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ゲラン アクア・アレゴリア・シリーズの歴史

ゲラン アクア・アレゴリア・シリーズの歴史

老舗ゲランにあって、ひときわ他の香水と異彩を放っているのが、よりシンプルで使い勝手のよさを提案し続ける「アクア・アレゴリア」シリーズだ。特に夏に愛用者が多い。


アクア・アレゴリア・シリーズという既存の香水とは一線を画したアイディアを思いついたのは、ゲランの4代目調香師ジャン・ポール・ゲランが、朝早く馬に乗って草原を駆けているときだったという。「感情を持った水」「記憶力を持った水」アクア アレゴリア。そんなキーワードのもと、美しい庭や幸せな食卓の記憶や物語を、香りで綴ったオード・トワレのコレクションとして立ち上げたのがこのラインだ。

コンセプトは、「ライフシーン・フレグランス」。香りが生活に与える豊かさは時とともに変化してきている。単に身に付けるだけの香水から広がりを持たせ、日常のあらゆる場面でこれまで以上に香りを楽しむという意図で創造されたのがアクア・アレゴリアだ。具体的には、ルーム、ファブリック、カー・フレグランスとしてもライトに使用できる香り。そのために、高品位な香料を使用しながらも、シンプルでナチュラル、透明感にあふれたものを提供していこうとするプロダクツになっている。

1999年にシリーズ最初の5本が発売されてからすでに16年という時が経っている。この間、アクア・アレゴリアは、毎年新しい香りを生み出しながらも、種類が増えすぎないよう、古くなった香りをどんどん廃盤にしてきた。今年は、ネロリア・ビアンカが廃盤となり、代わりに新しくテアズーラが市場投入された。


それは、このシリーズが、調香師の新しいアイディアの実験作品としての位置づけと、それに対する市場の動向を調査するアンテナといった2つの戦略を担うラインであるが故と推察する。つまりここで培ったアイディアやレスポンスのよかった香料の組み合わせなどが、やがてメインラインの香水作りにフィードバックされていくということだろう。

これまでに発表された香りは次のとおり。物によっては資料が乏しく、発売年が若干ずれている物もあるかも知れない。

1999年 ハーバフレスカ、パンプルリューヌ、イラン&ヴァニーユ、ラヴァンドベロア、      ローザマグニフィカ
2000年 フローラネロリア、ウィンターデリス
2002年 ジェンティアナ、リリアベラ   
2003年 フォリーフローラ、レモンフレスカ
2004年 アニシアベラ、ミントフォーリア 
2005年 ピヴォワンヌマグニフィカ、オレンジマグニフィカ
2006年 トゥッティキウイ、グロセリナ   
2007年 マンダリンバジリック、アンジェリックリラ
2008年 フィグイリス、ローリエレグリス  
2009年 ティアレミモザ、チェリーブロッサム
2010年 フローラニンフィア、ブーケヌメロ1 
2011年 ブーケヌメロ2、ジャスミノラ、ブーケドゥメイ、ローザブランカ
2012年 リスソレイヤ   
2013年 ネロリアビアンカ、フローラロッサ
2014年 リモンヴェルデ  
2015年 テアズーラ

こうして見てみると、ジャン・ポールからティエリー・ワッサーへという調香師の交代を経つつも、アクア・アレゴリア・シリーズは常に、市場とユーザーに向けて挑戦し続けていることが分かってくる。

そう考えると、「水の寓話」から得られる「教訓」とは、そうした市場動向のフィードバック、つまり、「現代の人々の好みをつかむ」という、ゲランにとっては貴重なアンケート結果のようなものなのかも知れない。

ちなみにティエリー・ワッサーは、あまりの多忙さ故に、2年ほど前からは、アクア・アレゴリアの開発からは手を引いて、メインの香水作りに仕事を集中させているよう。代わりにアクアシリーズを手がけているのは、香水部門統括ディレクターのシルヴェーヌ・デラクルト率いるチームだそうだ。


かつてのゲラン調香師は、「孤独な天才の一人仕事」というイメージが強かったが、最近ではチームで分担協力して仕事をしている感じがすごくする。ゲランも、最新鋭の科学と化学を用いて、パーテーションの多い明るい大空間で香水作りをする時代になってきているのだろう。

ゲラン アクア・アレゴリア・ネロリアビアンカのクチコミ

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コメント(8件)

  • アレゴリア初代5’sにして数少ない生き残り組、ハーバフレスカ。今だ梅雨~残暑にかけてヘビロテ中。
    今や廃盤にならないことを祈るばかり。
    日本人好みの軽い香りでありつつ、ジャン=ポール・ゲランの監修のもと、ゲルリナーデをわずかに感じさせる香り。やっぱり古くても良いものは良い(`・∀・´)エッヘン!!

