
モデルになってくれませんか??
2012/9/29 05:59
男には残念ながら、一定の年齢になってもこういう気分になることがあるようだ。
昨年のうちの旦那がそうだった。
うちの旦那、生きてきて、オートバイの運転をしたことがない。
自転車は大好きで、自転車でイギリスを一周したことがある人ではあるが、オートバイは全くなし。
昨年、旦那と一緒にインドの北部、カシミール地方のレーという村を訪問したとき、
旦那はオートバイで走りだしたくなった。
で、村のレンタル屋に行って「バイク貸しとくれ」とやった。350CCのバイクだが、インド人はバイクの免許がなくても貸してくれるという噂だった。が、「オートバイの免許は?」「ないよ」「車の免許は?」「ないよ、今教習中」「スクーターに乗ったことはあるか?」「ないよ」と全く旦那は運転の経験がなく、さすがのインド人も腰がひけたらしく「お前には貸さないよ」と断って来た。
肩をがっくり落とした旦那と「よかった」と胸をなでおろした私をレンタルやの小僧がおっかけてきた。「1000ルピーくれれば3日で運転できるようにしてあげるよ!!」だって。
旦那が喜んだことには間違いない。
「1000ルピーだったら1日で運転できるようにしてくれ」と旦那は無茶なリクエストをだし、小僧はそれを飲んだ。
翌日の朝、旦那が私を叩き起こし、「僕さ、バイクで湖に行きたいんだよね。今から借りてくるから一緒に行こうよ!!」と言って来た。
その湖は山を2個越えて、インドと中国の国境にある湖で、山を2000メートルバイクで上って下ってまた昇って、下ってをしなくてはいけない。
熟練のライダーなら4時間から6時間で行けるらしいが、バイクは初めて、
噂だと道は舗装されておらず、かなりのぼこぼこ道なんだそうだ。
そこへ行くと言い出して、「これからバイクやに行ってバイクを借りてくる」と言っていなくなった。
3時間後、旦那と、同じ宿に泊まっていた、ポーランド人のLという男がバイクにまたがって戻ってきた。「Lも一緒に行くって」だって。
Lは30代前半の駆け出しの建築家で、インテリ、背が2メートルある元ポーランドのバスケットのナショナルチームにいたこともあるというスポーツマン。頭ははげかけていたが、ハンサムの冷静沈着のおとなしい大人の男だった。Lに「免許持ってんの?」と聞いたら「免許取ってまだ2週間だよ」という返事が返ってきた。
野郎二人は行く気マンマン、Lは荷台に寝袋をつけ、ペットボトルに灯油を入れたのをくくりつけ、とフル装備、旦那もLにいろいろ習って用意している。
一連托生、乗りかけた泥船、、、ま、とりあえず、一人まともそうなのがついてきてくれるからいいか、そう思って私は旦那のバイクの後ろにまたがった。
やっぱり旦那は後ろに人が乗っているのがどうもダメだったらしく、走って30分後に
「頼むからLの後ろに行ってくれ」と言いだし、私はLにしがみついて、ツーリングに付き合うことに。Lは免許を取ったばかりではあるが、落ち着いて運転してくれて、熟練という雰囲気があった。不安になることも全くなく、私は快適だった。
が、旦那が全然だめ。バイクから落車を繰り返したり、岩だらけの道を全然運転できなかったり、足をひっぱりまくり。日が暮れるまでには目的に湖に着けるというハナシではあったが、道半ば。電気のない道をひたすら走る。
時々道の真ん中に牛がうずくまっていて、真っ暗の中「ンモー」とか言うのが怖くてしょうがなかった。
Lは旦那が落車してパニックになっていても、手を貸すことなく、冷静に見ていた。
私が助けようとバイクを降りようとしても「大丈夫、彼なら解決できるよ。」とはっきり言って私を止め、旦那が一人でバイクに戻って走りだすのをじっと見つめて待っていられるような人だった。
余りに大人の対応に私は普段の自分が恥ずかしくなってしまった。
何かあっちゃ私は「ダメね」とかいって世話を焼いてしまうタイプの女だからLの冷静な態度に尊敬の念を抱いた。
