〇〇の秋、という言い方をよくされますが、今回は「読書の秋」ってことで、秋の夜長に読みたい本を紹介致します。それも、肌寒くなると恋しくなる?猫の本括りで選んでみました。
一冊目は、浅暮三文(あさぐれ・みつふみ)著 「嘘猫」光文社文庫

こちらは、著者の自伝的小説です。
浅暮氏が作家になる以前、大阪から東京に移り住み、広告代理店で働いていた頃。
六畳一間の下宿に住まい、入社半年の駆け出しの時点で頓挫し、辞職を余儀なくされ、二~三ヶ月の就職活動の後、小さな広告代理店に勤めることに。
その猫がやってきたのは梅雨時の夜。下宿の出窓にドスンと体当たりしながら登ってきた太った野良猫に、朝暮氏は雨が止むまでという期限付きで入室を許すことにします。
そうして知り合った猫(泣き声から「ミヤ」と名付けます)にすっかり情が沸き、ご飯や寝床を提供する羽目になった朝暮氏。しかし、ミヤにはある企みがあったのです。
数日経った晩、読書をしている朝暮氏の背後で、ミヤが子猫を産んでしまいます。それも五匹!(この辺の表現が可笑しくて好きです。想像すると頬が緩みます)
ミヤは子猫を安全に産む場所&保護者として、朝暮氏を選んだよう。すっかり術中に嵌った氏は、勿論子猫を放り出すわけもなく、仕事と子猫の世話の両立というてんやわんやの生活に突入します。
二週間ほどで、子猫たちの眼が開くんですが、そこの描写が素敵です。
「子猫独特のあの夢見るような反射」という表現が絶妙。ホントにほわんとした、あの独特の青い眼って可愛いですよね。
その後、子猫たちが成長するにつれ、母猫ミヤは徐々に帰らなくなり、浅暮氏は完全に子猫の保護者にされてしまうのです。ま、この後いろいろあるんですが、興味持った方は是非読んでみて下さい。
二冊目は、岩合光昭・岩合日出子 著 「海ちゃん ある猫の物語」新潮文庫

動物写真家として有名な岩合光昭氏の写真と、日出子夫人の文章で構成された本。
海ちゃん(かいちゃん)は、岩合さん夫妻の「長女」。この本は、海ちゃんの子猫時代から、成長して母になり(なんと6回も出産したそうです!)、一生懸命子育てして、という「猫の一生」を素敵な写真と文章で綴ってあります。
海ちゃんの写真を見ていると、表情豊かで見てるこっちもニコニコしてしまうんです。
私もこの春に五匹の子猫たちを世話していて、写真も撮ってみましたが、猫の表情やしぐさをうまく捕えるのって難しい。どうしてもこちらを意識させてしまうと、自然な感じが出なくって。そこはさすが岩合さん。先日もBSプレミアムの番組で拝見しましたが、あんなに猫に警戒されないのって、凄いですよね。いつの間にか猫まみれになる岩合さんの姿、うらやましいです。
猫を飼っている方も、飼ってないけど猫好きな方も、未読でしたら是非ご覧になって下さい。写真の撮り方の参考になるかも。
今回紹介した本は、どちらも心がほんわり温かくなること請け合いです。
ああ、猫が恋しい…。
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