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椿姫

椿姫

スケートと関係ない話です。

昨日、椿姫を読みました。十代の頃に一度読んだことがあったのですが、家にあったので再読です。

肯定的な感想ではありません。人間の醜悪な描写について書いていますので、苦手な方は、ここまでで絶対に読むのを止めて下さい。気分が悪くなってしまうかもしれません。



































恋愛の熱病期間の美しさと嫉妬や復讐といった醜い感情について描かれています。

主人公のアルマンは、幼稚過ぎてドン引きです。嫉妬に駆られ、人間としてそれだけはやっちゃ駄目、というような卑劣な復讐をします。しかも、やり方が、手紙で相手の人間としての尊厳を深く傷つけ苦しめ貶めることで、自分の感情の苦しさから逃れようとする、という最も卑怯で自己中心的な方法です。相手を殺したも同然ですが、相手を刺し殺したような場合と違って、罪の裁きを受ける義務が発生する訳ではありません。そこが本当に卑怯だと思います。涙を流して自分を甘やかして生きて行くんだと思います。

自分の将来を考えた保護者が介入してくれて、心の奥底では、ホッとしている自分もいたと思います。親や妹に迷惑を掛けるのは明らかで、関係を続けるならば、父に勘当して貰って独立、という一択しか無かったはずですが、認めて欲しいとだだをこねる。しかも、親のすねをかじったまま、というのが有り得ない。そして、離別や死別の度に、孤独に耐え切れず、父の庇護に舞い戻って、腫れ物扱いにチヤホヤと甘やかしてもらう。こういう感じだと、追々は、自分は知らなかった、といいながら、都合良く父を恨んだりもするだろうと思います。

感情の始末の付け方については、マルグリットはかなり大人です。

ただ、出会いの辺りを読んでいると、言動も行動も、身も蓋もありません。自分を愛して欲しいけれど、自分が他の男性と関わるのに口出しするな、という条件をはっきりと口に出します。

それが段々と変化して本気の恋愛になって行く、というギャップを描く訳ですが、この出会い、いくら何でも、もう少しロマンチックに描いても良かったのでは、という感じです。これでは、まともな自尊心を持つ男性なら惹かれないでしょう。アルマンはそれをこの上もない僥倖みたいに受け取っていますが、そんな呼べば来る犬みたいに無作法に扱われるのって嬉しいことなの? それも含めて幼稚なんじゃない?と思います。

金遣いもすごいとしか言えません。年に10万フラン遣い、3万フラン借金があるそうです。これがどのくらいすごい額かと言えば、富豪と言われる人達でさえ、年収50万フランくらい、という目安が出て来ます。

最も心に残ったのは墓場のシーンです。どんなに美しい顔も、いずれは腐敗し頭蓋骨になり、悪臭を放つようになる。そのことにもっとも考えさせられます。

恋愛の熱病期の描写は、よく描けていて、分かる、という感じでした。

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