
サマーフレグランス 2020
2020/6/24 22:00
それはこの夏、どのフレグランスを使うか、野球でいう打順を組むこと。
春や秋、さらには冬と異なり、夏はただただ暑い日が延々と続くなかで、せめて香りのバリエーションを変えることで日常に変化を与えたい。さらには夏は気候の変化が乏しいため、惰性で同じ香りを使い続けることを避けたい。その思いから毎年決まって梅雨の時期に、夏場に使うフレグランスの打順を作ることにしている。
2020年のサマーフレグランスの打順は次のとおり。
※()は、香調、発売年、調香師の順。
1番 NEROLI PORTOFINO /TOM FORD
(シトラス・フローラル、2011年、ロドリゴ・フローレンス・ルー)
2番 L'HOMME IDEAL COLOGNE /GUERLAIN
(シトラス・アロマティック 2015年、ティエリー・ワッサー)
3番 EAU DE COLOGNE /LES EXCLUSIFS DE CHANEL
(シトラス・グリーン、2007年、ジャック・ポルジュ)
4番 CALIFORNIA DREAM /LOUIS VUITTON
(シトラス・ムスキー・ウッディ、2020年、ジャック・キャヴァリエ)
5番 PETIT MATIN /MAISON FRANCIS KURKDJIAN
(シトラス・アロマティック・ムスキー、2016年、フランシス・クルジャン)
6番 MOONLIGHT IN HEAVEN /BY KILIAN
(フルーティ・アロマティック・ウッディ、2016年、カリス・ベッカー)
7番 WOOD SGAE & SEA SALT COLOGNE /JO MALONE
(アロマティック・ソルティ、2014年、クリスティーヌ・ナジェル)
8番 THE CACHEMIRE /DIOR
(シトラス・グリーン・ウッディ、2017年、フランソワ・デュマシー)
9番 EAU DE RHUBARBE ECARLATE /HERMES
(フルーティ・グリーン・ムスキー、2016年、クリスティーヌ・ナジェル)
1番、切り込み隊長はネロリポルトフィーノ。
過去、同じトムフォードのネロリポルトフィーノ フォルテや、マンダリーノに浮気したが、やはりこのオリジナルに戻すことにした。
では、この香りの何が好きなのか。それはシトラスグリーンやハーバルのクラシカルなシトラスコロンを彷彿させるメンズらしさと、ネロリと謳いながらもそれ以上に香るオレンジフラワーやジャスミンのレディースっぽさのバランスが好みで、まさにクセになる香り。
さらに美しいブルーのボトル。不動の1番。まさに、青い稲妻♪(SMAPじゃないよ)
最も汎用性が求められる2番はロムイデアル コローニュ。
ゲランには、人気のアクアアレゴリア マンダリンバジリックや、同じロムイデアルのクールなど、もっと夏に適したフレグランスも多い。
ロムイデアル コローニュは夏場に関わらずに、特に汎用性の高い香りで、年間通して最も使用頻度が高い。
爽快なシトラスと、そこそこのアロマティック感と、ライトな柔らかさのバランスが良く、悪く言えば特徴がない、良く言えば控えめなセクシーがあり、この嫌味のなさがとても誠実で使いやすいと感じる。
昨年の夏、ロムイデアル クールの発売と共に、このコローニュは廃番となってしまった!
