
片耳聾の現実 日本とオーストラリア
2013/2/27 14:43
日本での片耳難聴に対する治療は皆無でした。つまり「片耳聞こえてるんだから治療は必要ない」というのが片耳聾に対する日本の医療界の態度なのです。←これ重要。耳鼻科の先生も医療センターの先生もみんな「しょうがないよね。でもまだ片耳あるし。」というだけ。あのね、一言いいですか?「てめぇが自分で片耳聾になってみろや!このどあほ!」↑冷静さに欠けるコメントww
まず事実として、片耳聾と全聾者は違います。片耳聾と健聴者も違います。片耳聾は本当に中途半端。健聴者のふりしてるけど、健聴者とは違うし、聾の文化でもないから、全聾の人には健聴者扱いされるし。。。
まず音の方向がわからないとはどういうことか。
後ろとか聞こえないほうから話しかけられると本当に分からない。それを毎日感じる。遠くから名前をよばれてもきょろきょろする。
簡単に言ってしまえば片目で見たときの平面的な感じって不便だよね?それとおんなじ感じだよ。そうやって説明しても、たぶん完全には理解されないと思います。うるさい場所での会話が苦手。これも音の方向と似てるけど、片耳聾には音に立体感がないので、全部うるさく聞こえる。ステレオからモノラルにしたときっていうのが一番わかりやすいかな。どれも平面的に聞こえるので、うるさい場所での会話はぜんぶうるさくて、拾いたい音が聞こえにくい。上記を合わせて会話には集中力が必要となる。疲れる。会話にも疲れない会話っていうのがあって、それは対面で、気の知れた人と(相手の口調や動きの特徴が分かる)、静かな場所で、相手の顔と口元がきちんと見える状態。これはとっても話しやすい。逆に相手の顔が見えずに、知らない人と、周囲がうるさい会話(うるさい場所での電話など)は非常に苦痛。
事実聞こえるし、生活に大きな支障はない。でも健聴者には簡単に聞こえるものも、片耳聾には注意して聞かないと聞き落すものになり、集中力と注意力を必要とするものがたくさんあります。私はもう長いこと片耳聾なので、ずいぶん慣れましたが、それでも会話がつらいと思うことはたまにあります。
聾の世界にも入れてもらえない片耳聾が健聴者の世界で生きていくにはこういう状況を何度も何度も強いられるわけです。もちろん周りの人が悪意があってそうしてるわけじゃない。だからよけいに辛くなるんですよね。
日本にいたときは聞きづらいとかあまり意識しなかった。たぶん、母語として日本語があるので、聞き取りづらい部分があっても、なんとなくわかってたんですよね。無意識にジェスチャーや表情から読み取るというか。。でもオーストラリアに来てから、会話が「頑張ってするもの」に変わってきたんです。それはいくら英語が得意でも、オーストラリアの文化(ジェスチャーや表情などなど)で育っていないのと、口の動きを読み取るのが難しいから。そこで初めて「あ、私は今まで無意識に相手の顔と動きを見て会話していたんだ!」と気づかされました。
そういうのをオーストラリアの聴覚訓練士の方が理解してくれてるんです。本人たちはほとんど健聴者ですから物理的には理解できなくても、そういう人たちの生活がどんなに大変なものかというのをきちんと理解してくれています。
「補聴器でグループの会話も得意になるといいね!」なんて言われちゃうと、涙がでちゃいます。
日本では耳鼻科の先生でもそれを理解してくれるひとが誰もいなかった。仕方のないことなんだと自分に課せられた障害とみなされない障害を受け入れるしかなかったんです。
日本では先ほど述べたように片耳聾には治療も社会的保護もありません。
それは聞こえてるだけまだまし。健聴者とほぼ同等という見方があるからです。
しかし、オーストラリアでは片耳聾も立派な障害。健聴者と同じ生活ができないのだから、助けが必要。ということで、補聴器やインプラントの発達や普及が日本とは比べ物になりません。障害者としては認められていないようですが、「片耳聾でも補聴器を」という社会の態度には驚きました。
中途半端に聞こえてて、聾にも健聴者にもなれない片耳聾の人たちはどちらのグループにも属せず、とても不便なのに障害者手帳ももらえず、国や社会からの保護もない。さらには「自分が聞きたい時だけ聞こえてる」とか訳の分からない言いがかりをつけられたり。。。
完全に無音とかなら「ああ、無音なんてやだな」とか思えるんでしょうけど、「ちょっと聞こえて、ちょっと聞こえない」っていうのが一番わかりづらいんじゃないかと思います。どれなら聞こえて、どれなら聞こえないのさ!ってなるんですけど、それは状況にもよるので、一概にくくれない。だからこそ補聴器なんかでそれを改善したいと思うんですよね、きっと。
だから日本の医療も片耳聾に対して「片耳あるならいいじゃん」じゃなくて、「片耳は全聾ともちがうし、健聴者の社会で生きていくには結構大変だから、補聴器の手当てをしましょう」とかになってほしい。いや、聾のほうがましとか言ってるんじゃないですよ。ただ中途半端なのがいちばん苦しいからなんとか助けが欲しい。ってだけです。本当にそれだけです。
日本が1日でも早く医療・福祉先進国の仲間入りをしますように!!!
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