのは、「妻は告白する」という作品です。
美しい黒い着物が水を含み次第と重くなってゆくような情念の演技と、現代の女優さんには見受けられないような深い声に、ゾクゾクと魅了され、あっという間にファンになってしまいました。
こちらのインタビューを読み、ますます観たい映画が増え、秋に観たいDVDリストが長くなっていくばかり…。
徐々に過ごしやすくなってきた残暑の夜、本と映画を併せて一層楽しみたいところですね。
女優・若尾文子を、そして古き美しい日本映画を知るきっかけとなって下されば、幸いです。
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