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父親と息子

父親と息子

先日出張に行った夫は、長男と食事をしてきたとご機嫌で帰ってきた。

専業主婦の母を持ち、一人暮らしの経験もない夫は当然のように家事はできない。
しかし育児には協力的だった。
ミルクもオムツ替えも、お風呂も食事の世話も、時間がある限りはやってくれた。
家事が出来ない分、そこでしか私をフォローできないのを自覚してのことだろう。

息子たちの成長につれ、休日は息子たちとよく遊んでくれた。
自転車の練習も、公園でのキャッチボールもサッカーも、息子たちの友達を引き連れてサイクリングに行ったり、キャンプもスキーも毎年行った。

そして日に日にパワーアップする息子たちと体力の差を感じるようになる頃、息子たちは自分の世界を優先するようになって行く。

反抗期や受験戦争を乗り越え成人した息子たちが、それぞれ一人暮らしをするようになった今、父親と息子の微妙な距離感を私は不思議に思う。
特別仲が良いわけでも、悪いわけでもない。
だけど私と息子たちの関係とはどこか違い、なんとなく静かに流れる空気がある。

しつけと面倒をみるのは母親、遊んでくれるのは父親という構図が、今の関係性に影響しているかもしれないが、なんだか釈然としない。

早くに父を亡くし女ばかりの中で育った私は、気づくと男ばかりの家庭を持った。
この不思議な男同士の関係は、夫と義父がそうであったようによくあることなのだろう。
それでも、疎外感のような、そんな気持ちになる。

ケガや病気で夜中に病院へ走ったり朝方まで看病したりは茶飯事だった。
仕事をしながら役員もし、朝暗いうちからお弁当を作り、ドロドロのユニフォームを洗い続け、時にはバトルして暴言を吐かれ、出て行った後も心配する気持ちを必死で隠してきた。

私だって息子たちのために、寝る暇もなく走ってきたはずなのに。
いつも美味しいところだけ持っていく夫に、どこかで嫉妬している自分がいる。

遅く帰宅した夫にそう愚痴ると笑って一蹴された。
彼奴らはわかってるよ、と。

わかってるって何をよ?
夫はまた笑って食事をしていた。







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