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伊坂幸太郎『仙台ぐらし』

伊坂幸太郎『仙台ぐらし』

タクシーが多すぎる、見知らぬ知人が多すぎる、ずうずうしい猫が多すぎる…。仙台在住の作家・伊坂幸太郎が日々の暮らしを綴る。『仙台学』掲載を中心に書籍化。書き下ろし短編「ブックモビール」も収録。


伊坂さんのエッセイ2冊目を読んでみました。


震災前に荒蝦夷『仙台学』に掲載されたもの、さらに震災後に書かれたもの、書き下ろし短編ののブックモービル a bookmobileが収録されています。


震災前に書かれたものと、震災後に書かれたもの、がらりと雰囲気が変わります。
震災前に書かれた「~が多すぎる」というテーマのものは、伊坂さんらしい感じと、可愛らしい感じ、そしてかなりゆるい感じのエッセイ。


ちょっぴり自意識過剰の伊坂さんを可愛らしいなと思ったり、
伊坂さんは普段空いてて居心地のいい喫茶店でお仕事をしてるんだ、とか
伊坂さんってば、こんなに心配性だったんだ、とか
伊坂さんってば、映画の途中にお手洗い行きたくなっちゃうひとなんだ、とか
伊坂さんのいろんな一面が知れて面白かったです。


そしてこれは読んでいる途中で知ったのですが、エッセイと言っても、すべてがノンフィクションではなく、タクシーが多すぎるでは、半分以上創作なんですって。どうりで。伊坂さん毎回こんなタクシーの運転手さんと面白い会話してるのかと思っちゃいましたよ。


震災前に心配性の伊坂さんが心配していたことが現実となり、大震災が起こってしまった後のエッセイは、伊坂さんが受けた精神的ダメージの大きさがすごく伝わってきて、少し読むのが辛かったです。
だけどちゃんと読もう、と思い、伊坂さんの綴った言葉を心に刻みながら読みました。


だからこそ、
「僕は、楽しい話を書きたい。」
そう思って楽し話を書き続けてくれてることがとてもうれしい。


震災後に宮城県で移動図書館のボランティアをしている原田と渡辺を描いたブックモービル a bookmobileはとてもよかったです。


ガリバーの話やスリの伏線の回収の仕方が最高。


また被災地のボランティア活動を見にやってきた映画監督に放った渡辺の怒りは、被災地の人たちの思い。
私のような被災していない人たちへの訴えを伊坂さんが小説を通して伝えてくれていたのだと思うと、それをちゃんと受け止めなくちゃと思いました。


エッセイは得意ではないという伊坂さんのエッセイ、私は好きです。
苦手でもまた書いて欲しいな。


★★★☆

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