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    2016/7/9 06:53

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    マッドさんありがとうございます。現れては消えるアレゴリアにあって、ハーバフレスカはむしろ、年を経るごとに貴重になりますね。自分も好きな香りです。

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    2016/7/9 07:18
  • はじめまして。古い記事に沢山likeを押してしまい、申し訳ありません。アクア・アレゴリアはハーバフレスカ、ラヴァンドベロア、そして、イラン&バニーユが一番好きです。個人的には、ゲランはジャン=ポールまでかなと思っております。最近のものは今一つピンときません。自分の感性が鈍っているのかもしれませんが。

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    2016/6/26 12:50

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    どどんさん、ありがとうございます。ジャン=ポール氏の初期の物は、ゲランのすそ野を広げつつも心に残る物が多くて自分もいいなあと思います。夏になるとハーバフレスカ必須ですし。最近の物は、かいだ瞬間に「んー、来年までかな」と感じてしまうほどのっぺりした印象が多いです。ラヴァンドベロアは未経験でした。

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    2016/6/26 17:26
  • ある香りの歴史なんでしょうね(*^-^*)今は廃盤のティアレ ミモザも好きな香りでした。Emirin様同様、マンダリンバジリックだけは廃盤の運命を逃れて欲しいと思っています。

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    2015/8/14 01:40

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    (続) です。ティアレはとても好きなので、ティアレミモザはいつか試したいと思います。アクアアレゴリアをルームフレグランスにするのはもったいない気もするのですが、好きな香りだと自分にもファブリックにも気兼ねなくプッシュ!というのは、時代のニーズにも応える姿勢で好感がもてます。

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    2015/8/14 13:10
  • ドギー様 こんばんは。マンダリンバジリックは私もリピし続ける大好きな香りです(#^.^#) ルームフレグランスとしても多用しています♪アクアのシリーズはゲランのBAさん達にとっても自分達が入社した年に発売になった香り等、思い入れのある物が多いと以前聞いた事があります。買う側も売る側にも想い出の

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    2015/8/14 01:37

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    宮部さん、いつもありがとうございます。ゲランのBAさんにとっても、その年を思わせる香りなんですね。そうした目線も当然あることに初めて気付きました。「何年入社?」と聞かれて「ミントフォーリアの年です♪」「あら、じゃ、私より1年あとね」なんて会話も聞こえてきそう。「継続は力なり」を感じるシリーズ (続)

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    2015/8/14 07:47
  • アクア・アレゴリアの年別リストアップありがとうございます!香り好きとしては嬉しい情報です。
    今までのゲラン特有の‘香水’とは違い、もっと幅広く使えるEDTコレクションを発売したのはある意味時代の流れだったのかもしれませんね。

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    2015/8/13 22:04

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    AtIiさん、いつもありがとうございます。夏、しかも体温高めの自分にとっても、アクア・アレゴリアシリーズはなかなか使い勝手が難しいところがあります。香りとしてはマンダリンバジリックが好きなのですが、明るく元気なオレンジといった香りが、自分使用にはなかなかなりにくくて(続)

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    2015/8/13 22:40
    (続)今回さまざまなソースを元にこれまでの発表作品を並べてみたのですが、海外のみ発売の物や、冬限定の物、DFSでのみ発売の物もあったようで、とても驚きました。もし違っていたり、漏れがあったりしたら是非教えてください。これからもこのシリーズでは、果敢な挑戦や若手の育成的なアプローチを期待しています。

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    2015/8/13 22:46
  • 少し寂しい気分になる事もありますが、この香りのコンセプトは私も好きです♪
    ビアンカは思いの外短命でしたが、マンダリンバジリックはどうか廃盤にならない事を祈ります!

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    2015/8/13 08:58

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    (続)どんな経緯で残すか消えるかをセレクトしているのか興味がわくところでもあります。巷では新製品テアズーラのクチコミもさかんに出てきているようですね。新しいアレゴリアが出ることはうれしいですが、消え去る香りにはかなさを感じることもしばしば。その分、記憶ととともに心に焼き付けたいと思うこの頃です。

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    2015/8/13 22:15
  • おはようございます!アクアアレゴリアを歴史を振り返り懐かしく思いました。こういうの時々チェックバックしてみると楽しいですね。やはりワッサーさんはこのシリーズにはノータッチでクリーターチームが出来上がっていたんですね。何となく想像はできましたが、老舗はどこもブランドではなく企業と化してしまい

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    2015/8/13 08:53

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    Emirinさん、いつもありがとうございます!Emirinさんのクチコミでもマンダリンバジリックに寄せる思いは感じておりました。自分もハーバフレスカとマンダリンバジリックは特別感慨深い香りです。流れから言うと次にバトンタッチしてしまいそうなのは、リモンヴェルデかなという気がしますが (続)

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    2015/8/13 22:11
  • (続く)使いやすい香りではありますが、私の肌にのせるには軽すぎて(体温高めのためすぐさよならしてしまうにしてはお値段がちょっと。。。)未だ購入に至っておりません。
    でも、実は気になっている香りがあるんですよね^^

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    2015/8/13 22:06

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