真っ暗な道を走って夜中の10時過ぎ、ようやく目当ての湖についた。
湖のほとりにあるテントホテルに泊まることにした。
旦那がリュックからウォッカの小瓶を出して「飲むか」とLにいったら、ようやく険しい顔をしていた、Lが笑顔になった。
その際に「なんでこんな無謀なツーリングにつきあったの?」と私が聞いたら、
Lは「どうしても忘れたいことがあって、何かに夢中になってやったらすぐ忘れられるかなと。夜も眠れるだろうと思えるし」と言った。
穏やかでないな、と思った。
「長く付き合った彼女と別れたばっかりなんだ」というではないか。
「8年くらい付き合っていた。彼女は今研究の実習でオランダにいる。僕がオランダに彼女を迎えに行って、それから二人でインドへ行くことになっていた。
迎えに行ったら、もうそこに新しい男がいたんだよ」
だってさ、、、、、
私が口をあんぐりさせていたら、旦那が「カップルの何パーセントは女が違う男に心代わりして壊れるという統計があり、」とわけのわからないことを言いだしたので、思わず「黙れ」と言ってしまった。
オランダの彼女の下宿を訪れたら、もう違う男性がわが物顔でその下宿にいたそうだ。
その男性は地元の写真館を根城にしているフリーの写真家、40代後半でティーンエイジャーの子供がいるというシングルパパだったそうだ。
出会いのきっかけは、お酒を飲む店で彼女が仲間と飲んでいたら、男が
「僕の写真のモデルになってくれませんか?」と頼んで写真撮影をしてから、ま、そういうことになったそうだ。
思わず、「ばっかだねー」と口走ってしまって、旦那ににらまれてしまった私。
ていうか、さ、今更そんな口説き文句があるもんなんだね、思わず正直にそう言ってしまった。そうしたらLが苦笑して「僕もそう思ったよ。」と言った。
「いやあ、そんな女なんかあなたに似合わないよ。もっと精神的に大人な女がたくさんいるよ。次行こう、大丈夫だよ」と私はウォッカを更に彼のコーラに注いでやった。
これ、なんだろういつも思うことだが、女は男の心の浮気は許せない、体の浮気は許しても。男は逆、女の体の浮気は絶対にダメ、このときもLはたぶん女性には戻らないだろうなと思った。さすがに別れた後で気持ちが揺れ動いているのが見えたけど、その辺は譲らない男に見えた。
私、男の悲しい気持ちもよくわかります。
が、女の気持ちもわからないわけではない。異国で孤軍奮闘しているときにふっと入り込んできた誘惑に屈してしまってもま、おかしくはないし、
「モデルになってくれませんか?」ってこれほど女の気持ちをくすぐる文句もないんだよね。
私、一度も言われたことないっすよ。
今だって言われたら、なんかもしかしたら、決定的なことはしませんが揺れ動くこと間違いない文句かもしれない。
陳腐だけど、パワーはある言葉だ。女性の気持ちをくすぐる文句だよ。
それに芸術とかまぶされたら、もうたまらないっす。
Lは真面目で落ち着いた男だけど、ちゃらついた甘い雰囲気はない。
老成しているという言葉が何となく当てはまる落ち着いた男だった。
そういう男をちょっと脇に置いておいて、レットバトラーのようなワイルドな男に行く気持ちがわからなくもない。でも現実、そのカメラマンを見たら「なんでこんなチンケな男と、」と思うかもしれないね。
そのあと、3人でウォッカとウィスキーの小瓶を開けて眠った。
朝起きて湖を見に行ったら、湖畔にいるインド人が中国語のラジオを大きな音で聴いていた。思ったより遠くへ来たみたいだね。
Lを見たら多少はふっきれたような顔をしていたように見えた。
いい男なんだから、もっといい女に出会ってほしいし、たぶん神様はそういう出会いを用意するだろう、私はLのことはちっとも心配していない。
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