慌ててストックを購入した、数少ないフレグランスの一つ。
ここからクリーンナップ。3番はシャネル オードゥコローニュ。
究極のシトラスコロン。古典的なシトラスコロンから、メンズ的なハーバルノートを取り除き、雑味のまったくないクリアなネロリや柔らかいムスクを加えることで、最高のシトラスを楽しむことができる。何よりも、どんなに暑くても、どんなにジメジメしていても、このシトラスシャワーを浴びた瞬間、一瞬で晴れやで爽快な気持ちに誘ってくれる。
そして4番、今年のサマーフレグランスとして大型補強したのは、ヴィトンの最新作カリフォルニアドリーム。しかしながら、早くも今年の大型補強はハズレだったと感じている。
今までヴィトンの香水は全てチェックしているが、間違いなく過去最低レベルの香りではないだろうか。その理由は次の3点。
まず、このフレグランスのキーとなるのはマンダリンであるが、その香り方がルジュールスレーヴとまったく同じで、さらに全体の完成度は著しく劣化している。正直、ルジュールスレーヴの限定ボトルとして発売した方が良かったのではと感じてしまう。
次にマンダリンと一緒に香ってくるペアが良くない。クールバタンの時から、ヴィトンのペアはイマイチなのではと思っていたが、今回のカリフォルニアドリームを使ってみて「自信が確信に変わった」。このペアはガス感が強く、嗜好も悪く、最高のマンダリンの美しさを阻害している。
最後にクリエーションの甘さ。ペアのガス感を、過剰投与したイソイ―スーパーが増幅している。イソイ―スーパーがはっきりと見えてしまうのはどうかと思う。マンダリンのみずみずしさ(だたしキャラはルジュールスレーヴに被る)、滑らかな甘さのベンゾイン、そして柔らかなアンブレッドシードとムスクはどれも素晴らしいのに、その水彩画のような香りよりも、ペアとイソイ―スーパーが油絵の絵の具のように目立っているため、全体のバランスを壊してしまっている。
一方で、ボトルや箱は最高。カリフォルニアドリームのデザインは、アレックス・イスラエルとコラボレーションで、イスラエルのシグネチャーモチーフである「カリフォルニアの空」をあしらい、ガラス製のフレグランスボトルそのものも、夕暮れ時の空を想起させる美しいカラーで染め上げている。ここまで美しいボトルはなかなかない。このボトルを眺めるだけテンションが上がることは間違いなく、香りはイマイチだけど、今年の夏を楽しみたいと思う。
本当の主砲5番はプティ マタン。4番の穴は3番と5番で埋めよう。
メゾン フランシス クルジャンはアクアシリーズなど、夏向けの透明感のある香りを多く揃えているが、なかでもパリの爽やかな早朝に想を得て生まれたこのプティ マタンが一押しだ。
トップのレモンから、ラバンジン、オレンジフラワーへの流れは、ジメジメと湿った空気を清々しくしてくれる。暑苦しさを助長させる要素が全くない透明感溢れる香りで、特に他のシトラスコロンと比べて硬さの強いハーバルノートと、ムスクやアンバーやクマリンの柔らかな甘さの絶妙な対比が、暑くてげんなりした気持ちをピシッと締め、時には和らげてくれる。調香師のセンスが光る、とても都会的なシトラスコロンだと感じている。
6番ムーンライト イン ヘブンは、夏の夜に使いたい香り。
リゾート地を連想させるトロピカルフルーツとココナッツに、メンズ的なアロマティックシトラスやウッディ合わせた香り。この明るさと暗さ、甘さと硬さの対比は、昼間の火照った肌の余熱が夜にかけて沈んでいくようなイメージがあり、夜、この香りを身につけて、オープンテラスの店が立ち並ぶ街を歩くと楽しいだろうなと一人妄想が膨らむ。
下位打線はシトラス以外の香りを楽しみたいときに使うフレグランスを。
くせ者の7番はウッドセージ&シーソルト コロン。
個人的にはあまり得意ではないマリン調を、シトラスやソルトの鋭さと、柔らかいムスクで挟み込んだような香りで、似た香りが見当たらない。調香師の天才性を垣間見る。
ソルティに、レモンのフレッシュ感や、アンブレッドシードの柔らかなほんのりとした甘さを加えることで、わざとらしくないナチュラルなソルト感を楽しむことができる。
当たり障りのない8番はテ カシミア。
たまにはティノートも使いたくなる。テ カシミアはティーノートそのものはビターな香りであるが、フレッシュなシトラスや、かなり硬いグリーンが効いているため、全体像は青っぽいミントを葉を1枚入れたような、とてもすっきりしたレモンティの香りに仕上がっている。
少し鼻に付くメタリックなグリーンが、逆に湿度の高い日本の夏には合っているような感じる。
繋ぎの9番はオー ドゥ ルバーブ カラメット。
最後は異色のフルーティなコロンを。シトラスのような爽やかさと、フルーティらしい高い嗜好性と、キャラクター、さらには清潔感を兼ね備えたコロン。
トップこそ、ケミカル色が強く攻撃的な香りではあるものの、ミドル以降の嫌みのない爽やかな甘さ、さらにはナチュラル感もあり、使っていてとても気持ちが良い。ベースもかなりライトな石鹸調で、朝使うと会社に着く頃には仄かな石鹸の香りになるため、実に使いやすいコロンだと思う。
今のところ今年の夏は、この打順で過ごす予定ではあるけれど、例年、すぐに代打を送ってしまう傾向あり。
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