気品のある女性の美しさに憧れる
2011/10/20 08:35
■ 蝉しぐれ
■ 文藝春秋
■ 藤沢 周平
藤沢周平の時代小説は何度読んでも面白い
改めて『蝉しぐれ』を読んだ
物語性だけでなく文章に品があるから安心して読めるのだ
ストーリーに気を取られすぎて雑な文章の小説に出会うと
私はつっかえつっかえの朗読を聴いているような違和感を覚えてしまう
それは、エッセーでも同じで上手いエッセーはスラスラ読める
藤沢作品で圧倒的にいいのは、やっぱり『蝉しぐれ』
友情というものを真正面から捉えて心地いいのと
彼のえがく人物に人間としての品位があるのが何よりもいいのだ
特に『ふく』の気品は哀しいほどに美しい
『文四郎さんの御子が私の子で
私の子供が文四郎さんの御子であるような道はなかったのでしょうか』
これはふくが文四郎に向かって言った言葉
こんなに、哀しくて、美しい言葉、を言える女性には
残念ながら実際にはまだ出逢っていない
時代小説でありながら友情小説であり、恋愛小説でもある
何度も映画やテレビドラマになっている時代小説の傑作は
何度読んでも私を夢中にさせてくれる
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